麻布台ヒルズギャラリー(東京都港区虎ノ門)で9月15日まで、「高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。」が開かれている。
テレビアニメ「オオカミ少年ケン」が高畑の演出デビューと知れば、ずいぶん子供の頃からお世話になったんだなと思う。オープニングの印象的な主題歌の作曲が小林亜星だと知れば、なるほどと嬉しくなる。
その後、日本アニメの金字塔「ルパン三世」ファーストシリーズに係り、「アルプスの少女ハイジ」を演出し、「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「かぐや姫の物語」を監督した。最後の長編映画かぐや姫の物語」は見ていないし、テレビアニメの「母をたずねて三千里」や、「じゃりン子チエ」も大好きな小説が原作の「赤毛のアン」は見ていない。
だから宮崎駿ほどにはお世話になっていない。
何度も繰り返し見ている宮崎映画と違い、「平成狸合戦ぽんぽこ」だって映画館で見てからは、レンタルビデオかなにかで1回しか見ていない。
「火垂るの墓」は映画館で見たきりで、とてもいい映画だったけど、2回は見ていない。面白かったけど2回を見られない映画が2つあって、1つは「火垂るの墓」、もう1本は「セブン」。「セブン」はとてもよくできたすごい映画だけど、なんのための映画なのかが分からない。
そうか、どちらも救いがないんだな。
高畑勲展は外国人も見に来ていた。目視と会話からで20人に1人ほどは外国人だった。スマホをかざして日本語の説明書きを熱心に読んでいた。こちらは一昨日まで知らなかった展示会なのに、よく訪日旅行でアクセスできるものだと感嘆する。
展示では、「アルプスの少女ハイジ」のロケハンで1973年にスイスのマイエンフェルトを訪問した若き高畑や宮崎の写真が楽しかった。アニメのモデルとなった山の家や工房、草刈りの画像、家畜の水飲み場の写真を初めて見た。何十回も見て、いまだに見続けている「アルプスの少女」のシーンと重なった。
それでも展示で一番打たれたのは「火垂るの墓」の4歳の女の子の絵だった。動いていないのに感情を揺らされ、離れられなくなりそうで凝視できない。やっぱりこの映画を、2回は見られない。