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秋田県大館市、「忠犬ハチ公生誕100年」を契機 渋谷区など国内外との相互交流を加速

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 秋田県大館市の福原淳嗣市長(代読:大館市観光交流スポーツ部の阿部拓巳部長)はこのほど、岡山県岡山市の杜の街グレースで開かれた「第4回地域連携研究所大会 in OKAYAMA」で、「ハチ公生誕100年事業およびフランス・アルザスとの交流」をテーマに講演した。東京都渋谷区との「忠犬ハチ公」との縁など、秋田犬をきっかけに国内外との相互交流を加速する。

 東京・渋谷駅前で主人を待ち続けた忠犬ハチ公は大館市出身。大館市と渋谷区では、毎年慰霊祭を開いている。1990年代からは、渋谷駅前にあるハチ公広場では、ハチ公フェアを開催するなど相互交流を行っている。大館市と渋谷区の忠犬ハチ公の縁をきっかけに、2023年4月13日には秋田県と東急が包括連携協定を締結。観光振興や脱炭素推進などで協力し、地域活性化に取り組むことが発表されている。同日に開かれた締結式では、秋田県の佐竹敬久知事が、都市圏での秋田県の存在を高める決意を述べている。

福原市長
福原市長(写真提供:大館市)

秋田犬を縁に東京都渋谷区との交流促進

 講演では、「秋田犬」を軸とした国内外への観光展開を披露した。

 2019年5月8日には、秋田犬をテーマとした観光交流施設「秋田犬の里」をオープン。外観は大正時代の渋谷駅をモチーフにデザインしている。代読した阿部部長は、「忠犬ハチ公を縁とした渋谷とのつながりを表している。オープン当時は外国人観光客も大勢訪れた」と話した。現在は、コロナ禍を経て、コロナ禍前までの水準に回復している。

秋田犬の里がオープン
2019年に秋田犬の里がオープン

 渋谷区との連携の深化では、「青ガエルプロジェクト」を紹介。渋谷駅ハチ公口の待合せスポットの一つであった東急5001形車両、通称「青ガエル」が渋谷駅から大館駅前(秋田犬の里の敷地内)に移設された。青ガエルは、渋谷区から大館市に寄付された。2020年2月9日に移設プロジェクトが発表され、同年8月には陸送、同年11月1日に大館市で開かれた「青ガエル移設記念セレモニー」でお披露目された。

 2022年5月7日には、大館市と渋谷区が「交流促進協定」を締結。観光、文化、産業、スポーツなどを通じた交流をより一層深め合うことで合意している。

 2023年がハチ公生誕100年であることから、大館市では11月に「秋田広域観光フォーラム」、「ハチ公生誕100年フェスティバル」を開いている。

 このほか、大館市の強みについて、全日本空輸(ANA)が就航する大館能代空港を起点とした、「大湯環状列石」「伊勢堂岱遺跡」といった歴史、世界文化遺産や、世界自然遺産である「白神山地」や十和田八幡平国立公園など自然を挙げた。「東京(羽田空港)から70分で、日本や世界が認める観光資源を望める」と阿部部長。

大館市の強み

北前船寄港地フォーラムをきっかけにつながり深化

 2022年からはEUとの交流を促進。同年10月にはフランス・パリで開催された北前船寄港地フォーラムをきっかにつながりを深化し、2023年5月にはEU日本政府代表部や欧州委員会成長総局を訪問している。また、アルザスとの交流を紹介。交流の証としてCEEJA(アルザス・欧州日本学研究所)に秋田犬のぬいぐるみを贈呈するほか、秋田犬が縁となり、2027年にアルザス地方にオープンする「ヨーロッパ漫画&アニメ博物館(MEMA)」のマスコットキャラクターを秋田犬とすることでCEEJAと大館市が協定を結ぶ予定であることを明らかにした(10月に協定締結済)。

阿部部長
阿部部長

取材 TMS編集部

 

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