ねぶたは、坂上田村麻呂の陸奥国の蝦夷征討に由来する。大燈籠や笛、太鼓で囃し、敵を油断させたのだ。そして、青森県内の地域によっては「ねぶた」「ねぷた」と濁・半濁音の違いがあることも有名である。東北地方の夏の風物詩である。
その中でも、青森ねぶたは、毎年8月2日から7日まで開催される。延200万人以上が訪れる東北三大祭りの一つだ。最終日の7日には、コンテストの優秀ねぶたが、海上を運行する。
昨今、電気が普及し町中に電線が張り巡らされた。そのため、幅9m、高さ5m、奥行き7mという大きさの規定ができた。今では、これ以上の巨大なねぶたは作ることができない。また、かかる費用は、1体2億円以上と言われ、資金集めも徐々に厳しくなっている。
さて、ねぶたが東北の祭りの中でも人気の理由は、観光客や市民が参加できることにある。正式な装束を纏い、ハネトとして参加できる。また、制作者であるねぶた師が、それぞれの作風に思いを込めて描き、作品の巨大ねぶたを競うことも人気である。
イベントを存続するために、必要なことは…
かつて、この時期の青森市内の客室は、プラチナチケットと言われた。1室数万円と高騰することも当たり前であった。しかし、コロナ禍を越え、再び宿泊事情が逼迫していると聞く。高額の有料桟敷席も設定されるようになり、祭りそのものの在り方も変化している。
「ラッセラー」の掛け声を発しながら、練り歩く、体感的な観光コンテンツは、一度体験する価値がある。しかし、恣意的な価格コントロールなどは、マイナスイメージを伴う。地元の祭りは、地元住民がつないできた伝統だ。やはり、郷に入っては郷に従う。大切なことは忘れてはならない。
(2014.08.06.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長