博多と大牟田の中間地域である柳川は、戦国時代の大名立花氏の城下町だ。御花こと松涛館を中心に縦横に掘割が配されている。そして、その水郷をゆったりと舟下りする姿は、優雅そのものである。柳川を代表する観光コンテンツ故、多くの会社が水郷観光船を運航している。しかし、乗船場がさまざまな場所にあり、観光客にとっては、利便性に欠ける点がある。そのため、会社ごとに知恵を絞り、地域観光のブラッシュアップを進めている。
一方、舟下りの終点は、御花の入口に位置する。邸宅鑑賞に多くの観光客は入場する。また、北原白秋の生家などにも近い。北原白秋は11月2日に亡くなった。現在、その命日は白秋祭と呼ばれ、柳川最大の年間行事となっている。その代表的なイベントは、船会社全社が協力して盛り上げる船上パレードだ。普段は競合相手の会社が協力して盛り上げる姿は、地域を面として捉えお客様を迎えることだ。これからの地域振興の形とも言える。
夕暮れに明かりが灯ったお堀を舟で下っていく。普段、舟下りは夜間運航がない。それ故、昼間とは違った幽玄さに触れるイベントである。
お堀めぐりのどんこ舟だけでなく、近年は冬の向日葵や有明海を活用した観光コンテンツも創出されている。福岡県西南部の観光拠点、佐賀県や熊本県との深い関わり合いによって、広域連携を進めて欲しいものだ。
(2015.04.23.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長