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令和8年版観光白書を閣議決定 「働いてよし」の観光産業へ、人材確保を特集

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政府は7月10日、「令和7年度観光の状況・令和8年度観光施策(令和8年版観光白書)」を閣議決定した。今年3月に策定した第5次観光立国推進基本計画を踏まえ、「観光地・観光産業の強靱化」の柱として、宿泊業の人材確保と生産性向上を特集。「働いてよし」の観光産業の実現に向け、現状や課題、地域の先進事例、今後の施策の方向性をまとめた。

訪日客・旅行消費額ともに過去最高を更新

白書によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万人(前年比15.8%増)、訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円(同16.4%増)となり、いずれも過去最高を更新した。また、日本国内における旅行消費額も37.6兆円(同9.6%増)と過去最高となり、観光需要はコロナ禍前を大きく上回る水準まで回復した。

一方で、日本人の国内延べ旅行者数は5.5億人、国内旅行消費額は26.8兆円となり、ともに前年を上回った。出国日本人数も1,473万人まで回復したものの、2019年の約2,008万人にはなお届いておらず、アウトバウンドの本格回復は引き続き課題としている。

宿泊旅行では、外国人延べ宿泊者数が1億7,787万人泊と過去最高を更新した一方、日本人延べ宿泊者数は4億7,561万人泊で前年比3.8%減少。延べ宿泊者数全体は6億5,348万人泊と前年をわずかに下回ったが、地方部の外国人宿泊割合は約3割まで高まるなど、地方への誘客が着実に進んでいることも示された。

深刻化する宿泊業の人手不足

今回の白書で特集されたのが、宿泊業の人材確保と生産性向上だ。

宿泊施設を対象としたアンケートでは、72.2%が「人手不足の状況にある」と回答。施設規模別では、中規模施設が77.1%と最も高く、大規模施設でも約7割が人手不足を感じている。

また、宿泊業の年間賃金は2025年で413万円と、全産業平均の546万円を大きく下回る状況にある。年間休日日数も全産業と比べて少なく、雇用環境の改善が人材確保の大きな課題となっている。

さらに、宿泊業では非正規雇用の割合が54.7%と全産業(36.5%)を大きく上回るほか、業務量の繁閑差が大きいことから人材が定着しにくい構造的課題も指摘した。

生産性向上が「働いてよし」への鍵

白書では、人手不足への対応には単に人員を確保するだけではなく、生産性向上が不可欠と分析している。

宿泊業の労働生産性は、一人当たり付加価値額でみるとコロナ禍を除き全産業の約7割程度にとどまる。有形・無形の設備投資やDX投資、人材育成への投資も全産業に比べ低い水準で、研修を実施していない施設の割合も高いことから、デジタル化や人材育成を含めた経営改革が必要だとしている。

その上で、設備投資やDX、省力化、マルチタスク化、人材育成によって収益性を高め、その成果を賃金や待遇改善につなげることが「働いてよし」の観光産業実現の鍵になると位置付けた。

地域の先進事例を全国へ展開

白書では、地域の先進事例として、愛知県蒲郡市のホテル末広による固定休館日制の導入とマルチタスク化、静岡県熱海市による生成AIを活用したインバウンドマーケティング、熊本県・黒川温泉観光旅館協同組合による地域一体の人材育成、奈良県ビジターズビューローによる地域間人材シェアリングなどを紹介。地域の実情に応じた人材確保や生産性向上の取り組みを全国へ展開していく考えを示した。

第5次観光立国推進基本計画を着実に推進

令和8年度は、第5次観光立国推進基本計画に基づき、「インバウンドの戦略的誘客と住民生活の質の確保との両立」「国内交流・アウトバウンドの拡大」「観光地・観光産業の強靱化」の3本柱で施策を推進する。観光DXや省力化投資、ユニバーサルツーリズム、地方誘客、オーバーツーリズム対策などを進め、持続可能な観光立国の実現を目指す

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