21世紀の声を聞く頃、仕事上で何度となく遠野の町に訪れることがあった。河童伝説で有名な遠野市、その中に「ふるさと村」はある。
ここは、遠野物語に語られた「マヨイガの森」をイメージした野外博物館だ。そして、南部地方の曲り家を移築した姿は、まさしく、古き時代にタイムスリップさせてくれる。
柳田國男の『遠野物語』には、河童や座敷童子などが登場する。そのため、遠野は、民話の故郷と呼ばれる。カッパ淵に訪れると、まさに河童が現れそうな静けさに遭遇する。そして、水の中の別世界まで引きずり込まれるような錯覚に陥る。
また、遠野は花巻と釜石とを結ぶ鉄道の途上に位置する。宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』に描いたように、蒸気機関車も運行されるようになった。
このようなロケーションは、数多くの大河ドラマをはじめとする時代劇のロケ地としても活用されている。電柱や電線の地中化によって、古き時代が再現されるようになった。便利さだけを追求するのではなく、古い時代を学ぶことも観光の善き良きコンテンツと言えよう。
レンタサイクルを借りて、遠野の町を走った時代、今は昔、「どんとはれ」
(2001.04.12.撮影)
(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8
取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長