白根大凧合戦は、1737年に始まったと伝えられる。「殿様より拝領した凧を上げたところ対岸の家屋に落下して屋根を損壊。これに怒った対岸の住人が更に大きな凧を作り、わざと落として仕返しをした」という説が有力である。
毎年6月初旬の第一木曜日に始まり、翌週月曜日までの5日間開催される。そして、喧嘩凧は中ノ口川をはさみ、旧白根市側と旧味方村側の双方から上がる。その大きさは、縦7m横5m、畳24枚分と、世界最大級である。中ノ口川は、信濃川から分かれ、再び、信濃川に合流する一級河川だ。直江兼続が治水した川とも言われている。それ故、小さな領地を奪い合う歴史が刻まれた絵巻物とも思える。しかし、今では、どちらも新潟市に編入されている。
ハプニングも、一つのストーリー
さて、凧を大空高く上げるために、地元の人々が、堤防の道を一心に綱を引く姿は壮観である。そして、天高く上がった凧は、方向を変え、川の上で一線をまみえる。先に落ちた方が負けとなる。川面に落ちるのであれば、問題なく勝敗が決まる。しかし、風向きなどで、堤防脇の電車の線路に落下することがしばしば。その結果、電車を止めるというハプニングも発生した。
梅雨の走りと思われる時期、雨が心配されるイベントである。しかし、ここ時期、新潟は雨が降らないことが多いと言う。それ故、悪天候で大凧合戦が中止されたという記憶がないと住人たちは言う。
初夏の越後平野を彩る大凧合戦は、戦国時代を彷彿させる雄大な絵巻物のようなイベントだ。百聞は一見にしかず。一度は、足を延ばして体感してもらいたいものである。
(2008.06.06.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長