ブッキング・ドットコムは11月20日、同社初のカスタマー向け対話型エージェントAI「スマートメッセンジャー 」と「オートリプライ」を導入した。新機能により、パートナーとゲストのやり取りが、より迅速で効率的、かつ直感的に行えるように。革新的なエージェントAIを導入することで、カスタマー向け生成AIツールをさらに拡充する。
今回の新機能は、同社が拡充してきた多彩な生成AIソリューションとともにプラットフォームにシームレスに統合。これで、世界最大級のオンライントラベルプラットフォームである同社のマーケットプレイスにおいて、宿泊施設パートナーとゲスト双方の予約体験がさらに向上する。
「スマートメッセンジャー」では、インテリジェントな応答の生成とワークフローの自動化で、関係するパートナー、施設、予約情報を収集しながら、自動的にアクションを進める。宿泊施設パートナーとゲストのやり取りをサポートするために、いつ・何を提案すべきかをAIが自ら判断する。「オートリプライ」では、さらに高度なパーソナライゼーションが実現。パートナーが各施設に合わせた応答トピックを定義できるため、施設に関する一般的な問い合わせから、個別性の高い問い合わせまで、ゲストからの質問に瞬時に応答できる。また、AIエージェントは過去のやり取りやユーザーからのフィードバックを学習し続け、より正確で適切な応答ができるよう調整を重ねる。
同サービスの初期テストの結果、従来のメッセージツールと比較して、パートナーの満足度は73%向上した。これらの新ツールは現在すでに宿泊施設パートナーの管理画面上で利用可能で、「オートリプライ」は世界中のパートナーに、また「スマートメッセンジャー」は米国、英国、ニュージーランド、オーストラリアを拠点とするすべてのパートナー、または言語設定を英語にしているパートナーが利用できる。
同社が実施した調査では、消費者の89% (日本:83%)が「今後の旅行計画にAIを活用したい」と回答しており(「AIに関するグローバル意識調査レポート(Global AI Sentiment Report)」)、こうした需要への対応についても着実に進化を遂げている。また、予約フロー全体の主要なステップにAIを組み込み、必要な時に、必要な場所で、状況に応じたインテリジェントなサポートを提供している。
生成AIによる即時サポート
「AIトリップサポート」ツールは、旅行者に対応する最初の窓口として、重要なカスタマーサービストピックについて24時間年中無休で対応する。これにより、旅行者が施設の情報を調べたり、予約変更を迅速に行ったりすることが容易になる。例えば、車を使う旅行者が「ホテルに駐車場はありますか?」と質問した場合、ツールが施設の関連情報を収集して、数秒で回答を返すため、旅行者はその情報を踏まえて計画を立てられる。 より複雑な問い合わせについては、ツールがカスタマーサービスセンターの担当者へと情報をスムーズに引き継ぎます。「AIトリップサポート」は現在、米国、英国、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールで提供されています。
対話型の旅行管理
同社では「AIボイスサポート」を導入し、音声による旅行管理も提供。カスタマーが接続し、自分の言葉で質問すると(例:「予約をキャンセルしたい」など)、ツールが該当する予約の詳細情報を引き出し、必要なアシスタンスを提供する。これにより、解決までの時間や待ち時間が短縮され、旅の管理がより便利になる。また、必要に応じて人間の担当者につなぐことも可能で、その際には担当者がスムーズに対応できるよう、AIが必要な情報を提供する。「AIボイスサポート」は現在、英語とドイツ語の通話回線で提供されているほか、イタリア語とスペイン語でも試験中となっている。
レンタカーをよりスムーズに
レンタカー体験や、そこに付随する長い規約をよりシンプルにするため、「AIレンタルヘルパー」を利用すれば、レンタカー予約に関するカスタマーのよくある問い合わせに即時で回答を得られる。支払い方法、引き渡し時のチェックリスト、保険に関する情報などのトピックについて、ツールが重要な情報を提供し、車の引き渡しや返却をスムーズかつシンプルにする。「AIレンタルヘルパー」は、言語設定が英語の場合に利用できる。フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、オランダ語の各ユーザーへも、今年後半に提供を拡大する予定。
ベストな選択を可能に
AI搭載の「フライト検索サマリー」では、乗り継ぎ回数と価格、移動時間との兼ね合いなど、重要なトレードオフを自動生成されるサマリーで瞬時にわかりやすく提示し、検索プロセスを効率化することで、最適なフライトをより簡単に見つけられる。「フライト検索サマリー」は、言語設定を英語にしているユーザーに提供されている。2026年には、マーケットや言語をさらに拡大する予定。
ブッキング・ドットコムの最高ビジネス責任者であるJames Waters(ジェームス・ウォーターズ)は、「初の自社開発エージェントAIソリューションを市場投入することは、ブッキング・ドットコムにとって画期的な一歩。既に導入されている最新の生成AIイノベーションとともに、弊社はパーソナライゼーションを新たなレベルへと引き上げ、さらに迅速でシームレスなプラットフォームを提供する。AIを活用した旅行ソリューションの開発を進める中で、弊社が常にこだわり続けているのは、カスタマーが世界をより気軽に体験できるようにすること、そしてパートナーがこうした素晴らしい体験の提供に集中できるようにすることだ」と話す。
これらのツールは、ブッキング・ドットコムのAI機能が、スタンドアロン型の「AIトリッププランナー」から、旅行者が予約フローの最も重要な各段階でアクセスできる組み込み型のAI搭載コンパニオンへと進化していく過程の一つとなる。今回の発表に先立ち、ブッキング・ドットコムは先日、ChatGPT内でローンチする最初のアプリの1つになったことを発表している。このアプリでは、リストアップされた宿泊施設をユーザーがChatGPT内で直接閲覧でき、部屋を選んで予約する段階でシームレスにブッキング・ドットコムのプラットフォームにアクセスできる。