2027年3月19日〜9月26日(192日間)、横浜市の瀬谷地区(旧上瀬谷通信施設)にて国際園芸博覧会が開催されます。期間中は1500万人の来場者が予定されており、国内外から多様な方々がこの時期横浜を訪れることが想定されます。11月28日は、造成中の会場予定地、拠点となる周辺駅をユニバーサルツーリズム視点で視察してきました。
ユニバーサルツーリズム視点?
2025大阪・関西万博もそうでしたが、会場内は最新のバリアフリー対応が整備されるはずです。
障がい者・高齢者にとってのバリアの多くは「会場の広さ」「会場までのアクセス」なのです。
実際に大阪・関西万博では開催直前まで車いすで会場までどうアクセスできるのかのバリアフリー情報が乏しく、会場や周辺駅のハード面のバリアフリー化(点)と共にアクセス情報(線)が求められます。
2027花博会場は駅に隣接した会場ではなく、公開されている来場者輸送実施計画の初版では周辺4駅を中心に主要駅からのシャトルバスでの輸送が計画されています。

①瀬谷駅:約2km、1日あたり約5,000人〜約12,000人
②三ツ境駅:約4km、1日当たり約2,000人〜約6,000人
③南町田グランベリーパーク駅:約4km、1日当たり約6,000人〜約15,000人
④十日市場駅:約6km、1日当たり約4,000人〜約11,000人
4駅からのシャトルバスは合計で、通常期約320本/日、繁忙期約820本/日。
上記以外も含む総来場者数は、平日約47,000人/日、繁忙期約105,000人/日。
このように周辺駅からの来場者数が想定されています。
今後検討が必要なのは、このうち何%を車いす利用者・足腰が不安な高齢者・ベビーカー利用者と想定するかは非常に重要になります。
・路線バスでの運行の場合、バス1台で輸送できる車いすは1〜2台。
・各駅のEVで乗降できる車いす・ベビーカーも1回あたり1〜2台、EV1回あたりの稼働時間が何分かによって待ち時間がどれくらい生じるか。
今回は、「三ツ境駅」「瀬谷駅」「南町田グランベリーパーク駅」を見てきました。
※今後開催に向けてさらに議論が重ねられ整備されるはずなので、あくまでも現時点での状況としてのレポートです。
三ツ境駅までは相鉄線横浜駅から約20分、首都圏では普通ですがホームと車両の間にはすき間と段差があるので駅員による簡易スロープの設置が必要な構造です。

大阪では大阪メトロがホームと車両の段差を解消していたので、基本的には駅員のサポートが不要で一度に多くの車いす利用者が乗降可能でした。

花博開催時には朝のオープン前などは、駅のホームで「〇号車と〇号車と〇号車と〇号車、車いす乗降ご案内中です」というシーンもイメージした準備が必要になるでしょう。
【三ツ境駅】

下記は全国から車いす利用者が大阪・関西万博に集った際の「夢洲駅」の様子ですが、花博でも想定できるシーンの1つだと思います。

【瀬谷駅】

計画では、シャトルバス以外に最寄駅からの徒歩来場も推奨されるとあり、瀬谷駅が一番近いはずなので駅から会場予定地まで移動してみました。

徒歩でのアクセスの場合、瀬谷駅から会場までの往復が約4kmプラス会場内移動となります。
大阪・関西万博では会場内で車いすの貸出し、電動カートの貸出しがありましたが、花博では瀬谷駅からの移動距離を考える必要があり、瀬谷駅前から下記のようなモビリティの貸出しがあると来訪者に喜ばれるサービスになると思いました。

造成中の会場予定地、想像したよりフラットで高低差は少なそうでした。
ただとても広そうでした!
公開されている資料では会場の広さは大阪・関西万博は約155ha、花博は約100ha(会場部分約80ha)とのことです。

【南町田グランベリーパーク駅】
会場から北に約4km、東急田園都市線「南町田グランベリーパーク駅」は2019年に周辺施設も含めたまちびらきに合わせて改修されたようで、非常に新しい駅でした。

大阪・関西万博は、車いす利用者・ベビーカーも含めて大量輸送できる地下鉄が乗り入れていたので、会場内では連日多くの車いす利用者・ベビーカーを目にしました。
シャトルバスは予約制にしたとしても混み合う時間帯の車いす・ベビーカー利用者の輸送は大変なオペレーションになることが想定されます。
個人的には瀬谷駅からの徒歩ルートをモビリティや人的サポートの活用で、いかにストレスなく会場まで誘導するかがユニバーサルツーリズム視点の肝ではないかと感じた今回の視察でした。
※メインビジュアルは、会場予定地。
旅をあきらめるなんてもったいない! さあ、皆さん旅に出掛けましょう!
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寄稿者 渕山知弘(ふちやま・ともひろ)ユニバーサルツーリズム・アドバイザー / オフィス・フチ代表