韓国観光の魅力と言えば、韓流ドラマやK-Pop。そして日本人の口にも合うグルメが挙げられる。しかし、ここ数年人気なのがカフェ巡りだ。20年ほど前から、韓国ではカフェが増えたことが背景にある。
コンビニより多いカフェ 癒しの空間として広まる
それに拍車をかけたのがSNS。コンビニ大手4社計で約5万5000店なのに対し、カフェは、その倍の10万729店(2022年統計庁「サービス業調査報告書」、コーヒー専門店として集計)に達した。都市部だけではなく、リゾート地や街から離れた山あいなどにもおしゃれなカフェがある。いち早く素敵なカフェを見つけ、SNSで紹介するのが若い女性たちのトレンドとなっているそうだ。
なぜ、これほどまでにカフェが広まったか。供給サイドの話としては、比較的小規模な投資で開業でき、特別な技術も少なくて済むのが魅力らしい。スターバックスなど大手のチェーン店も賑わっているが、個性溢れるカフェも多い。

オフィス街でも、昼食を早めに切り上げコーヒー
一方、需要サイドの事情としては、「韓国は競争が厳しく、ストレスが多い。そのため、カフェはコーヒーを飲むだけではなく、癒しの空間として欠かせない存在になった」と話す韓国人もいる。企業で働く人たちは、1時間の昼休みに食事を素早く切り上げカフェに行き、ほっとする。韓流ドラマなどでもお目にかかるように、コーヒーを買って会社に持ち返る人々もいる。
若い女性に限らず、多くの韓国の人々にとってカフェ文化は定着している証しだ。ある企業の慶尚南道支社勤務だった男性は、昼休みに食事を早く済ませ、職場の部下を誘って、しばしばカフェ巡りを楽しんだと懐かしそうに話した。
インスタ映えを期待し、店構えも工夫
ソウルにはいくつものカフェ通りがあり、深夜まで多くの若い男女で賑わっている。その一つ、鍾路区水標路を訪れた。細い道の両側にカフェが並び、行き交う人たちがコーヒーを飲んだり、スマホで写真を撮っていた。すぐ隣はサムギョプサルなど焼肉の店が軒を連ね、独特の匂いが漂っているが、一筋離れたここは全く違った雰囲気だ。カフェは古民家風の作りで天井には茶色くて太い梁がむき出しになっていた。入り口は小さな庭の設えで、そこからが癒しの空間の始まる。細い道路に面した窓も大きく行き交う人々を見ていても楽しい。

一方、今若者の街として人気上昇中の聖水洞にもカフェが軒を連ねる。こちらは観光客に人気で、化粧品やかわいい雑貨などを買い求める若い女性でごった返していた。そこから歩いて10分ほどで韓国の大手芸能事務所の一つ、SMエンタテインメントの本社ビルにもカフェがあり、日韓問わず、推しアイドルのグッズを求めた女性たちが“戦利品”を見せ合っていた。