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【年頭所感】「地域の繁栄なくして国の繁栄なし」国土交通大臣 金子恭之

コメント

新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます。

能登半島地震の発生から2年、そして、復興中の奥能登を襲った豪雨から約1年3月が経ちました。先月も、青森県において最大震度6強を記録する大規模地震が発生したところです。被災された方々におかれましては、心よりお見舞い申し上げるとともに、震災や豪雨によって亡くなられた方々の御冥福を改めてお祈りいたします。国土交通大臣就任後、直ちに能登半島の被災地へ視察に行ってまいりました。能登半島地震、東日本大震災をはじめとする被災地の賑わいと笑顔を一日も早く取り戻し、被災された方々の生活やなりわいの再建が叶うよう、国土交通省を挙げて、復旧・復興を、急いでまいります。

本年も、引き続き、「国民の安全・安心の確保」、「力強い経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」を重点的に取り組む三本の柱として、全力で取り組んでまいる所存です。

まず、「国民の安全・安心の確保」についてです。昨年1月に発生した埼玉県八潮市での道路陥没事故を踏まえた対策など、防災・減災、国土強靱化を強力に推進してまいります。加えて、輸送の安全は、運輸事業者にとって最も基本的であり、かつ、最も重要な使命であるという考えの下、事業者などにおける安全管理体制の強化を含む交通の安全確保に取り組むとともに、多様化・複雑化する海上保安業務に適切に対応してまいります。

次に「力強い経済成長の実現」についてです。高市内閣で、成長戦略の戦略分野に位置づけられている我が国造船業の再生や港湾ロジスティクスの強化に向けて、率先して取り組んでまいります。その他、高規格道路、整備新幹線などの整備、空港の機能強化、物流・建設業などの担い手の確保などにも取り組んでまいります。

最後に、「個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」についてです。「交通空白」の解消、二地域居住等の促進、持続可能な観光の推進などに取り組み、地方への人の流れを拡大し、地方での賑わいづくりや雇用の拡大を促すとともに、日常生活や経済活動、多様な暮らし・働き方を実現するインフラや交通体系の整備を着実に進めてまいります。

国土交通行政は、国民の命と暮らしを守り、我が国の経済や地域の生活・なりわいに直結しています。私はこれまでも「地域の繁栄なくして、国の繁栄なし」という考えのもと、徹底した現場主義で地域の「生の声」と「本音の声」を聞いてまいりました。こうした現場の声によく耳を傾け、国民のみなさまのニーズにしっかり応えるとともに、災害や事故などの有事の際は機敏に対応することを含め、本年も全力で任務に取り組んでまいります。

①国民の安全・安心の確保

能登半島における自然災害からの復旧・復興

能登半島地震の発生から2年、そして、復興中の奥能登を襲った豪雨から約1年3月が経ちました。震災や豪雨によって亡くなられた方々の御冥福を改めてお祈りいたします。

被災地の賑わいと笑顔を一日も早く取り戻し、被災された方々の生活やなりわいの再建が叶うよう、国土交通省を挙げて、復旧・復興を、急いでまいります。

災害公営住宅については、必要戸数約3,000戸すべての用地確保にめどが立ち、早い地区で今年夏ごろに入居予定としております。また、被災地における建設費の高騰を考慮し整備費の補助限度額を見直しており、引き続き早期整備を支援してまいります。

観光については、能登地域の観光拠点・観光資源の再生に向けて、宿泊施設の事業再開・事業継続に向けた計画の策定、復旧後の誘客促進を図るためのコンテンツ造成等の支援や、被災地の状況を踏まえた観光プロモーションに取り組むとともに、復興状況に応じた手厚い旅行需要喚起策を行うことを検討してまいります。

権限代行等により災害復旧を進めている能越自動車道等については、昨年末に震災前と同程度の走行性を確保したところです。能越自動車道等及び権限代行により災害復旧を進めている国道249号沿岸部の本復旧については、令和11年春迄に完了できるよう、被災地の早期復旧・復興に向けて全力で取り組んでまいります。

河川・土砂災害箇所については、昨年の出水期までに応急安全対策が完了しました。引き続き、河川は令和10年度末、砂防は令和11年度末までの完了を目指し、権限代行による本復旧等を進めてまいります。また、大きな津波被害を受けた宝立正院海岸についても、令和9年度末までの完了を目指し、権限代行による本復旧を進めてまいります。

上下水道については、引き続き、関係機関と連携し、小規模分散型水循環システムの技術実証等を含め、上下水道施設の本復旧をしっかり支援してまいります。

港湾については、被災地の復旧やなりわいの再建に資する災害廃棄物や建設資材等の輸送を優先しながら、被災施設の本復旧を進めております。引き続き港湾利用を確保しつつ、段階的な復旧工事に取り組み、令和7年度末には被災前の取扱貨物量の回復を目指すとともに、令和8年度末までに主要係留施設全ての本復旧完了を目指してまいります。

能登空港については、令和6年12月25日からは震災前と同様、一日2便に復便しております。引き続き、権限代行により、滑走路等の早期復旧を目指します。

復興まちづくりについては、液状化災害の再発防止対策や土地区画整理事業など、被災市町の復興計画に位置づけられた事業を支援してまいります。豪雨によって宅地、農地等にまたがって堆積したガレキ混じり土砂については、一括撤去が可能なスキームを構築し、令和7年出水期までに全ての被災宅地からの撤去が完了しました。

液状化に伴う側方流動によって、ずれが生じてしまった土地境界については、「土地境界再確定加速化プラン」に基づき、関係省庁、県、自治体等が一体となって取り組み、7年要するとも見込まれた境界再確定に向けた調査について、最短で2年となる令和8年度中に完了することを目指します。

令和7年の自然災害等からの復旧・復興

昨年は8月に九州・北陸地方を中心に被害が発生した大雨や、八丈島に上陸した台風22・23号、大分県大分市で発生した大規模な火災など、全国各地で様々な災害が発生しました。また、12月には青森県東方沖で最大震度6強の地震が発生し、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表しました。

8月6日からの大雨では、多数の中小河川の氾濫や土砂災害、断水等が発生しました。私も熊本県の被災現場を視察し、深刻な被害を目の当たりにしました。国道10号網掛橋では護岸崩壊により通行止めが発生したため、並行する東九州自動車道(隼人東IC~加治木IC)において代替路(無料)措置を実施しました。11月9日には網掛橋の応急復旧の完了により通行止めが解消されましたが、引き続きこれらの被災した施設の本復旧等を進めてまいります。

10月中旬に八丈島を襲った台風第22・23号では、最大で4,000戸を超える断水や八丈一周道路(都道)の三根~中之郷間で通行止め等が発生しました。被災された方の生活再建に向け、関係機関が連携して応急給水、被災施設の復旧作業等を行い、11月15日には全域で断水が解消されたほか、八丈一周道路の中之郷~末吉間については10月9日に緊急車両等・10月31日に一般車両の通行が可能となり、末吉~三根間についても10月17日に緊急車両等の通行を確保し、現在は一般車両の通行確保に向けて復旧作業を行っているところです。

11月に発生した大分県大分市の大規模な火災に対しては、九州地方整備局に「大分市佐賀関復興まちづくり・住まいづくり支援チーム」を設置し、まちと住まいの復興に向けた助言等の支援を行っているほか、消防庁とともに検討会を設置し、木造密集市街地における大規模火災に対する今後の消防防災対策のあり方の検討を行っています。

12月8日の青森県東方沖の地震については、私も被災地を視察し、八戸港やJR八戸線といったインフラやNTT鉄塔の被害状況を現場で確認するとともに、青森県知事・八戸市長とも意見交換を行い、被災地域の皆様に寄り添った災害対応、早期復旧を進める決意を新たにしたところです。

また、過年度に発生した災害についても復旧・復興に必要な取り組みを行っており、例えば熊本県を中心に被害が生じた令和2年7月豪雨については、国・県・流域市町村等が一体で取り組んでいる「球磨川水系流域治水プロジェクト」により、河道掘削や遊水地整備、そしてプロジェクトの根幹となる川辺川ダムといった抜本的な治水対策を強力に推進しています。この豪雨で被災したJR九州肥薩線については、令和4年から国も入ったJR肥薩線検討会議を中心に議論を進めてきており、八代駅~人吉駅間については、昨年4月に熊本県とJR九州との間で、上下分離方式による鉄道での復旧に関する最終合意が行われたところです。

引き続き、できる限り現場に赴き、被災された方の生の声を聞きながら、地域の一日も早い復旧・復興に全力を尽くすとともに、地域住民の生命・身体・財産を守り抜くためには「できることは全てやる」という考えのもと、さらに災害に強い国づくりを進めてまいります。

東日本大震災からの復興・再生

東日本大震災からの復興・再生は、政府の最優先課題の一つです。『福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし』。この強い決意の下、現場の声にしっかりと耳を傾け、被災者の方々のお気持ちに寄り添いながら、被災地の復興・再生に取り組んでまいります。

国が主体となって整備を進めてきた復興道路・復興支援道路550kmについては、令和3年12月18日に全線開通しました。このうち、例えば、三陸沿岸道路は圏域の骨格軸を形成し、時間短縮により交流人口を拡大するとともに、多くの企業立地を促進しており、間接効果や、災害に対する強靱性、低炭素化など、多様な効果を発揮しています。引き続き、常磐自動車道における暫定2車線区間の4車線化及び小高スマートICの整備を推進してまいります。

住宅再建・復興まちづくりでは、避難指示解除区域内等の復興・再生を図るため、福島県内の復興再生拠点の整備を支援してまいります。このほか、岩手県・宮城県に続き福島県内で整備を進めている、東日本大震災からの復興の象徴となる国営追悼・祈念施設について、本年4月25日の開園に向け着実に取り組んでまいります。

観光関係では、実際に現地を見ていただくことが最大の風評対策と考えています。福島県に対し、滞在コンテンツの充実・強化等の取組を支援すると共に、ALPS処理水の海洋放出による風評対策として、岩手県から茨城県の沿岸部に対し、国際環境認証であるブルーフラッグ取得等の取組を支援してまいります。

防災・減災、国土強靱化

国土強靱化の取組は、自然災害から国民の生命・財産・暮らしを守るとともに、ライフラインの強靱化等を通じて力強い経済成長を実現するものであり、危機管理投資の大きな柱でもあります。

これまで、「5か年加速化対策」として、おおむね15兆円程度の事業規模で、国土強靱化の取組を行ってまいりました。

これにより、全国各地で着実に効果は積み上がっていますが、その一方で、自然災害が激甚化・頻発化しており、また、老朽化したインフラの整備や保全が喫緊の課題となっています。

このような声も踏まえ、令和5年に、議員立法により「国土強靱化実施中期計画」が法定化され、改正国土強靱化基本法に基づく「第1次国土強靱化実施中期計画」が昨年6月に閣議決定されました。

本計画において、事業規模については、「5か年加速化対策」を上回る水準として、「今後5年間でおおむね20兆円強程度を目途とし、今後の資材価格・人件費高騰等の影響については予算編成過程で適切に反映する」こととされたところです。

国土交通省としては、「第1次国土強靱化実施中期計画」の初年度から、防災・減災、国土強靱化を切れ目なく進められるよう、昨年末に成立した令和7年度補正予算も活用しながら、国土強靱化の取組を全力で進めるとともに、引き続き、労務費や資材価格の高騰の影響等も考慮した必要かつ十分な事業が実施できる予算の確保に努めてまいります。

インフラ老朽化対策の推進

我が国のインフラは、高度経済成長期以降に集中整備され、現在、老朽施設の割合が加速度的に高まる中、その的確な維持管理や更新の重要性が増加しております。

このため、定期的な点検や、インフラの適切に管理・更新により、施設に不具合が生じる前に予防的な修繕等を実施する「予防保全型メンテナンス」の考えで取り組むことで中長期的なトータルコストの縮減や予算の平準化を図ることが重要です。

一方、インフラを管理している自治体、とりわけ市町村においては、人員や予算の不足等による課題が深刻化しているものと認識しています。

こうした課題に対応するため、国土交通省では、複数自治体のインフラや複数分野のインフラを「群」として捉え、効率的・効果的にマネジメントしていく「地域インフラ群再生戦略マネジメント」、いわゆる「群マネ」の取組を推進しております。

群マネの拡大に向けた課題としては、自治体や事業者に対して、導入によるメリットが十分に浸透していない一方で、実施手順や調整方法を巡る不安が先行していることが考えられます。

そのため、昨年10月には、先行事例におけるノウハウ等を参考とした「群マネの手引きVer.1」を公表したところであり、群マネの全国展開に向けて取り組んで参ります。

さらに、対策の優先順位をつけた上で、効率的に老朽化対策を進めるためにも、インフラの点検・調査・診断において、AI・ドローン・ロボットなどの新技術の導入などを推進してまいります。

また、昨年12月には、埼玉県八潮市で発生した下水道管に起因する道路陥没事故を受けて設置された有識者委員会より、点検の方法等の効率化や地域の将来像を踏まえた、対策の優先度の設定や計画的な集約・再編など、限られた人員・予算で効率的なマネジメントをしてゆく「メリハリ」といった、新たなインフラマネジメントに向けた5つの道すじが示されました。これらの具体化に向けて継続して検討していきます。

災害対応体制の強化

国土交通省では、東日本大震災や西日本豪雨など全国各地で発生した災害に対し、これまで延べ17万人以上のTEC-FORCEを派遣してまいりました。

引き続き、南海トラフ地震等の大規模広域災害発生時にも自治体等を迅速かつ的確に応援できるよう、専門的な知識を有する民間人材を非常勤雇用するTEC-FORCE予備隊員制度の創設、民間事業者をTEC-FORCEパートナー、学識者をTEC-FORCEアドバイザーと位置づけ、全国から円滑に応援を行える体制の確保、都道府県等との合同研修の実施など、行政機関・民間企業・学識者が一体となり、災害対応力を格段に引き上げてまいります。

大規模災害発生時には、緊急車両等の通行のため、早急な道路啓開が必要です。このため、能登半島地震の教訓を踏まえ、昨年4月に道路法を改正し、道路管理者による道路啓開計画の策定を法定化するとともに実践的な訓練など計画の実効性を高める取り組みを行うこととしました。まずは地震・津波について、北陸ブロックでは昨年末に、他の全国のブロックでは今年度内に、道路啓開計画を策定する予定です。

加えて、平常時の「道の駅」の利便性向上や、災害時の被災地への派遣を目的として、防災用コンテナ型トイレの配備を進めてまいります。

また、事前防災及び災害時の迅速な状況把握や復旧作業に資するため、衛星データ等による地殻変動監視の強化及び航空レーザ測量による高精度標高データ、自然災害リスク把握のための地形分類情報等の地理空間情報の充実を進めてまいります。

地方公共団体への災害発生後の支援については、TEC-FORCEの機能強化に加え、港湾、空港等について、災害対応や適切な管理等に対する国の直接支援を強化してまいります。

具体的には、港湾においては、非常災害等が発生した場合に、港湾法に基づき港湾管理者からの要請を受け、港湾施設の一部を国が管理する制度を活用した支援を行ってまいります。

空港においては、災害時に地方管理空港の空港管理者から要請があった場合に、空港法に基づく工事と空港運用の代行制度により、支援を行ってまいります。また、災害時に、半島・離島地域における空港が緊急物資・人員等輸送拠点として機能するために必要不可欠である給油施設整備のための補助事業を予定しています。

防災気象情報の高度化

昨年の臨時国会では気象業務法及び水防法の一部を改正する法律を成立していただきました。この改正を踏まえた新たな防災気象情報体系の運用を本年出水期から開始する予定です。運用開始に向け、水防に関する情報の発信者となる地方公共団体、情報を届けていただく報道機関をはじめ各種メディアの皆様、避難情報の発令等を担う地方公共団体など、多くの関係者と密に連携し準備を進めてまいります。また、国民の皆様が的確に情報を受け止め、行動に繋げていただけるよう、しっかりと周知・広報にも取り組んでまいります。加えて、外国法人等による予報業務に関する規制の強化についても、関係する外国法人等への指導監督を徹底し、国内利用者の保護を一層図ってまいります。

線状降水帯・台風等の予測精度向上に向けた取組を着実に進めてまいります。特に、本年出水期には線状降水帯発生の2~3時間前を目標とした直前予測の情報の提供開始を予定しております。引き続き、最新技術を導入した次期静止気象衛星「ひまわり」の整備等、観測の強化、スーパーコンピュータを活用した予測技術の開発等、予測の強化を進めてまいります。

切迫する南海トラフ地震等の大規模地震への対応として、「南海トラフ地震臨時情報」等の大規模地震に関する情報の普及啓発の取組を進めます。また、緊急地震速報や津波警報、震度情報等の発表に必要な地震・津波観測体制や、噴火の兆候を把握し、的確な噴火警報や噴火速報、火山灰情報等の発表に必要な火山観測体制の強化を進めてまいります。

大雨による災害が見込まれる際などには、気象台から地方公共団体に「気象庁防災対応支援チーム(JETT)」を派遣して気象情報の解説等の支援を行っており、今後も迅速にJETTを派遣できるよう体制を確保するなど、地方公共団体への支援の充実・改善に努めてまいります。また、地域の気象と防災に精通する「気象防災アドバイザー」の拡充と、地方公共団体における活用促進を一層推進します。

さらに、地方公共団体への支援に加え、地域の防災対応を担うさまざまな機関への支援についても、関係省庁とも連携しつつ取り組んでまいります。

強靱で持続可能な上下水道の構築

上下水道については、昨年発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故や沖縄県の導水管漏水事故での対応を踏まえ、点検方法の見直しや、事故が発生してしまった場合に多数の地域住民の方々に重大な影響を及ぼす可能性がある管路の更新、災害・事故後に、迅速に機能を確保することが容易ではない管路の複線化等による老朽化対策に全力で取り組んでまいります。あわせて、老朽化対策を着実に進めるため、複数自治体による一体的事業運営や施設の最適配置による基盤強化、DX技術の実装によるメンテナンスの高度化・効率化等を推進し、強靭で持続可能な上下水道の構築を図ってまいります。

また、国土交通省としましては、道路管理者と道路占用者との連帯による道路地下空間マネジメントの実現が必要と考えており、これまで施設管理者毎で管理していた地下埋設物の点検結果などの情報をデジタル化・統合化し、地図上に重ね合わせて表示する「道路空間情報プラットフォーム」の構築の検討を推進してまいります。

流域治水の加速化・深化

災害の多い我が国において、国民の生命・財産・暮らしを守り抜くためには、事前防災にしっかり取り組むことが必要です。近年、気候変動の影響により水災害が激甚化・頻発化し、また、今後の降雨量の増大も予測されており、一刻の猶予も許されない局面を迎えています。そのため、河川、ダム、砂防などの整備を推進するとともに、住まい方の工夫や住民の皆様に分かりやすい避難情報の提供など、あらゆる関係者が協働して、流域全体でハード・ソフト一体となった対策を総動員する「流域治水」の加速化・深化を図り、事前防災を進めることで、防災・減災、国土強靭化を全力で推進してまいります。

浸水リスクを踏まえた防災まちづくりや企業の立地選択が一層進むよう、現在公表している、河川氾濫により地域が浸水する頻度を示した「水害リスクマップ」について、頻発する内水氾濫のリスクも含めたものに改良するなど、水害リスク情報を充実させてまいります。さらに、災害から命を守る行動を的確に取ることができるよう、災害時の一人ひとりの行動計画を記した「マイ・タイムライン」の作成を支援してまいります。

また、流域治水の機運醸成の取組として、過去の災害の教訓や今後の備えに対する理解を深めていただくことで「災害リスクの自分事化」を図る「NIPPON防災資産」について、令和7年12月に第2回認定として10件(優良認定:6件、認定:4件)を新たに認定しました。引き続き、認定案件の深化や新たな案件の認定を内閣府と連携しながら進めてまいります。

近年、人口減少や産業構造の変化に伴う水需要の変化やカーボンニュートラルの実現など社会情勢が大きく変化していることに加え、渇水リスクの増大や水インフラの老朽化などに対応するため、治水に加え利水・環境においても流域のあらゆる関係者が協働し、「水災害による被害の最小化」、「水の恵みの最大化」そして「水でつながる豊かな環境の最大化」を実現させる「流域総合水管理」を各流域の特性を踏まえ推進してまいります。

災害時における物流・人流の確保

大雨や地震等の発災後、おおむね1週間以内に一般車両の通行を確保できるよう、災害に強い道路ネットワークを構築するため、高規格道路の未整備区間の整備や暫定2車線区間の4車線化、高規格道路と代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワーク化等を推進します。

昨年も、東京都伊豆諸島をはじめ台風に伴う電柱倒壊が相次ぎ、道路閉塞に伴う交通障害や長期停電・通信障害が発生し、防災の観点から無電柱化の重要性が一段と高まっています。

令和8年度からの次期無電柱化推進計画においては、無電柱化を一層加速できるよう、関係省庁や事業者と連携し取り組んでまいります。

短期間に集中的な大雪が発生する傾向等を踏まえ、冬季の道路交通の確保に向けて「人命を最優先に、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避する」という考えの下、ハード・ソフトの両面から必要な対策を進めてまいります。

災害時に迅速に代替輸送を確保し、物流の停滞を防ぐため、拠点となる貨物駅において、コンテナホームの拡幅等の機能強化を進めるとともに、貨物鉄道のBCPの策定を推進してまいります。

港湾の保全及び円滑な利用の確保

令和6年能登半島地震においては、能登半島地域の受援側の港湾とその周辺の支援側の港湾が連携し、支援物資等の海上輸送が実施されました。この教訓を踏まえ、緊急物資等の輸送拠点としての港湾機能の確保を図るための措置を含む「港湾法等の一部を改正する法律」が昨年4月に成立しました。これを受けた施策の推進を含め、災害時の海上支援ネットワーク形成のための港湾の防災拠点機能の強化を推進してまいります。

官民の様々な主体が立地する港湾において、気候変動への適応を効果的に実施するため、関係者が協働して気候変動への適応水準や時期に係る共通の目標等を定めるとともに、ハード・ソフト両面の対策を進める「協働防護」については、昨年4月の港湾法改正で制度化した枠組みを活用し、予算・税制・技術面の支援も含めて取組を進めてまいります。

輸送の安全の確保

令和6年1月の羽田空港での航空機衝突事故を踏まえ、昨年6月に公布された「航空法等の一部を改正する法律」により、空港における滑走路の安全対策の強化や、ヒューマンエラーの未然防止を目的としたパイロットの技能発揮訓練(CRM訓練)の義務付けを行いました。引き続き、航空の安全・安心の確保に万全を期してまいります。

令和4年4月に、北海道知床において小型旅客船が沈没し、乗客乗員計26名が死亡・行方不明となる重大な事故が発生しました。改めて、お亡くなりになられた方々とその御家族の皆様方に対し、心よりお悔やみを申し上げるとともに、事故に遭遇された皆様とその御家族に重ねて心よりお見舞い申し上げます。国土交通省では、事故発生以来、海上保安庁の巡視船艇・航空機等による捜索を実施してきました。また、「海上運送法等の一部を改正する法律」に基づき、船員の資質向上や監査の強化などの対策を行うとともに、本年4月からは、安全統括管理者・運航管理者の資格者証保有者からの選任が義務化される予定です。引き続き、皆様に安心して利用いただけるよう、安全・安心対策に万全を期してまいります。

各モードにおける安全対策に加え、「運輸安全マネジメント制度」をより積極的に活用し、運輸事業者の安全管理体制を一層強化するとともに、事業者の安全意識の構築・定着に取り組んでまいります。また、運輸分野におけるモード横断的な安全対策にも取り組んでまいります。

踏切対策については、立体交差化等の対策に加え、周辺の迂回路整備やバリアフリー化、踏切保安設備の整備等も含めた総合的対策を推進するとともに、災害時に長時間交通が遮断されることのないよう優先開放等の措置を確実に実施するよう取組を進めてまいります。

鉄道分野においても、近年の輸送障害等を踏まえ、安全・安定輸送に向けた施策に取り組んでまいります。

また、昨年5月に東京メトロ南北線の東大前駅において発生した刃物による傷害事件をはじめとして、催涙スプレーによる傷害行為や車両内における液体散布といった、乗客の安全を脅かす事案が相次いで発生しておりますので、令和5年に設置義務化された車内防犯カメラの効果的な活用を含め、鉄道テロ等の安全対策を引き続き徹底してまいります。

自動車分野においては、自動車運送事業の更なる安全性向上を図るため、運行管理の高度化や監査体制の強化等の取組を進めてまいります。日本郵便における点呼不備に関しては、引き続き、処分の適切な実施や再発防止の取組の監督等を通じ、安定的な輸送の確保を図ってまいります。

我が国海運会社が運航する船舶が紅海において「拿捕」された事案をはじめ、船舶の安全運航や船員の安全を損なう行為に対し、断固非難するとともに、関係省庁、関係機関、国際社会と緊密に連携して対応してまいります。加えて、ソマリア沖・アデン湾やマラッカ・シンガポール海峡等における海賊対策等の国際協力を通じて、シーレーンの航行の安全確保に取り組んでまいります。

交通の安全・安心

世代別の事故特性を踏まえ、データや新技術を活用し、速度抑制対策と速度規制を組合せたゾーン三十プラスなど生活道路等の面的対策を強化し、事故のない社会の実現に取り組んでまいります。

近年、高齢運転者による交通事故割合は増加傾向にあり、引き続き、高齢運転者による交通事故防止は喫緊の課題です。国土交通省では、ペダル踏み間違い時加速抑制装置の装着を義務付けるとともに、安全性能の評価・認定等を通じて、引き続きペダルの踏み間違いによる事故の防止に取り組んでまいります。

また、自動車の安全性能を点数化し公表する自動車アセスメントにおいて、新たに、出会い頭事故等にも対応するより高度な衝突被害軽減ブレーキの評価を開始することで、安全技術の性能向上と普及促進に取り組んでまいります。

また、令和7年度補正予算において自動車安全特別会計から一般会計に対する繰入金の全額が繰り戻されました。全額繰戻しにより自動車安全特別会計の財政基盤が強化され、将来にわたって自動車事故被害者への支援事業等を安定的に継続して実施することができると考えております。

引き続き、自動車事故被害者やご家族のニーズを踏まえ、被害者に寄り添った支援の充実、強化を図ってまいります。

共生社会の実現への取組

障害の有無や特性にかかわらず、誰もが安心して外出し、社会生活を送ることができる社会に向けて、バリアフリー環境を整備していくことは大変重要です。

このため、バリアフリー法に基づき、公共交通機関や建築物等のバリアフリー化や地域における重点的・一体的なバリアフリー化、高齢者障害者用施設等の適正利用を促進する「心のバリアフリー」の取組などをより一層強化してまいります。さらに、令和8年度を初年度とする新たなバリアフリー整備目標に基づき、当事者の皆様からの御意見を丁寧に伺いながら、ハード・ソフト両面からのバリアフリー化を推進してまいります。

また、鉄道駅においては、都市部では鉄道駅バリアフリー料金制度など、地方部では予算措置による重点的支援を活用しながら、バリアフリー化を進めてまいります。

このほか、国土交通省としては、障害を理由とする差別の解消に向けた取組の推進や日常生活と密接した国土交通分野において、社会的な性差の違いによる不平等を是正していくためにジェンダー主流化に引き続き取り組むなど、誰もが安心して参加し、活躍することが可能な、若者・女性を含む共生社会の形成を推進するため、全力で取り組んでまいります。

海上保安能力の強化等

近年、尖閣諸島周辺海域において、中国海警局に所属する船舶による領海侵入や、日本漁船に近づこうとする事案が繰り返し発生しているなど、我が国周辺海域の情勢は一層厳しさを増しています。

このような情勢を踏まえ、海上保安庁では、令和4年12月に決定された「海上保安能力強化に関する方針」に基づき、大型巡視船等の大幅な増強整備や、無操縦者航空機等の新技術の活用、自衛隊をはじめとする国内外関係機関との連携・協力の強化、サイバー対策の強化を図るとともに、人材の確保・育成、処遇の向上、職場環境の改善など人的基盤の強化を推進することにより、海上保安能力を一層強化してまいります。

あわせて、総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備や国民保護に資する取組も推進してまいります。

クマ被害への対応

クマによる人身被害が相次いでいることを踏まえ、昨年11月に「クマ被害対策パッケージ」が決定されました。国土交通省としては、河川におけるクマ出没防止対策、インバウンドを含む観光客への多言語による情報発信を行うこととしております。同パッケージを踏まえ、国土交通省としても、クマ被害の防止に必要な対策を着実に実行してまいります。

②力強い経済成長の実現

造船業の再生

四面を海に囲まれ、貿易量の99.5%を海上輸送に依存する我が国において、造船業は経済安全保障の確保に寄与するとともに、我が国の経済や国民の生活を支える重要な産業です。高市政権が立ち上げた日本成長戦略本部の下、「造船」が「危機管理投資」・「成長投資」の戦略分野の一つとして位置付けられております。また、昨年10月末のトランプ大統領来日時に、ラトニック商務長官との間で日米造船協力に関する覚書が締結される等、日米関係においても造船の重要性が高まっています。

こうした状況を踏まえ、我が国の造船能力を抜本的に向上するための設備投資・研究開発等を支援するための基金を設置し、今後10年で総計3,500億円規模の支援の実施を目指すこととしています。また、昨年末には、この基金をはじめとする総合的な施策の絵姿を示した「造船業再生ロードマップ」を策定しました。本年から、このロードマップの実行に力を尽くしてまいります。

また、日本商船隊や国内船主の国際競争力の強化を通じて、国民生活や経済に不可欠な国際海上輸送の安定的な確保に取り組んでまいります。

港湾ロジスティクスの強化

昨年11月4日に設置された日本成長戦略本部において、「危機管理投資」・「成長投資」による強い経済の実現に向けた戦略分野の一つとして、「港湾ロジスティクス」が挙げられました。我が国の国際競争力を向上させ、経済安全保障の強化を図るため、港湾のサイバーセキュリティ対策やサイバーポートによる港湾関連手続の電子化、さらには「ヒトを支援するAIターミナル」等の取組により、「港湾ロジスティクス」の強化を図ってまいります。

地域経済に寄与する産業立地の促進

半導体等の戦略分野に関する国家プロジェクトの推進や地域の産業立地促進に必要なインフラの整備について、関係省庁とも連携しつつ、企業や地域のニーズを総合的に勘案しながら、迅速かつ集中的に推進してまいります。

戦略的・計画的な社会資本の整備

社会資本整備は、人流・物流といった社会経済活動を支え、生産性の向上や民間投資の誘発により、我が国の力強い経済成長を実現するための基盤であるとともに、国民生活や地域社会を支える大変重要な役割を担っており、未来への投資であると考えております。

このため、中長期的な視点に立って、社会資本整備に取り組むための「羅針盤」として、次期社会資本整備重点計画を策定し、安定的・持続的な公共投資のもとで、将来の成長基盤となるストック効果の高い事業を戦略的・計画的に推進してまいります。

建設資材の価格高騰への対応も重要な課題です。国土交通省としては、直轄工事において、適正な予定価格の設定や契約後の状況に応じた契約変更に取り組むとともに、地方公共団体に対しても、適切な価格転嫁が行われるよう、しっかりと働きかけを行ってまいります。引き続き、近年の労務費や資材価格の高騰の影響等を考慮しながら、必要かつ十分な公共事業予算を安定的・持続的に確保するよう取り組んでまいります。また、改正建設業法において、民間工事も含め資材高騰分の転嫁ルールを新たに定めたところであり、民間発注者団体や建設業団体等への働きかけや建設Gメンの取組を通じて本制度の定着を図ってまいります。

公共施設等の整備・運営に民間の創意工夫や資金を活用するPPP/PFIについて、PPP/PFI推進アクションプラン(令和7年改定版)に基づき、空港・交通ターミナル 等の国土交通省所管分野におけるコンセッション等の導入を推進するとともに、上下水道の持続性向上のために水の官民連携(ウォーターPPP)を推進してまいります。また、官民が連携して遊休公的施設の活用を図るスモールコンセッションを推進し、地域の活性化に取り組んでまいります。

基幹的な交通体系の整備

道路分野においては、物流上重要な道路輸送網を「重要物流道路」として指定し、平常時・災害時を問わない安全かつ円滑な物流等を確保するための機能強化を図ってまいります。加えて、道路情報の電子化の推進等により、即時に通行可能な特殊車両通行確認制度の利用拡大を推進し、特殊車両通行手続の迅速化を進めるとともに、ダブル連結トラックの導入促進等を通じて、物流の効率化を促進してまいります。また、バスタプロジェクトを全国的に推進することで、多様なモビリティを含めた交通モード間の連携を強化してまいります。

鉄道分野においては、整備新幹線、リニア中央新幹線について、地元の理解を得つつ、着実に整備が進められるよう、必要な取組を行ってまいります。

現在建設中の北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)については、昨年3月、有識者会議の報告書において、完成・開業は現時点では概ね2038年度末頃の見込みだが、開業時期については今後改めて精査が必要とされました。また、昨年12月、建設主体である鉄道・運輸機構より、現時点の想定では、事業費が最大1.2兆円増加するおそれがあるとの報告がありました。この報告を受けて、有識者会議を開催し、改めて事業費の精査を進めてまいります。関係者の理解と協力を得て、北海道新幹線の整備を着実に進めるよう努めてまいります。

残る未着工区間について、北陸新幹線(敦賀・新大阪間)については、一日も早い全線開業に向けて、与党でのご議論も踏まえつつ、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)については、引き続き、新幹線整備の必要性、重要性についてご地元の皆様に丁寧に説明をしていくとともに、佐賀県との間でも議論を続けていくなど、ご理解を得られるよう取り組んでまいります。

また、整備新幹線として最初に整備された北陸新幹線(高崎・長野間)は、令和9年9月末で開業から30年を迎えます。開業から30年間収受することとされている整備新幹線の貸付料のそれ以降の取扱い等を含め、今後の整備新幹線の貸付のあり方について議論するため、交通政策審議会の下に「今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会」を設置しました。こうした場での議論も通じ、整備新幹線の整備財源となる貸付料について、開業後31年目以降も適正に収受できるよう、検討を進めてまいります。

リニア中央新幹線(品川・名古屋間)については、建設主体であるJR東海において、山梨リニア実験線を除く工事区間約243kmのうち、約9割の区間で工事契約が締結され、工事が進められています。未着工の静岡工区については、「静岡工区モニタリング会議」を通じて、JR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って一層の対話を促すなど、早期開業に向けた環境整備を進めてまいります。名古屋・大阪間も含め、関係自治体やJR東海と連携し、一日も早い全線開業に向けてしっかりと取り組んでまいります。

基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークについて、地域の実情を踏まえ、高機能化に関する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進めてまいります。

港湾分野においては、我が国のサプライチェーン強靱化に資する国際基幹航路の維持・拡大を図るため、国際コンテナ戦略港湾政策を推進してまいります。具体的には、

・国内のみならず、アジアからの国際トランシップ貨物を含めた「集貨」

・流通加工・再混載等の複合機能を有する物流施設の立地支援等の「創貨」

・大水深コンテナターミナルの整備、遠隔操作クレーンの導入支援等の「競争力強化」

の3本柱の取組を、港湾管理者、港湾運営会社などの関係者と一丸となって強力に取り組んでまいります。

また、国際バルク戦略港湾を拠点としたバルク貨物輸送の効率化に取り組んでまいります。

加えて、地域の基幹産業の競争力強化のための港湾の整備に取り組むとともに、モーダルシフトの受け皿となる内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化、農林水産省と共同で産地と港湾が連携した農林水産物・食品の輸出促進を図ってまいります。

航空分野のうち、羽田空港については、2020年3月から現在の飛行経路の運用を開始しており、引き続き、騒音・落下物対策の更なる充実を図るとともに、地域への丁寧な情報提供を行ってまいります。また、機能拡充に向けて、空港アクセス鉄道の整備等を進めてまいります。

近畿圏空港については、2030年前後を目途とした関西3空港全体での年間発着容量50万回に向けて、昨年3月より開始した新たな飛行経路について、安全面・環境面に配慮した着実な運用を行うほか、必要な機能強化を推進してまいります。

中部空港については、現滑走路の大規模補修時における継続的な空港運用及び完全24時間運用の実現等を目的とした代替滑走路事業を推進してまいります。

その他地方空港については、北九州空港及び屋久島空港の滑走路延長事業、那覇空港の国際線ターミナル地域再編事業、丘珠空港の滑走路延長に係るPI(パブリック・インボルブメント)や環境影響評価の取組みなどを推進し、ゲートウェイ機能の強化を図ってまいります。

成田空港の機能強化

成田空港については、地域との共生・共栄の考え方の下、国際競争力の強化、インバウンドの受入れ、国際物流ネットワーク構築の観点から、B滑走路の延伸及びC滑走路の新設等の「更なる機能強化」を着実に進め、年間発着容量50万回の早期実現を図ってまいります。

質の高い都市鉄道ネットワーク

都市鉄道については、昨年10月に新空港線(蒲蒲線)の速達性向上計画を認定し、事業化したところです。これにより、新宿や渋谷などの国際競争力強化の拠点と羽田空港とのアクセス利便性の向上が期待されます。このほか、国際競争力の強化等に資する都市鉄道ネットワークの充実を図るため、なにわ筋線、東京メトロ有楽町線(豊洲~住吉)、同南北線(品川~白金高輪)などの整備を着実に進めてまいります。また、成田空港の発着容量拡大を見据え、鉄道アクセスの機能強化について、国際観光旅客税の活用も含め、具体的な支援を検討してまいります 。

原油価格・物価高騰等への対応

燃料油価格の高騰により、交通・物流業界を取り巻く経営環境は厳しい状況にあります。このため、政府として、令和4年1月から燃料油価格の激変緩和事業を実施するとともに、国土交通省においても、タクシーの燃料であるLPガスについて、燃料油価格の激変緩和事業に準じた支援を行っております。

また、昨年11月に閣議決定した「「強い経済」を実現する総合経済対策」において、ガソリン・軽油の暫定税率廃止に伴う燃料油価格激変緩和対策補助金の終了により影響を受ける方々への支援については、「重点支援地方交付金」やその他各業種向けの施策を活用して行うこととしております。この「重点支援地方交付金」については、昨年成立した令和7年度補正予算に盛り込まれており、国土交通省としても同交付金の推奨事業として挙げられた交通・物流に対する支援を地方公共団体に働きかけてまいります。

あわせて、トラック運送事業、内航海運業及び倉庫業等において、燃料等の価格上昇分を反映した適正な運賃・料金を収受できるようにするための荷主等への周知や、法令に基づく働きかけ等を実施してまいります。

住宅価格が上昇する中、住宅取得の負担を軽減するため、都市圏の既成住宅地における空き家等の流通促進によるアフォーダブルな住宅供給の加速化や、フラット35の融資限度額引上げ等の固定金利型住宅ローンの利用の円滑化等に取り組んでまいります。

住宅ローン減税については、質の高い新築住宅への支援水準を堅持した上で、5年間延長するとともに、床面積要件を40㎡以上とする措置や、既存住宅に対する支援の大幅な拡充、具体的には、借入限度額や控除期間の引き上げ、子育て世帯等の借入限度額の上乗せといった措置を講じることが閣議決定されました。

また、昨年12月に成立した補正予算において、「みらいエコ住宅2026事業」を創設しました。環境省及び経済産業省との連携を通じて、①特に高い省エネ性能を有する「GX志向型住宅」の新築、②「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」の新築、更には③既存住宅の省エネ改修等への支援を行うこととし、物価高の影響を受けやすい住宅分野の省エネ投資の下支えを行ってまいります。

持続可能な産業の実現、各分野の担い手の確保、生産性の向上

地域を支える基幹産業を活性化し、成長力を高めていくことが求められています。持続可能な産業の実現に向け、各分野における担い手の確保、生産性の向上に取り組んでまいります。

物流は、我が国の国民生活や経済活動などを支える重要な社会インフラですが、2024年4月から、トラックドライバーに時間外労働の上限を定める規制が適用され、何も対策を講じなければ物流の停滞を生じかねない、いわゆる物流の「2024年問題」に直面していました。この物流の「2024年問題」については、官民での取組の成果により、何とか物流の機能を維持できており、関係者の皆様のご尽力に心より敬意を表します。

一方で、担い手不足が深刻化する中で、必要な物流の機能を維持していくためには、今後も物流の生産性向上や取引環境の適正化に向けた取組が不可欠です。このため、昨年4月から施行された「改正物流法」に基づき、物流の効率化や多重取引構造の是正に資する制度を着実に実施するとともに、本年1月より施行された中小受託取引適正化法を契機として、公正取引委員会や中小企業庁との連携を強化してまいります。また、事業許可の更新制、適正原価制度の導入等を内容とする「トラック適正化2法」の令和10年からの施行に向けた準備を着実に進め、取引環境の適正化を目指してまいります。さらに、トラック・物流Gメンによる是正指導や、倉庫等の物流拠点の整備に必要な制度の創設を含めた中継輸送の推進などの取組の強化を図るとともに、これらの内容を盛り込んだ次期「総合物流施策大綱」を策定してまいります。

2026年は、2030年度までの「集中改革期間」における物流革新の実現に向けた重要な1年であり、物流の未来を切り拓く飛躍の年となるよう、政府一丸となって、全力で取り組んでまいります。

バス・タクシーの担い手確保や経営力強化に向け、早期の賃上げや人材確保・養成の取組、経営効率化に向けた投資への支援を推進するとともに、特定技能外国人の受入れ等を進めてまいります。

自動車整備業においては、関係業界とも連携し、自動車の先進技術に対応できる人材を確保・育成するため、自動車整備士の魅力向上や職業PRに取り組むとともに、自動車整備事業者の生産性向上を支援することなど、外国人材の確保を含め、人手不足の解消に向けた取組を推進してまいります。

海事分野においては、海事産業強化法に基づく計画認定・支援制度に加え、令和8年度から3年間の延長が閣議決定された船舶の特別償却制度等の税制優遇措置や共有建造制度を通じて、海運事業者及び造船・舶用事業者の競争力強化を図ってまいります。

また、内航海運事業者については、荷主等との取引環境の改善、令和6年度補正予算において創設された設備投資支援の継続を通じた生産性向上、シャーシの導入支援等を通じた海運へのモーダルシフトに取り組んでまいります。旅客船事業者についても、インバウンド需要の拡大や、離島航路の維持確保、DX・GXの推進に向けた設備投資支援等に取り組んでまいります。

さらに、船員の労務管理の適正化等を通じた「船員の働き方改革」等を進めるほか、昨年4月に船員不足の深刻化、船舶の航行の安全確保のための国際的な規制強化、船員関係手続のデジタル化への対応を踏まえた「船員法等の一部を改正する法律」が成立し、施行に向けて各種制度の整備に取り組むとともに、独立行政法人海技教育機構ついて、海運業界から寄贈いただく新たな練習船の効果的な活用方策を含め、官民の関係者が一丸となった質の高い船員養成の維持に取り組んでまいります。加えて、造船・舶用工業における人材確保・育成を推進してまいります。

建設業は、国民生活や社会経済を支え、災害時には応急復旧の最前線で対応を行う「地域の守り手」として重要な役割を担っています。建設業が将来にわたって持続可能であるためには、現場を担う技能者の賃金が、優れた技能や厳しい労働環境にふさわしい水準に引き上げられることが重要です。

このため、昨年12月に全面施行を迎えた改正建設業法に基づき、中央建設業審議会から勧告された「労務費に関する基準」も踏まえ、技能者の処遇改善に向け、請負契約における適正な労務費の確保と、適正な賃金支払い推進に向けた施策を進めてまいります。

建設業は人で支えられ、成り立っている産業であり、建設業に従事する方々一人一人を大切にし、処遇の改善、長時間労働の是正や現場における安全性の確保などの施策を前に進め、将来に希望が持てる、若者にも魅力的な建設業の実現に努めてまいります。

港湾運送分野の労働者不足対策として、「港湾労働者不足対策等アクションプラン2025」 に基づき、港湾運送の魅力の発信、取引適正化のためのガイドライン策定等を通じた取引環境改善、荷役作業の安全性・生産性向上や労働環境の改善等の取組を推進してまいります。

航空ネットワークの維持・確保、空港業務DXの推進

我が国国内航空の事業環境は、新型コロナを契機とした需要構造の変化、世界的な物価高やドル高円安の影響による燃料費、整備費等の外貨建てコストの増大等を背景に、厳しい状況におかれています。

航空ネットワークは、公共交通として国民の社会経済活動を支えるとともに、インバウンドの受入れをはじめ、我が国の成長戦略にも不可欠な「空のインフラ」です。地方創生や観光立国の実現に不可欠である航空ネットワークの維持・確保のため、国内線事業の構造改革や航空機燃料税の軽減措置等を行うこととしています。

また、インバウンド需要の動向に柔軟に対応するため、グランドハンドリングや保安検査をはじめとする空港業務の処遇改善や人材確保・育成への支援とともに、制限区域内における無人運転の実現等、DX化による生産性の向上を両輪として推進してまいります。

インフラシステムの海外展開及び国際協力・連携の推進

我が国の持続的な経済成長を実現する上で、世界の旺盛なインフラ需要を取り込み、我が国企業の受注機会の拡大を図ることは大変重要です。

国土交通省では、2024年12月に策定した政府全体の「インフラシステム海外展開戦略2030」及び昨年6月に策定した「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画(令和7年版)」に基づき、特にグローバルサウス諸国におけるインフラ需要を取り込むことを念頭に、質の高いインフラシステムの海外展開を重点的・戦略的に推進してまいります。

具体的には、維持管理・運営やPPP事業の形成及び事業参画等を通じた相手国への継続的な関与、タイ・バンコク、インドネシア・ジャカルタにおける公共交通指向型都市開発(TOD)に向けた協力の推進、GX・DXに資するデジタル技術やASEAN・インド等におけるスマートシティ・交通ソフトインフラの展開などの取組を進めてまいります。

このほか、ウクライナとの協力覚書に基づく道路、橋梁、ダム、まちづくり、空港分野等における復興支援や、熊本水イニシアティブを踏まえた既存ダムの有効活用等による気候変動対策への貢献、物流分野等におけるサプライチェーン確保などを通じて、インフラシステム海外展開に取り組んでまいります。

こうした取組とともに、二国間に加え多国間の枠組みに主導的に参画し、国土交通分野における国際協力・連携を推進してまいります。

国際民間航空機関(ICAO)を通じた国際連携強化

国際民間航空機関(ICAO)は国連の専門機関の一つとして、航空の安全をはじめ、航空分野における国際的なルール形成において極めて重要な役割を担っています。

本年1月に、国土交通省出身の大沼俊之氏が、アジア大洋州地域初のICAO理事会議長に就任しました。大沼氏の就任は、我が国が航空分野において積み重ねてきた信頼の証であり、国際的な議論をリードする体制を築くうえで大きな前進です。

この機会を捉え、大沼氏率いるICAOとの協力関係を一層強化し、さらには国際連携も深化させながら、民間航空の持続可能な発展に積極的に貢献してまいります。

グリーン・トランスフォーメーション

カーボンニュートラルやネイチャーポジティブなど、地球環境問題を巡る世界の潮流は大きく変化する中で、まちづくり・インフラ、交通・運輸などくらしと経済を支える幅広い分野を所管する国土交通省の果たす役割は大きいと認識しております。環境施策を巡る様々な社会経済情勢の変化を踏まえ、昨年改定した「国土交通省環境行動計画」に基づき、様々な関係者と連携し、脱炭素・サーキュラーエコノミー・自然共生の取組を推進してまいります。

我が国のエネルギー安全保障等の観点から、再生可能エネルギーの導入拡大は重要です。国土交通省では、国産エネルギーであるペロブスカイト太陽電池の多様なインフラ空間での活用などを地域の理解や環境への配慮を前提として推進してまいります。

「生物多様性の損失を止め、反転させる」ネイチャーポジティブに資する取組も大変重要です。1月中に公表予定である「グリーンインフラ推進戦略2030」に基づき、グリーンインフラを自然の多様な機能を活用した社会資本と定義し、グリーンインフラの更なる実装に向けた基盤づくりや社会課題解決に向けた地域実装を推進することで、2030年までに「グリーンインフラの活用が当たり前の社会」の実現を目指します。

コンパクト・プラス・ネットワークを推進することで、集約型の都市構造への転換によって移動の低炭素化を進めるとともに、特別緑地保全地区等の指定や民間によるTSUNAG認定を活用した都市緑地の質・量両面での確保、暑熱対策、エネルギーの面的・効率的利用等を通じたまちづくりGXを推進してまいります。

ZEH・ZEB水準等の高い省エネ性能を持つ住宅・建築物の普及や、炭素固定に資する優良な中大規模木造建築物に対する支援等を行ってまいります。また、使用時だけでなく、建設から解体に至るまでの建築物のライフサイクルを通じて排出されるCO2等の評価等を促進する制度について、2028年度の開始を目指し、制度構築に取組んでまいります。

建設施工分野においては、昨年4月に策定した、「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン」に基づき、直轄工事において省CO2に資する建設機械やコンクリートの活用に向けた取組を推進します。

気候変動への適応とカーボンニュートラルへの対応のため、気象予測を活用したダムの運用高度化などにより、治水機能の強化と水力発電の促進を両立させる「ハイブリッドダム」の取組を推進してまいります。現在、国土交通省、水資源機構管理の82ダムにおいて運用高度化の試行を実施しており、さらに、全国の実施可能な全てのダムに拡大してまいります。また、国土交通省管理の3ダムにおける既設ダムへの発電設備の新増設を進めてまいります。

地域の実情を踏まえ、上流からの取水等による施設配置の最適化や、省エネ・再エネ設備の導入の推進により、カーボンニュートラルの実現を図ってまいります。また、下水汚泥資源の有効利用について、農林水産省と緊密に連携した下水汚泥の肥料利用や、バイオガス化等によるエネルギー利用を推進してまいります。

道路分野においては、2050年カーボンニュートラルへの貢献のため、昨年10月1日の改正道路法施行により、道路管理者が協働して脱炭素化を促進する新たな枠組みを導入しました。なお、同日に策定した「道路脱炭素化基本方針」に基づき、低炭素な材料の導入促進や道路照明のLED化等による「道路のライフサイクル全体の低炭素化」、再生エネルギーの活用等による「道路交通のグリーン化を支える道路空間の創出」、自転車の利用促進やダブル連結トラックの導入促進等による「低炭素な人流・物流への転換」、渋滞対策の推進等による「道路交通の適正化」の取組を関係機関と連携して推進します。また、動物接触事故データの分析に基づくロードキル防止に向けた方策等による生物多様性への取組もあわせて推進します。

交通分野においては、EV車両等の導入等による支援を行うとともに、AIオンデマンド交通やMaaSの導入等による利便性向上を進めることで、環境負荷の低減を図りながら、公共交通の利用を促進してまいります。

2050年のカーボンニュートラルと経済成長の両立を実現するため、排出量取引制度が令和8年度から本格導入されます。国土交通省としても運輸部門をはじめとする対象企業の業種特性や脱炭素への道筋等を考慮するなど適切に対応してまいります。

物流分野においては、陸・海・空のあらゆる輸送モードを総動員した「新モーダルシフト」や中継輸送、共同輸配送などの取組の促進をするとともに、ラストマイル配送におけるドローン活用、物流施設における水素やバイオ燃料などの活用を推進してまいります。

自動車分野においては、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、関係省庁と連携し、商用電動車(トラック、バス、タクシー)の導入を強力に支援するとともに、商用電動車のラインナップの拡充や性能の向上に向けた取組を進めて参ります。

航空分野においては、航空法等に基づく「航空運送事業脱炭素化推進計画」及び「空港脱炭素化推進計画」の認定を引き続き進めてまいります。また、持続可能な航空燃料(SAF)、空港への再エネの導入促進等に取り組んでまいります。

鉄道分野においては、回生電力の活用、エネルギー効率の高い車両の導入、水素燃料電池鉄道車両の社会実装、バイオディーゼル燃料や鉄道アセットを活用した再生可能エネルギーの導入推進等、鉄道ネットワーク全体の脱炭素化に向けて取り組んでまいります。

海事分野においては、令和5年7月に国際海事機関(IMO)において「2050年頃までにGHG排出ゼロ」等の国際海運の新たなGHG削減目標に合意しました。この目標の達成に向けてゼロエミッション船等の導入を促す国際的な枠組みについて、各国との交渉に取り組んでまいります。また、内外航のゼロエミッション船等の開発や国内生産体制の整備に加え、導入支援を進めてまいります。加えて、浮体式洋上風力発電施設の基準の整備や設置・維持管理に必要な洋上風力関係船舶の適切な確保に向けて取り組んでまいります。

港湾分野においては、我が国の港湾や産業の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献するため、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素・アンモニア等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP)の形成を推進してまいります。

また、洋上風力発電について、再エネ海域利用法に基づく案件形成、基地港湾の計画的な整備や運用の効率化、排他的経済水域における展開を可能とする制度整備、浮体式の最適な海上施工方法の確立に向けた検討等により、導入を促進してまいります。

加えて、藻場(もば)・干潟及び生物共生型港湾構造物など、「ブルーインフラ」の保全・再生・創出を通じたブルーカーボンの活用に取り組んでまいります。

このほか、サーキュラーエコノミーへの移行を促進するため、港湾を核とした広域的な物流システムによる、資源循環ネットワークの形成を図ってまいります。

関係省庁や地方公共団体等が行う気候変動対策の効果的な推進に資するため、最新の観測結果や将来予測をとり入れた「日本の気候変動2025」等を活用した、大雨や高温といった極端現象の将来予測等、気候変動に関する情報の提供と、その利活用促進を進めてまいります。

デジタル・トランスフォーメーション

社会全体のデジタル化の推進に向け、国土交通分野におけるDXの推進が必要です。行政手続のデジタル化や、官民連携によるイノベーション創出も視野に入れた行政情報等のデータ化・活用を進めます。併せて、所管事業者を含むサイバーセキュリティの確保にも取り組んでまいります。

インフラ分野においては、2040年までに建設現場を少なくとも3割の省人化、すなわち生産性を1.5倍向上することを目指し、建設現場のオートメーション化に取り組む「i-Construction 2.0」を推進しています。昨年は、建設機械の自動施工・遠隔施工について、直轄工事や災害復旧現場、海外における実演で活用しました。加えて、昨年4月から、特にICT施工の普及が進んできた土工、及び、河川浚渫工については、全ての段階でICT機器を活用することを直轄工事において原則化しました。また、昨年末に人工知能基本計画が定められたことを踏まえ、インフラ分野においてもAI利活用をより一層促進し、引き続き「インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(インフラDX)」による、生産性向上やサービスの高度化を進めてまいります。

国土交通省が保有する様々な分野のデータと民間等のデータを連携し、国土交通省の施策の高度化や産学官連携によるイノベーションの創出を目指すことを目的に、国土交通データプラットフォームを整備しています。

また、2024年9月から国土交通データプラットフォームの利活用促進に向け、戦略的イノベーション創出プログラム(SIP)と連携して公募実証を開始しており、産官学のデータ連携に取り組んでおります。

昨年11月から、国民誰もが効率的にデータを利活用できるよう、生成AIを介して対話形式での検索やデータ取得が可能な環境整備に取り組んでいます。

今後もデータの拡充や利活用の一層の促進に向け、公募型の実証調査を積極的に実施するなど、インフラ分野のAI・データ駆動型エコシステムの実現を目指します。

建築・都市分野においては、3次元の建築モデル(建築BIM)・都市モデル(PLATEAU)、国土数値情報等の地理空間情報、連携キーとしての不動産IDの取組を一体的に進める「建築・都市のDX」を加速することで、建物内外にわたる3次元のデジタルツインの社会実装を図り、まちづくりや防災の高度化、新ビジネスの創出などを推進してまいります。

具体的には、建築BIMを用いた建築確認について今年4月に「BIM図面審査」を開始するほか、官民における3D都市モデルの利活用促進、不動産IDの試験運用に向けた自治体との実証やシステム等の検討、災害ハザードデータ等の国土数値情報の充実等に取り組んでまいります。

また、不動産分野においては、不動産取引におけるAI・デジタル技術の活用促進や不動産取引等に関する情報を一元的に提供する不動産情報ライブラリの充実化・利便性向上等を通じて、業務効率化による業界全体の生産性向上に取り組んでまいります。

道路分野においては、AIやICT等の新技術の導入等により、道路の維持管理や行政手続きの効率化・高度化、データの利活用の高度化等を推進してまいります。また、高速道路の料金所のETC専用化について、今後も、運用状況等を踏まえながら順次拡大し、料金所のキャッシュレス化を推進するとともに、引き続き、道路の賢い利活用を実現する料金制度のあり方を検討してまいります。

このほか、昨年5月から、道路に関する基礎的なデータの活用基盤として「道路データプラットフォーム」を公開し、今後もデータのオープン化や利活用拡大に取り組んでまいります。

ETC2.0等のビッグデータを活用し、平日・休日や時間的・空間的に偏在する渋滞や閑散時の速度に着目し、サービスレベル向上に向けた取組を推進してまいります。

加えて、新たな物流システムとなる自動物流道路について、2030年代半ばまでに東京―大阪間の一部を先行ルートとして運用開始することを目指し、検討を進めてまいります。

水管理・国土保全分野においては、流域データを最大限活用した業務の省人化・高度化に向けた取組を推進してまいります。まず、流域に関する様々なデータを、日常業務や災害対応、技術開発等において効率的・効果的に利活用できるよう、一元的にデータを管理・共有する基盤(流域データプラットフォーム)の構築を進めます。また、データ取得の自動化・効率化に向け、災害時には衛星やセンサーによる浸水・土砂災害の発生状況の把握を可能とし、平常時には自律・自動のドローンによる巡視・点検を可能とするため、観測機器の充実や実証実験等を進めてまいります。さらに、取得した最新データを用いて洪水や氾濫の解析を行い、河川の整備手順の検討や整備効果の算出等ができるよう、サーバー上に流域を再現した仮想空間(流域デジタルテストベッド)を整備してまいります。なお、この空間の一部はオープンデータ化し、流域治水に係る官民の技術開発の場としても活用予定です。

まちづくり分野においては、デジタル技術を活用して地域の課題解決等を図るため、昨年は「スマートシティ実装化支援事業」として10地区の先進的な事業を選定しました。引き続き、国が定める政策テーマに関し、スマートシティ実装化支援事業で支援した事例をはじめとして好事例の横展開等を推進します。また、スマートシティ官民連携プラットフォームを通じて産官学連携を促進するなど、スマートシティのもたらす効果の最大化を一層推進してまいります。

交通分野においては、交通事業者や地域ごとにバラバラとなっているサービスやデータ、マネジメント、ビジネスプロセスの標準化やその横展開を図ることで、地域交通の連携・協働を加速する地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」の取組を推進してまいります。

自動運転については、我が国が抱える少子高齢化による深刻な担い手不足の解決や、安全な自動車交通社会を実現する上で効果的なものであり、今後の我が国にとって必要不可欠なものであると考えております。

国土交通省においては、子どもからお年寄りまで地域を支えるバス・タクシーや、重要な社会インフラである物流を支えるトラックなどの全国各地で行われている自動運転の取組みを引き続き後押ししていくほか、自動運転車両の走行を支援する道路インフラ側の取組み(合流支援、走行空間整備など)も含め、一日も早い本格的な自動運転社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

また、自動運転の技術については、現在、我が国においてAI を活用した自動運転システムの開発も進められているところ、国内自動車メーカーが、自動運転技術の実用化をリードできるよう、自動運転車両に係る国際基準の策定に取り組んでまいります。

物流分野においては、物流施設等における自動化・機械化機器の導入、ドローン配送の拠点整備等による物流DXを推進してまいります。また、物流DXを促進するため、標準仕様パレットの導入促進、物流情報標準ガイドラインの普及促進をはじめとした物流標準化・データ連携に向けた取組を進めてまいります。

ドローンについては、運航の効率化や事業採算性の向上をもたらす多数機同時運航の普及拡大に向けた取組等の環境整備を継続的に行うことにより、安全を確保しつつ、ドローンの社会実装を強力に推進してまいります。

また、空飛ぶクルマについては、大阪・関西万博後の社会実装に向けて、社会受容性の向上、多様な機体や高度な運航等に対応するための環境整備等を進めてまいります。さらに、小型無操縦者航空機については、山間地や災害時等における物資輸送等への幅広い活用が期待されるため、早期実装に向けて当該機体の開発促進及び運航実現に必要となる基準等の整備を推進してまいります。

鉄道分野においては、列車に搭載したカメラやセンサーを活用した列車前方の支障物検知システムの技術開発等による自動運転の導入を促進するとともに、パンタグラフすり板の摩耗状況の自動計測、まくらぎ交換作業等を容易にするショベルカー等の技術開発を行い、現場業務の効率化・省力化を進めてまいります。

港湾分野においては、国際競争力の更なる向上のため、「ヒトを支援するAIターミナル」の取組として、荷役機械の高度化等の支援や技術開発を推進してまいります。

また、港湾の電子化を実現する情報プラットフォームである「サイバーポート」については、「物流手続(民間事業者間の港湾物流手続)」、「行政手続」、「調査統計」、「インフラ(港湾施設等情報)」の機能改善及び利用促進を進めてまいります。

海事分野においては、造船業・舶用工業の国際競争力の強化及び生産性の向上を図るため、船舶設計・建造技術の高度化のための研究開発・実証やAIを活用した次世代型造船ロボットの研究開発等、造船能力の抜本的向上に必要な支援を推進してまいります。自動運航船については、2030年頃までの本格的な商用運航の実現を目指し、実証運航を着実に進めるとともに、国際ルール策定作業を主導してまいります。

このほか、世界水準のデジタル社会の形成に向け、電子基準点等の位置情報インフラの強化、電子国土基本図の3次元化等、国土情報基盤の整備・更新を進め、誰もが利活用しやすいデジタル公共インフラとして整備していきます。

DX社会に対応した気象サービス推進のため、民間事業者への気象庁クラウド環境による大容量の気象データ提供を引き続き拡大してまいります。

スタートアップへの支援

建設分野の生産性向上や安全・安心で快適な交通社会等の実現に向けて、スタートアップが生み出す革新的技術を社会実装へと繋げることが重要です。

このため、国土交通省では、引き続き、研究開発支援制度の拡充、表彰制度の着実な運用等に取り組み、スタートアップへの支援を推進してまいります。

国際園芸博覧会の開催に向けた取組

神奈川県横浜市で開催するGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)は、令和8年3月に開幕1年前となり、開催準備を一層強化する必要があります。GREEN×EXPO 2027では、花や緑、食と農の魅力に加え、地球環境問題の解決に資する優れた国内技術を世界に発信することを目指しています。関係省庁や自治体、経済界、GREEN×EXPO協会などが緊密に連携し、オールジャパンの体制で、開催準備を進めてまいります。

③個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり

持続可能な観光の推進

観光は、人口減少が進む我が国にとって成長戦略の柱、地域活性化の切り札です。昨年は、堅調な訪日需要と航空便の回復等に加え、持続可能な観光立国の実現に向けて官民一体となって取り組んだ結果、訪日外国人旅行者数や消費額は好調な状況です。一方で、インバウンドの観光客が都市部を中心とした一部地域に偏在する傾向も見られるほか、観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響などへの懸念も生じております。

本年3月には次期観光立国推進基本計画を策定する方向で検討を進めておりますが、観光客の受入れと住民生活の質の確保との両立のための施策により重点を置くべきであると考えております。また、地方誘客の促進のための交通ネットワークの基盤強化や観光まちづくりなどとも相まって、観光が地域住民に裨益し、観光地が持続的に発展していく姿を国民の皆様に示していくべきであると考えております。そのような考えの下、次期観光立国推進基本計画では、3つの施策の柱を設定する方向で検討を進めております。

第1に、「インバウンドの受入れと住民生活の質の確保との両立」です。インバウンドの受入れと住民生活の質の両立を図るために、局所的・地域的に生じているオーバーツーリズムへの効果的な対策の強化を図ってまいります。また、地方誘客を進めるための広域的な体制、観光コンテンツ等の整備、そしてリピーターの拡大、未訪日層等も含めた様々な国・地域からの誘客を強化してまいります。更に、地方空港、クルーズ船、空港アクセス、国内航空、新幹線利用等の交通ネットワークの機能の強化にも強力に取り組んでまいります。

第2に、「国内交流・アウトバウンドの拡大」です。国内旅行の促進に向けて、ワーケーション・ラーケーションの促進等を通じた休暇の分散・平準化の促進、第2のふるさとづくりプロジェクトを通じた新たな交流市場の開拓に取り組んでまいります。また、海外旅行の促進に向けて、海外教育旅行を通じた若者のアウトバウンド促進や、地方空港を活用した双方向交流の拡大に取り組んでまいります。

第3に、「観光地・観光産業の強靱化」です。観光産業における生産性向上のための観光DXの推進や、業務の効率化・省力化に資する設備投資への支援、民泊(住宅宿泊事業法)の適切な運営等の健全な競争環境の整備、ユニバーサルツーリズムなど多様なニーズへの対応に取り組んでまいります。

また、こうした観光施策をより充実・強化するための財源に充てるため、国際観光旅客税の拡充をしていくことが、政府の税制改正の大綱に盛り込まれたところです。

国土交通省としては、2030年訪日外国人旅行者数6,000万人、消費額15兆円等の政府目標の達成、そして、観光によって日本の魅力・活力が持続的に継承・発展されていく姿を国民一人ひとりが実感でき、観光によって我が国が豊かになっていくことこそがまさに観光立国である、との気概のもと、官民一体・関係省庁一丸となって取組を進めてまいります。

各分野における観光関係施策

昨年、我が国へのクルーズ船の寄港回数は、前年比で約2割増加しており、コロナ後のクルーズの回復が着実に進んでいます。また、寄港するクルーズ船の大型化が進む一方で、小型のクルーズ船が全国のあらゆる地域へ寄港するなど、船型や寄港地が多様化してまいりました。この流れをさらに加速させ、「2030年訪日外国人旅客数6,000万人・消費額15兆円」や「日本人クルーズ人口100万人」の目標達成に向け、各地域の皆様と連携し、多様なクルーズ船の受入環境整備や寄港促進に向けた取組、地域経済効果を最大化させるための取組、地方誘客促進に向けた取組、クルーズ旅客の裾野拡大等の取組を推進し、全国津々浦々に賑わいを創出してまいります。

各地域に存する個性ある歴史資源を有効に活かした魅力的なまちづくりが全国で展開されるよう、歴史まちづくり計画作成の対象を拡大する制度の拡充や支援の強化に向けた検討を進めてまいります。また、地域の老朽化した建物群を官民連携で連鎖的にリノベーションし、エリア一帯で景観再生と活性化を図る制度創設に向けた検討を進めます。こうした新たな景観・歴史まちづくりの取組によって、地方都市に投資を呼びこむとともに、街並みの再生を図り、増加する訪日客をはじめ地方への誘客を強力に推進してまいります。

「道の駅」は、地方創生や観光の拠点を目指す「第3ステージ」に入り、「まち」と「道の駅」が一体となって発展する「まちぐるみ」の取組や、災害時に防災の拠点となる防災機能強化の取組を進めてまいります。

地方の誘客促進に向け、「観光の足」を担う交通機関において、多様な輸送手段を用いた二次交通手段の確保、交通手段に関する情報提供の充実、多言語による案内表示・案内放送の充実、キャッシュレス決済への対応、モビリティポートの設置、MaaSの推進等の取組を進めてまいります。

自転車の活用の推進

令和8年度に第3次となる新たな自転車活用推進計画がスタートします。

次期計画の策定に向け、自転車活用の基盤である、安全・快適に通行できる通行空間の整備と交通安全の確保の更なる促進について議論しています。また、地域交通や観光地域づくりとの連携により自転車の役割を拡大するとともに、自転車が健康長寿社会・脱炭素社会に寄与することも盛り込めればと思います。

この新たな計画のもと、本年が国民の皆様に自転車を更に活用して頂ける年となりますよう、私が本部長をつとめる自転車活用推進本部を中心に、政府一体となって、しっかりと取り組んでまいります。

「交通空白」の解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開

「地域の繁栄なくして国の繁栄なし」。地域公共交通は地域の繁栄を築く礎であり、「交通空白」は我が国のあらゆる地域における待ったなしの課題です。

昨年「『交通空白』解消に向けた取組方針2025」を策定し、令和7年度から9年度の集中対策期間において、全国約2,500に上る交通空白の解消に向けて、国土交通省「交通空白」解消本部の本部長たる私が先頭に立ち、取組を強力に推進しております。特に、「交通空白」解消・官民連携プラットフォームについては、全国の半数を上回る自治体や交通事業者の皆様、様々な資源や技術・サービスを持つ企業の皆様に広くご参加いただいており、会員数は1,400に迫るなど、「交通空白」解消の輪が着実に広がっております。

この「交通空白」解消の動きをさらに加速化させるべく、昨年末の本部において、私から、新たな指針である「『交通空白』解消に向けた取組方針2026」の策定や、地域の輸送資源のフル活用等に向けた新たな制度的枠組みの早期の具体化等を指示いたしました。

これらの取組に加え、ローカル鉄道の再構築、地域交通DXの推進、自動運転の事業化推進、デジタル技術を活用した省力化投資や担い手確保、第3次交通政策基本計画の策定などを通じ、引き続き、地域で暮らす皆様が安心して住み続けられるよう、持続可能な地域公共交通の実現に全力で取り組んでまいります。

安心して暮らせる住まいの確保

誰もが安心して暮らせる住まいの確保に向け、昨年10月施行の改正住宅セーフティネット法に基づく「居住サポート住宅」等の制度の活用推進や地域居住機能の再生を図る公営住宅等の供給支援に努め、住宅施策と福祉施策が一体となった住宅セーフティネット機能の強化等に取り組んでまいります。

空き家対策については、令和5年施行の改正空家法に基づく「管理不全空家等」や「空家等管理活用支援法人」等の制度の活用を市町村等に促すとともに、財政支援、税制など、あらゆる方面から対策を進めてまいります。また、「不動産業による空き家対策推進プログラム」の実装を加速化させ、不動産業に携わる方々の強みを発揮しつつ、空き家・空き地の流通促進を通じた、地域の価値を作り上げる公共貢献の取組を促進してまいります。

良質な住宅が多世代に住み継がれる循環型の市場形成の実現に向け、住宅ストックの質の向上、既存住宅流通市場の活性化、住宅取得・リフォームに対する支援に取り組んでまいります。

建物と居住者の「2つの老い」が進行するマンションについては、昨年5月に公布された改正マンション関係法の円滑な施行を通じ、新築から再生までのライフサイクル全体を見通した管理・再生の円滑化等に取り組んでまいります。

外国人による不動産取得

外国人による土地取得については、昨年11月に開催された関係閣僚会議における総理指示に基づき、まずは実態把握を進めるとともに、土地取得等のルールの在り方も含めて、関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討を進めることとされております。

昨年7月には、大規模土地取引の際の国土利用計画法に基づく届出事項に土地取得者の国籍を追加したところであり、この届出情報を元に、外国人の土地取引実態の整理・分析を進めてまいります。

また、三大都市圏等の新築マンションを対象に、不動産登記情報等を活用した不動産取引の実態調査を行い、昨年11月に公表いたしました。加えて、水資源の保全の観点から、外国人等による地下水採取の事例調査を実施し、昨年12月に公表したところです。

引き続き、政府の一員として本年もしっかりと取り組んでまいります。

コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくり、都市再生等の推進

コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりについては、昨年7月末までに立地適正化計画の作成に取り組む市町村が935、作成・公表した市町村が643、立地適正化計画と地域公共交通計画を併せて作成した市町村が594と着実に増加しています。

また、今年度から立地適正化計画の実効性を一層高め、質の高い都市を形成するために、客観指標を自治体に提示し、市町村が気づきを得て、立地適正化計画の作成・評価・見直しができる仕組みとして『まちづくりの健康診断』の運用を開始しました。

今後は、業務機能等の都市機能の更なる集積の促進や都道府県も交えた広域連携を促進するとともに、取組の裾野拡大や計画の見直し促進等に取り組み、地域に民間投資を呼び込み、個性ある都市空間をつくる『令和の都市(まち)リノベーション』を推進してまいります。

また、官民空間の一体的な利活用により、賑わいあるウォーカブルなまちづくりに取り組み、エリア価値向上等を図ります。制度創設から約5年が経過し、昨年までに130を超える自治体が、法律に基づく区域を設定し、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりに取り組んでいます。引き続き、道路・公園・民地等の公共的空間の更なる利活用に向けた検討を行いながら、法律・予算・税制等のパッケージによる支援で推進してまいります。

加えて、多様化する道路空間へのニーズに対応するため、賑わいのある道路空間を構築する歩行者利便増進道路(ほこみち)制度の普及を促進するとともに、ウォーカブル政策との連携を図ることで、道路空間の柔軟な利活用による賑わい創出を推進してまいります。

さらに、民間投資を呼び込み、持続的にまちづくり活動を行えるよう、民間事業者や地域住民・地権者等が主体となって、地域の良好な環境や価値を維持・向上させる「エリアマネジメント」を展開し、活力ある都市の実現を推進してまいります。

都市の国際競争力の強化に向け、昨年は都市再生特別措置法に基づく優良な民間都市再生事業計画の認定を8件行い、ビジネス・文化の交流拠点整備などの民間投資を喚起するとともに、重要インフラの整備への支援にも取り組みました。また、地方都市の活性化に向け、広場、緑地などのまちなかの賑わい空間の整備、空き店舗・空き家の改修・利活用等の促進に取り組みました。加えて、政府の税制改正大綱において、都市再生促進税制を拡充・延長し、新たにイノベーション拠点やMICE施設等を固定資産税の特例措置の対象とすることや、工期長期化に伴う登録免許税の適用要件の緩和を行うことが盛り込まれたところです。引き続き、地域資源の活用を図りながら、人々が笑顔で行き交い、集い、語らう、ぬくもりのあるまちづくりや都市再生を推進してまいります。

分散型の国づくり

個性ある文化や豊かな自然環境を有する多様な地域から成り立つ我が国において、人々が地域に誇りと愛着を持って、安心して働き、暮らし続けられる国土を次世代に引き継いでいくことが重要です。このため、国土形成計画においては、目指す国土の姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、この実現に向けて「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図ることにより、地域の魅力を高め、地方への人の流れの創出・拡大を図ることとしています。計画の実装に当たっては、二地域居住等の促進や地域生活圏の形成をはじめ、計画が描く将来ビジョンを国民全体で共有していくとともに、関係省庁とも緊密に連携しながら推進してまいります。広域地方計画の策定に当たっては、全国計画を基本としつつ、それぞれの地域の個性や強みをいかして自律的に発展する圏域づくりにつながる計画となるよう、関係主体と緊密な連携を図りながら取り組んでまいります。

全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームや関係府省庁と連携しつつ、二地域居住者と地域を繋ぐ支援法人の育成・確保や二地域居住者の経済的な負担を軽減するようなモデル的な取組への支援等により、二地域居住の促進に取り組んでまいります。

北海道については、第9期北海道総合開発計画に基づき、食料安全保障の確立や観光の一層の強化、ゼロカーボン北海道の実現、デジタル産業などの成長産業の形成等を図るとともに、これらの価値を生み出している生産空間の維持・発展や気候変動に伴う豪雨や大規模地震に備えた強靱な国土づくり等の取組を推進してまいります。

活力ある地方づくり

離島、奄美群島、小笠原諸島、半島地域、豪雪地帯など、生活条件が厳しい地域や北方領土隣接地域に対しては、引き続き生活環境の整備や地域産業の振興等の支援を行ってまいります。

「ウポポイ」については、多くの方々にアイヌ文化に触れ理解を深めていただけるよう、「ウポポイ誘客促進戦略」に基づき、戦略的・効果的な施策を進めるほか、アイヌの伝統等に関する知識の普及啓発を進めてまいります。

令和元年10月の火災により焼失した首里城は、沖縄の誇りであるとともに、国民的な歴史・文化遺産として極めて重要な建造物です。本年秋の首里城正殿の復元工事の完成に向け、沖縄県や関係省庁と連携し、全力で取り組んでまいります。

土地政策の推進

令和6年6月に改定した土地基本方針に基づき、サステナブルな土地の利用・管理の実現に向けて、関係省庁と連携しながら、土地の適正な利用・管理や管理不全土地の発生の抑制・解消を図るための施策を総合的に推進してまいります。

所有者不明土地対策については、その円滑な利用や適正な管理を図るための制度が地方公共団体や事業者等によって有効に活用されるよう、土地政策推進連携協議会の開催等を通じて、引き続き制度の周知や支援に取り組んでまいります。

また、昨年4月に公表した「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」に基づき、優良事例の横展開などを通じて、空き地対策の取り組みを後押ししてまいります。

第7次国土調査事業十箇年計画に基づき、更なる地籍調査の円滑化・迅速化を進めてまいります。

IRの整備

IRの整備推進は、滞在型観光の促進に資するなど、観光立国の実現に向けた重要な施策であり、依存症対策などの弊害防止対策に万全を期した上で、IR整備法に基づき、必要な対応を進めてまいります。

さいごに

本年も国土交通省の組織が持つ「現場力」・「総合力」を最大限活かし、国民の皆様の命と暮らしを守り、我が国の経済成長や地域の生活・なりわいを支えるという重要な任務に全力を尽くしてまいります。国民の皆様の一層の御理解、御協力をお願いするとともに、本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、発展の年になりますことを心から祈念いたします。

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