観光庁は12月17日、特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)に基づき、新たな区域整備計画の申請期間を定める政令改正案について、パブリックコメントを開始した。申請期間は2027年5月6日から11月5日までとする方針で、意見募集を経て政令制定手続きを進める。
同日行われた記者向け説明で、観光庁IR担当の阿部雄介参事官は、「特定複合観光施設、いわゆるIRの整備につきまして、新たな区域整備計画の申請を受け付けることとした。その申請期間を定める政令の改正案について、本日からパブリックコメントを開始する」と説明した。
IR制度については、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するため、大規模なMICE施設、国際会議場や展示場、ホテルなどの整備を、カジノ施設の収益を活用して民間の活力を生かして推進していくもの」と位置付ける。「主たる目的は公益性の高いMICE施設の整備であり、カジノはその運営のための財源確保という位置付けだ」と述べた。
IR整備法では、都道府県または政令指定都市が民間事業者と共同で区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を受ける必要がある。認定できる区域は3カ所が上限だが、現在認定されているのは大阪・夢洲地区の1件のみだ。
自治体の準備期間を考慮して「公平性」を重視
観光庁ではこれまで、都道府県などの検討状況を把握するため、定期的な調査や随時のヒアリングを実施してきた。阿部参事官は、「その結果、一部の自治体から、区域整備計画の申請を予定する時期が示された」と説明。一方で、「法律の構成上、IRの整備は国が主導するものではなく、自治体の発意を前提としている」と強調した。
申請期間の設定理由については、「自治体が民間事業者の公募・選定を行い、共同で区域整備計画を策定し、最終的に議会の議決を経て申請するという大きなプロセスが必要になる」とした上で、「すべての自治体が公平に申請できるよう、準備に要する期間も考慮した」と説明。「2027年5月6日から同年11月5日までを申請期間とすることが適当と判断した」と述べた。
整備の意向を示している自治体の数や名称については、「内部情報を含み、非公表を前提に伺っているため、現時点ではお答えを差し控える」と回答。残る2枠の扱いについても、「特定の一つに絞るものではなく、残る二つについて申請を受け付ける」と述べた。
申請受付後の認定時期については、「大阪の認定プロセスでは約1年かかったと承知しているが、今回も同様になるかは現時点で申し上げられない」とした。
パブリックコメントは12月17日から2026年1月16日まで実施し、寄せられた意見を踏まえた上で、政令の制定手続きを進める。
※アイキャッチは、阿部参事官(左)と参事官付の鈴木健弘企画官