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ライフサポート関西に聞く、旅客船「深日洲本ライナー」で大阪と淡路島結ぶ学びの旅

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大阪府南部で親子の自然体験や企業の団体旅行を手掛けるライフサポート関西の吉本博一社長。大阪府岬町などの自然や産業、歴史を体験に仕立て、観光を学びと次世代への継承につなげることを目指す。今年5月には探究型の自然体験学習などを手掛ける東京山側DMCと業務提携し、8月に親子夏合宿を開催した。今回は、吉本社長に地域資源の捉え方や体験づくり、旅客船「深日洲本(ふけすもと)ライナー」を生かした今後の展開を聞いた。(10月1日にオンライン取材。聞き手=ツーリズムメディアサービス特任記者 丹羽あゆみ)

地域の「当たり前」を旅の価値へ

――旅行・体験づくりで、どのようなことを大切にしていますか。

私たちが大切にしているのは、自然体験・団体旅行・地域創生を通じて“人の心が動く瞬間”をつくることです。親子で自然の中に入ると、普段は気付けない子どもの表情や成長を発見し、親子のコミュニケーションが深まります。企業の団体旅行では、初対面同士が最後には笑顔で話し、関係性が変わります。地域では、海・山・文化・歴史などの風土を体験化し、地域の誇りを取り戻します。観光地として知られている場所だけではありません。

地域に暮らす人が身近に感じている風景や産業、歴史、人の営みまで含めて地域の価値と捉え、人との出会いや体験を組み合わせた旅へつなげています。

10年間の農業経験から「いのちの営み」を伝える

――農業に取り組んできた経験は、現在の体験づくりにどのようにつながっていますか。

私は10年間農業に取り組み、大手企業と連携した休耕地活用のファミリーイベントを3年間実施しました。農業や自然に触れる体験を通じて、参加者の心身の豊かさや家族間のコミュニケーションを育むプログラムを展開してきました。

田んぼは、食べ物を育てるだけでなく、「いのちの営み」を育てる場所でもあります。水や土、光、生き物が互いを支え合い、世界が静かに循環しています。こうした自然や暮らしそのものを、地域の価値を知るきっかけにしています。

泉州の農業と大阪湾の海から地域を考える

――大阪というと都市のイメージが強いのですが、農業や漁業を、地域を知る体験としてどのように捉えていますか。

農業や漁業も、地域の風土を伝える重要な資源です。泉州の農業では、土地の特徴や水はけ、気候などが作物の生産と結び付いています。泉州の紡績工場へ出稼ぎに来ていた淡路島の人々が玉ねぎを持ち帰ったことなどを背景に、玉ねぎ栽培が淡路島へ広がり、さらに開拓団の北海道移住などの歴史を経て、北海道にも広がったとされています。一方、大阪湾では山から海へ流れ込む栄養によって豊かな漁場が形成されてきました。こうした自然環境と産業のつながりを知ることで、「なぜこの地域で、この産業が生まれたのか」を理解できます。

地域風土を地質学的な視点からストーリー化し、体験として提供しています。地域を訪れ、実際に土地や海、人に触れることで、インターネットで検索するだけでは得られない地域の背景を知るきっかけにつなげています。

東京山側DMCとの共創で地域の見方を変える

――5月に東京山側DMCと業務提携しました。どのような共創を進めていますか。

5月29日に探究型自然体験学習スクールや風土再生の旅、地域創生プロデューサー講座などを手掛ける東京山側DMCと業務提携しました。日本DMCアライアンスとして初の提携となり、全国の地域のステークホルダーとの連携強化に向けた取り組みを進めています。東京山側DMCとの共創により、8月には親子夏合宿を開催しました。

大阪と東京という異なる地域の視点を掛け合わせ、それぞれの地域では身近な資源を新たな価値として捉え直しています。親子での自然体験を通じて、子どもの成長に加え、親子の関係や地域への見方を変えるきっかけをつくります。漁港でセリを見学し、ビーチクリーンを行うほか、大阪湾で獲れたタコを使ってたこ焼きを作り、北淡震災記念館では活断層を見学しました。食と命、地形と防災など、地域の体験をさまざまなテーマと結び付け、単なる観光では終わらない「旅の学び」へつなげていきます。

地域産業と教育、観光の統合モデルを構築

――地域の産業を観光や学びへつなげる上で、どのような考えを持っていますか。

目指しているのは、地域の地場産業を次世代の学びにつなげる仕組みです。例えば、工場を見学するだけでなく、そこで働く人の話を聞き、地場産業が生まれた背景を知り、実際の現場に触れることで、その産業を地域の未来を考える学びの場として捉え直します。工場見学や体験プログラム、地域産品とのコラボレーションなどにつなげ、地場産業そのものの価値を次世代へ伝えていきたいです。

地域に住む人が自分たちの地域に誇りを持ち、外から訪れる人も地域の魅力を知り、応援したいと思える関係をつくる。そのために、行政、企業、漁業関係者、観光関係者、住民、若い世代など、立場の異なる人をつなぎながら、新しい価値を生み出していきます。

深日洲本(ふけすもと)ライナーを旅の入口に

――深日洲本ライナーを活用した展開について教えてください。

地域資源をつなぐ取り組みの一つが、岬町の「深日洲本ライナー」です。深日港と洲本港を結ぶ旅客船として、地域間交流や観光振興につなげる取り組みが進められています。深日という地名にも、万葉集に登場する「吹飯の浜(ふけいのはま)」に由来するとされる地域の歴史があります。海から地域を見ることで、陸路では気付きにくい地形や文化のつながりも見えてきます。

深日洲本ライナーを単なる移動手段として捉えるのではなく、大阪と淡路島をつなぎ、それぞれの地域を体験する旅の入口として活用しています。今後も深日洲本ライナーを活用し、大阪と淡路島を行き来しながら、地域の自然や歴史、文化、人との出会いを組み合わせた旅行商品を造成していきます。

地域の未来を一緒につくる仲間を増やす

――今後、ライフサポート関西としてどのような地域づくりを目指しますか。

地域資源の価値は、地域に暮らす人自身には「当たり前」として捉えられ、十分に伝わっていないこともあります。だからこそ、地域に眠る「当たり前」の価値を掘り起こし、人と地域を旅でつないでいきたいと考えています。一つ一つの出会いを新たな人の流れにつなげながら、地域に暮らす人自身が地域の魅力を再発見し、次世代へ受け継いでいくことを大切にしています。岬町や南大阪地区には、人を元気にする自然や風土、文化、人の温かさがあります。

地域の価値を未来へつなぎ、「ここにいてよかった」「また帰ってきたい」と思える場所を、地域の皆さんと一緒につくっていきたいです。観光を単に人を呼び込むためのものではなく、地域の未来を育む力へと変えていく。そのために、地域の未来を一緒につくる仲間を増やしていきたいと考えています。

聞き手=丹羽あゆみ(ツーリズムメディアサービス特任記者、東京山側DMC地域創生マチヅクリ事業部)

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