9月29日、埼玉県日高市の巾着田曼殊沙華公園は、500万本とも言われる曼殊沙華が満開だった。巾着田には何度か行ったことがあるけど、花の季節に行くのは初めてだった。

会場へは西武線高麗駅から徒歩15分ほど。これは「こま」駅と読む。駅前には朝鮮半島の伝統的な守り神が立っている。「チャンスン」と呼ぶそう。道祖神とか石敢當と似たものかも知れない。2本のチャンスンに「天下大将軍」「地下女将軍」と、見慣れない言葉が書いてあって、異国感がある。
当地は朝鮮半島にあった高句麗と縁がある。7世紀、唐と新羅連合軍に攻められ滅ぼされた高句麗からの渡来人たちが、朝廷からこの土地を与えられ、高麗王若光のもと高麗郡を拓いたとされる。今で言えば亡命者もしくは難民ということになるけど、朝廷は若光に官位を与え、渡来人たちに土地まで与えたと知れば、昨今の世情とはずいぶん違うものだと思う。

駅から会場までは、ところどころに案内板があり、来訪者も多いから道に迷うことはない。民家の庭にも彼岸花とも呼ばれる曼殊沙華があちらこちらに咲いていて、さすがに曼殊沙華の里といった感じがする。
高麗川を渡り、高麗川に沿って歩く。巾着田は高麗川の流れが巾着状になった内側に開墾された水田で、今はほとんどが休耕地だという。
遊歩道沿いに曼殊沙華が連なるようになって、暫く行くと会場に着いた。祭り期間中だけの簡易なゲートで入場料500円を払うと、目の前には曼殊沙華の群生が広がった。

確かにたいしたもので、見学する人たちは「すごい」という感嘆の声と、この日が30度超えだったこともあって「暑い」の声をあげながら歩いていた。
公園内には一回りできる歩道のほかに中央にも小道があって、外周の歩道から中央を歩く人を写すと、曼殊沙華に囲まれた人の写真が撮れる。
ここでは2周ほど写真を撮りながら過ごした。赤い曼殊沙華色のワンピースを着たブロンドの女性は曼殊沙華の妖精じゃないかと思った。ルパン三世ファーストシリーズ「さらば愛しき魔女」のリンダを思い出した。
コロナ禍の2020年、曼殊沙華公園の花は、人が集まってしまわないよう、すべて刈り取られた。あれを刈り取ったのかと思うと、担当者は辛かったと思う。当初、曼殊沙華まつりは10月5日までの予定だったけど、開花の状況などから会期が8日まで延長されたとウェブサイトにあった。今年の曼殊沙華まつりに、まだ、間に合う。
〇アクセス 家から電車と徒歩で1時間30分
〇滞在時間 1時間