【New!トップページ新着コメント欄追加】 学び・つながる観光産業メディア

東京商工リサーチ、国内ドローン業界は約3割が赤字に苦しむ

コメント

東京商工リサーチは7月31日、年々拡大する国内ドローン市場についての調査結果を発表した。プロモーションビデオの撮影など、近年、観光分野でも活用されるドローン、市場全体では成長が続く一方、先行投資や研究開発負担の大きさから、多くの企業が収益化に苦戦しており、業界全体の約3割が赤字に陥っている実態が明らかになった。(写真は岐阜県飛騨市のドローン撮影コンテスト)

調査は、同社の企業データベース(約440万社)からドローン機体メーカーや関連サービス業など431社を抽出して分析した。2024年の売上高合計は前年比7.2%増の2,700億円に達したが、最終損益は13億円の赤字。赤字は3年連続で、2022年が6億円、2023年が17億円の赤字で、利益面では厳しい状況が続いている。

2024年の損益状況を見ると、黒字企業は69.6%だった一方、赤字企業は131社(構成比30.3%)と過去3年間で最も多くなった。赤字の背景には、大手企業の大型投資に加え、新興企業のコスト先行型の経営が影響しているとみられる。

売上規模で見ると、431社中最も多かったのは1億円未満の企業で181社(42.0%)。続いて1億~5億円未満が157社(36.4%)と、小規模な事業者が大半を占める。最大の売上を記録したのはドローンネットで、446億1,800万円だった。

市場の新陳代謝も進んでいる。2024年の休廃業・解散は16件、倒産は4件で、合計20件が市場から撤退した。これは前年の合計43件から半減したものの、過去10年間で3番目に高い水準となった。新設法人も229社で前年より13.5%減少したが、2021年以降は4年連続で200社を超えており、一定の新規参入は続いている。

業界内ではM&Aも活発化しており、2025年5月には大手商社が出資していた農業用ドローン開発のナイルワークスが、開発リソースをNTT e-Drone Technologyへ譲渡することを発表し、年内に解散・清算する方針を示した。一方で、積極的にM&A戦略を掲げる企業もあり、今後は企業間の競争激化と再編が進むとみられる。

ドローンの活用領域は、農業、点検、物流、観光、イベントの演出など多岐にわたり、東京五輪や万博などの大規模イベントでの活用実績も評価されている。2022年12月には「レベル4飛行」に対応した無人航空機制度が導入され、都市部での目視外飛行も可能となった。こうした規制緩和も後押しとなり、今後も市場拡大が見込まれている。

しかし、収益化の壁は高く、セキュリティリスクへの対応も求められる。東京商工リサーチは、当面は成長企業と淘汰企業が混在し、業界再編が加速する局面が続くと分析している。

/
/

会員登録をして記事にコメントをしてみましょう

おすすめ記事

/
/
/
/
/