Engi(神奈川県横浜市)はこのほど、日本人と外国人が共に街を磨きながら関係性を育む社会プロジェクト「MIGAKUプロジェクト」を始動した。訪日客や外国人居住者が増える多文化時代において、「磨く」という日本語の概念を共通言語としてひらき、共感を起点に新たな共生のかたちを探る。
なぜ今「磨く」なのか
訪日外国人や外国人居住者の増加により、異なる文化や価値観が日常の風景となる一方、マナーや習慣の違いが摩擦を生む場面もある。中には迷惑や戸惑いを感じるケースもあり、その痛みを見過ごすことはできない。
しかし多くの場合、その背景には「知らなかった」「文脈を共有していなかった」という状況がある。日本に憧れ訪れる人々と、地域を守り支える住民や観光事業者。それぞれが守りたいものと誇りを持つ中で、「磨く」という行為を通じ、場と心を整えるきっかけをつくることが本プロジェクトの狙いだ。
3つの柱で展開
MIGAKUプロジェクトは、以下の3本柱で展開する。
1.日本を磨く日
日本人・外国人、地域住民、企業、学生などが混成チームを組み、街や公共空間を清掃するイベント。「街も心も磨く」をテーマに、季節の節目(二至二分)に合わせて開催する。清掃後には自由参加の懇親会「MIGAKU Drinks」を実施し、自然な対話と交流を促す。
2026年春は、3月14日に横浜・日本大通エリア、15日に銀座エリアで開催予定。参加費は無料。2025年12月には銀座で実証開催し、日本人・外国人合わせて約70人が参加。多国籍混合グループでの清掃と懇親会を通じ、自然な交流が生まれたという。
2.MIGAKU Compass
日本の心づかいやマナーの背景を多言語で紹介するデジタルコンテンツ。Web/モバイルアプリとして展開予定で、マナーを押しつけるのではなく、その文脈を伝えることで自然に理解が深まる設計を目指す。
3.MIGAKU Tourism
訪日外国人の関心が高まる日本文化の背景や思想に触れる滞在型プログラムを構想。単発体験ではなく、日本文化の奥行きに触れる時間の創出を目指す。
政策横断型の社会モデルへ
同プロジェクトは、多文化共生、観光受入環境整備、環境美化、教育、地域コミュニティ活性など複数の政策領域を横断する取り組みと位置付ける。自治体や企業、教育機関、地域団体と連携し、日本全国への展開を目指すほか、将来的には海外展開も視野に入れる。2026年6月にはNPO法人MIGAKUの設立を予定し、「日本を磨く日」の年4回定例開催や地方展開を進める。
羽田野裕義代表は、「エンタテインメントやインバウンド事業を通じ、文化や価値観の違いに触れてきた。海外との接点を持つ中で生まれるすれ違いを、そのままにしたくないと感じた」と語る。「磨くという行為には、場を整え、心を整える力がある。共感がにじみ、心づかいが重なり合う社会へ。日本が本来持つ心づかいの文化を未来へ、そして世界へひらいていきたい」としている。
多文化時代における共生のあり方を、日常の行為から問い直す「MIGAKUプロジェクト」。小さな“磨く”の積み重ねが、社会の調和につながるか注目される。