【New!トップページ新着コメント欄追加】 学び・つながる観光産業メディア

WTTC、SAFの生産と使用の拡大は喫緊の課題、現状はジェット燃料使用量のわずか0.3%

コメント

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は5月14日、ロンドンで持続可能な航空燃料(SAF)やその他の再生可能燃料の生産と使用を拡大するため、旅行・観光業界全体に団結を呼びかける新たな枠組みを発表した。

コンサルティング会社ICFと共同で策定したもので、持続可能な燃料の普及に向けた具体的なロードマップを示した。

WTTCのジュリア・シンプソン会長兼CEOは、「持続可能な燃料は旅行・観光業界にとって最大のゲームチェンジャーだが、現状では供給が需要に追いついていない。業界全体が協力しなければ、コスト上昇や供給不足、気候対策の停滞といったリスクが生じる」と述べた。

また、「ホテルやツアーオペレーター、旅行代理店、クルーズ会社、航空会社を含むすべての事業者が役割を果たすべきだ。持続可能な燃料は環境対策だけでなく、ビジネス上も不可欠であり、政府は業界の目標設定だけでなく、生産自体を支援すべきだ」と強調した。

現在、SAFは全世界のジェット燃料使用量の0.3%に過ぎない。2050年までにカーボンニュートラルを達成するためには、年間1.25億リットルの生産量を450億リットル以上に増やす必要があり、新たに6,500の再生可能燃料プラントが求められる。

SAFは既存のエンジンや航空機で使用できる「ドロップイン型」燃料であり、他の脱炭素化手段と異なり大規模な機材変更を必要としない。しかし、生産コストの高さやインフラ不足、原料競争が原因で供給量が限られ、価格も従来燃料の最大10倍に達している。

ICFのダニエル・ガルピン取締役は、「輸送部門の脱炭素化は持続可能な観光の実現に不可欠だ。特に航空業界はSAFの導入に注力しているが、課題は依然として大きい。観光業界全体が連携し、目標達成に向けて支援することが重要だ」と述べた。

報告書では、持続可能な燃料の拡大に向けた具体的な行動を提案している。キャンペーンへの参加や廃棄物供給、製造施設への投資、SAF証書の購入など、各事業者が果たせる役割を明確にした。

すでに実践が進む事例も紹介された。アジアのエラワングループ(タイ)は、ホテルの廃油をSAFに転換しており、英国のJet2(格安航空会社)はリサイクル家庭廃棄物を利用するSAFプラントに投資している。

WTTCは、業界全体が協力しなければ、EUが2030年までにSAFの5%~10%混合を義務付ける計画が旅行コストの上昇や消費者の選択肢減少につながると警告している。

/
/

会員登録をして記事にコメントをしてみましょう

おすすめ記事

/
/
/
/