土佐神社は、土佐国の一宮である。高知市一宮(いっく)に位置して、地元では、その字である「しなね様」と呼ばれている。南国市へと通じる逢坂越えの西麓に鎮座する。『日本書紀』や『土佐国風土記』にも記される古代から祀られた古社。そして、中世・近世には土佐国の総鎮守として崇敬された高知県を代表する神社だ。
代々の領主は、土佐神社に対して崇敬が篤く、長宗我部氏や山内氏によって、境内は造営されている。また、祭事として土佐三大祭の一つとして「志那禰祭(しなねまつり)」が続いている。そして、高知県では、一宮と書いて、「いっく」と読む。それは、土佐神社が地元民にとって、身近な存在である現れだ。
さて、一宮の起源は「国司が任国内の諸社に巡拝する順番にある」とするのが通説である。それ故、神社の格式やの大小ではなく、選定されている。11世紀から12世紀にかけて成立したとされる。
久しく訪れていなかった社、この日は正月の松飾りが施され、門松が飾られた鳥居に朝日が当たっていた。神々しさが増し荘厳そのものであった。幼い頃は、坂道を延々と歩き、たどり着いた記憶がある。しかし、歳を経て訪れた場所は、数分の距離だった。大人の感覚と子どもの感覚は、全く違うのだと感じた瞬間だった。
(2024.01.06.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長