天王洲の由緒は、江戸時代中期1751年、漁網に牛頭天王の面が入ったことに始まる。その面は、南品川の天王祭において神輿の屋根につける「神面」となっている。
明治以降、江戸防衛のため築造された第四台場をベースとした埋立地が天王洲だ。かつては、倉庫や物流センターが建ち並んでいた。しかし、1985年に天王洲再開発を推進する地権者22者による「天王洲総合開発協議会」が発足。一気に開発が進んだ。その後、浜松町と羽田を結ぶ東京モノレールとの新駅が設置される。また、オフィス商業複合ビルの建設が順次行われ、1996年に現在の姿となった。
2010年代以降は、芸術文化の発信基地をコンセプトとする街づくりが行われた。そのため、地域内に音楽・絵画・フォトグラフ、現代建築など芸術に関連したコンテンツを集めている。また、ほぼ全域が東京都港湾局によって、東京の水辺の魅力向上や観光振興地域として取り組みが成されている。
水辺と一体となったコンテンツ開発を
一方、優れた水辺の景観が、昨今、脚光を浴びる場所となった。1990年頃からテレビドラマや映画、コマーシャルの撮影に頻繁に登場する。特に、このふれあい橋は、夜になるとライトアップされた姿が素晴らしい。そのため、橋の向こう側の水辺のレストランとともにトレンディドラマでは、必須のアイテムともなっている。
ロケ地ツーリズムは、それを見た人々をいざなう効果が高い。訪れる人々は、自らの憧れの場所として主人公と同じ行動を起こす。夜景鑑賞や船を活用した観光など、水辺に親しむコンテンツをこれまで以上に発掘し、より多くの人々が訪れる街に変貌して欲しい。
(2024.04.10.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長