福島県の公式観光サイト「ふくしまの旅」では、秋口の観光スポットとして、二本松市に位置する高村智恵子のレモン祭を紹介している。
安達太良の山並みを愛でる二本松市は、高村智恵子の生誕の地である。日本の洋画家、紙絵作家として有名であるが、その足跡は、夫である高村光太郎の智恵子の死後に出版した詩集『智恵子抄』として知られる。
智恵子は造り酒屋の長女として生まれ、戸籍名は「チヱ」という。そして、その生家は、明治初期の建物を再現し、二本松の観光名所となっている。玄関には杉玉が下がり、その二階の部屋には、当時の智恵子の生活を復元している。また、生家の裏庭には、記念館も併設され、作品等が展示されている。
レモン祭と称するこの祭りは、智恵子の命日(10月5日)に合わせて、10月2日(木)~11月16日(日)まで開催される。普段は公開していない智恵子の生家2階の公開や智恵子作の実物「紙絵」の展示も行われる。
また、智恵子の命日には生家がライトアップされる。
なぜ、レモン祭か?
それは、智恵子抄の代表作「レモン哀歌」に由来する。
レモン哀歌
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉のどに嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓さんてんでしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう
高村光太郎 「レモン哀歌」(詩集『智恵子抄』より)
紅葉狩りとともに、秋の一日を智恵子に触れてみてはいかがだろうか。
詳しくは、以下URLより(https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?event=6834)
