日本旅行業協会(JATA)は9月25日、「第4回インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査」の結果を公表した。全国1107の観光関連事業者・自治体から回答を得たもので、受入環境の整備状況や課題、今後の重点市場などを分析している。調査では、人手不足が依然として最大の課題である一方、コンテンツ開発や新市場への期待が示された。
調査によると、将来の受入意欲に関して肯定的な回答が33%と前回調査から11ポイント減少したが、すでに取り扱いを開始した事業者が増えた結果とみられる。
インバウンドの課題では「人手不足・人材不足」が最多となり、外国語対応スタッフや通訳案内士の不足も挙げられた。特に繁忙期の労働力確保や通年雇用の難しさも指摘されており、待遇改善が急務とされている。さらに、国・自治体との広域連携や観光インフラ整備を求める声も増加しており、個々の事業者だけでは対応が難しい課題が浮上している。
力を入れている旅行コンテンツでは高付加価値旅行(23%)、ガストロノミー(18%)が引き続き上位に入り、今回新設されたスポーツツーリズムも一定の回答を得た。受入しているインバウンドの旅行スタイルでは個人・団体レジャーが主流で、自由記述回答からはクルーズやアニメ聖地巡礼、医療ツーリズムなどニッチ分野も存在感を増している。
重点市場については現在は台湾、中国、北米、欧州が上位を占めるが、将来は欧州や東南アジアへの拡大が期待されるとの回答が多く、特定地域に依存せず幅広く受入を強化する傾向が見られた。
一方、大阪・関西万博については、関西の事業者の28%が万博を契機にインバウンド誘致の取り組みを実施・検討したと回答したものの、全国的には「効果は限定的」とする回答が過半数を占めた。
また、カーボンニュートラルや脱炭素に関しては69%が政府目標またはグラスゴー宣言を理解していると回答し、25%が自社または取引先で取り組みを開始している。特に宿泊事業者や自治体での進展が目立った。
情報提供 トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/news/detail/news-118817)