青森県黒石市の中心部には、「こみせ」と呼ばれる通りが存在する。「日本の道百選」にも選ばれた中町通りは、雪を避けるひさしが伝統的な形態を維持したまま残されている。2005年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。
(新潟では「雁木」と呼ばれるものが、青森や秋田では「こみせ」と呼ぶ)
また、中町通りには、重要文化財「高橋家住宅」や造り酒屋、蔵などが立ち並び、この町の繁栄を映している。2015年、電線地中化工事が始まり、2021年3月に完成する。また、1車線の道路両側に石畳風の路側帯も整備された。その結果、安全な歩行空間として生まれ変わったと評判である。
さて、毎年9月第2週末に「黒石こみせまつり」が中町を中心に行なわれる。このまつりは「こみせ」の歴史的文化遺産としての価値や認識を深めることを意図する。そして、商業の活性化を図ることを目的として、1986年から始まった。期間中、津軽三味線の演奏や民謡、地元高校生の吹奏楽の演奏と盛りだくさんのイベントが開催される。
かつて、弘前と黒石を結ぶ国鉄の路線が走り、並行して私鉄の弘南鉄道も敷設されていた。双方とも青森県津軽を代表する都市、時間がゆっくりと流れ、町と一体化できる場所、大切にしたい空間である。
(2016.09.17.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長