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【現場レポート】地元目線で再発見!北海道厚真町の「価値を見立てる」2日間

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北海道厚真町で特別なフィールドワーク研修が開催されました。その名も、「風土再生の旅〜現場で起こるイノベーションを体感する2日間in厚真町」厚真町に住みながら、株式会社東京山側DMCが主催する「地域プロデューサー資格養成講座」を受講している私・今廣佐和子と近藤一郎の2人が、この度、地域活性化企業人である師岡龍也さん((株)東京山側DMC / 通称たっちゃん)と共に、研修ツアーの受け入れと企画運営を担当しました。講座が育成を目指す地域プロデューサーとは、地域の風土や資源を「見立て(みたて)」て掘り起こし、新しい事業や体験として「設える(しつらえる)」ことで、地域の価値を最大化する役割を担う専門家です。このプロデューサーの存在こそが、地域資源を持続可能なビジネスへと昇華させ、地域創生を推進するために不可欠な要素となっています。今回の研修は、まさに「地域の価値を見立てる力」を実践する場となりました。この記事では私・今廣が、地域プロデューサーとして自分の地域に研修を受け入れた目線からレポートします。

受入側の挑戦:厚真町の魅力を「体験」として翻訳する

厚真町は新千歳空港から車で約30分、山・川・海が揃う自然豊かな町。2018年に起きた北海道胆振東部地震からの復興とともに、10年前から実施しているローカルベンチャースクールなど、新たな人の流れを生み出す挑戦を続けている自治体です。
この研修の背景には、町が推進する二地域居住(都市と地方の2つの地域に生活拠点を持ち、行き来しながら暮らす新しい住まい方)施策があり、厚真町はこの新しいライフスタイルを軸に変化の種が芽吹き始めているところなのです。
たっちゃんは厚真町の地域活性化企業人として厚真町での二地域居住を促進するため、「地域の内と外をつなぐ仕組み」をつくることをミッションとしており、この研修は、机上ではなく現場の熱量の中で厚真町の未来の可能性を深く考えることを目的に企画されました。
参加者は、東京山側DMCの代表 宮入正陽さんに櫻澤裕樹さん(通称みちくさの達人「サクちゃん」)、札幌在住の講座受講生たち。そして厚真町内からは、厚真町役場の職員や、厚真町の多様な地元プレイヤーも参加者兼説明者として加わりました。
厚真町の内と外から総勢19名という多様なメンバーが集まったことで、厚真を多角的に捉え直す絶好の機会となりました。

フィールドワーク:慣れた風景に「外の視点」を重ねる

私自身が日頃から目にしている厚真の風景も、講座生たちの新鮮な視点や、東京山側メンバーの「見立て力」というフィルターを通すと、まるで違う価値を持って輝き出します。

震災現場:地域の原点・大地と向き合う


研修はまず、北海道胆振東部地震の爪痕が残る山肌からスタートしました。行政職員のガイドと共に、復興の道のりを共有するこの時間は、自然と人間が共存する厳しさと、地域が持つ再生の力を体感する重要な導入となりました。

厚真町産業経済課の宮久史さんからお話を伺う。
地震により山が割れて動いた現場で地球の息吹を感じる。
札幌から厚真へ植林のために通う、石狩川流域湿地・水辺・海岸ネットワーク代表 鈴木玲さん

林業と馬搬:森と共に生きる営み

林業の現場では、町で代々続く丹羽林業の3代目・丹羽智大さんが、100年の視点で森を育てる林業のあり方を語ってくれました。また馬搬(ばはん)の現場では、静かな森の中で西埜馬搬代表の西埜将世さんが馬と呼吸を合わせて木を運ぶ姿に、参加者から感嘆の声が上がりました。効率だけでは測れない「森と人との美しい関係性」を感じられるひとときとなりました。

馬とともに林業を行う西埜馬搬 代表 西埜将世さん
厚真町で代々林業を行ってきた(有)丹羽林業の3代目 丹羽智大さんから、森と林業について学ぶ

炭焼きの現場:暮らしと伝統の継承

2日目には、地域に根付くかまた木炭の製炭現場を訪問。町外から移住して炭焼きの事業を継承した代表 鎌田武一さんと、炭焼きを手伝いながら本業では木材加工を行うmorinov代表 坂野昇平さんからお話を伺いました。参加者からは、炭や副産物である木酢液の利用価値と需要に関する具体的な質問が次々と上がり、単なる伝統産業で終わらせない「事業としての展開力」を肌で感じることができました。

滅多に見ることができない炭焼き窯の中へ

これらの現場で、外からの客観的な視点と、地域で活動する当事者の熱い想いが交じり合う。その化学反応こそが、本研修の狙いである「現場でのイノベーション」となっていました。

受講生として得た「見立て力」の実践

私がこの研修を通じて最も強く感じたのは、「自分の町を客観的に捉え直す力」の重要性です。
地域プロデューサー養成講座で学ぶ「見立て力」は、地域の本質的な価値を発掘し、翻訳・再編集して価値を最大化することを目指します。今回のフィールドワークでは、その理論を厚真町の現場で実践しました。
参加者の「なぜこの場所に馬搬が?」「この場所はどんな体験として売れるか?」といった問いを通じて、私は初めて自分の町をキラキラとした「資源の塊」として、より立体的、多角的に捉えることができたように思います。
厚真町は決して華やかで目立つ何かがある町ではありません。それでも、これまでの風土歴史が育んできた面白い「人」「もの」「こと」がこんなにもたくさんあるということを、この風土再生の旅を通して、改めて実感することができました。(そしてこれらを生かせるかどうかは、地域プロデューサーの頑張りどころでもあります。)

未来へ:関係人口から「仲間」へ


今回の研修は、外からの視線と、厚真に深く関わる私たちの視線が交わることで、厚真町の魅力を深掘りする大きな機会となりました。
また、「厚真町の魅力は景色ではなく“人”だ」というたっちゃんの言葉の通り、参加者と地域住民の間にはこの2日間を通じて、「ゲストとホスト」を超えた「仲間」としての意識が芽生えつつあるのを感じました。
厚真町が進める二地域居住の推進において、こうした深い関わりを持つ関係人口の存在は大きな財産となります。地域の本質に触れ、共に未来を編み直す今回の取り組みが、今後の地域創生のモデルケースとなることが期待されます。
この研修を通じて得た学び、特に「地域の価値を見立て、設える力」を活かし、私自身も厚真の未来づくりに貢献していきます。厚真町が進める二地域居住施策、そして地域の活動が、より多くの厚真ファンを生み出すきっかけになるよう、今後も地域の内外をつなぐ役割を担っていきたいと考えています。

まずは地域創生の一歩をともに

東京山側DMCでは、地域の価値を高められる人材を育成する「地域プロデューサー養成講座《初級》」を開講しています。今回の厚真町での事例のように、地域の風土を見立て、設え、再編集する実践的なスキルを学びたい方は、ぜひ参加を検討してみてください。

オンライン無料説明会・講座詳細

  • 日時:全日程共通20:00〜21:00(オンライン開催・参加無料)
    • 11月20日(木)
    • 11月27日(木)

講座概要:

  • 内容:オンライン講義4回+リアルフィールド研修
  • 受講料:無料(別途教材費5,000円が必要)
  • 対象:年齢・職種・居住地 不問
  • 募集期間:2025年12月まで(※講座の無料開催は本期で終了予定)


今回の記事で紹介したフィールドワークの感動や学びの先に、どのような世界が広がっているのか。まずが説明会で、その全貌に触れてみてはいかがでしょうか。
▼無料説明会への申込みはこちら
https://rprqkhrx.gensparkspace.com/
▼講座修了者の声
https://xkgeisdk.gensparkspace.com/
▼運営:株式会社東京山側DMC
https://mt-tokyo.com/

(寄稿者:今廣佐和子、地域創生プロデューサー資格養成講座受講生、厚真町在住)

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