八芳園(井上義則社長、東京都港区)は10月1日、半年以上の休館、改修期間を経て新たに開業する。創業以来、過去最大規模の改修となるもので、婚礼事業だけにとどまらず、新たな施設を生かしたMICE強化や、地域の魅力・文化資産を活用、発信する地域プロデュース事業に力を入れていく。こうした取り組みで、2024年9月期は売上高の66%を占める婚礼事業の割合を30年9月期に48%とし、24年は34%のその他事業の割合を30年には52%まで高めたい考え。(写真:左・庭園から見た本館、組子が美しいメインロビー)
同社は9月17日、報道関係者向けに内覧会を開いた。関本敬祐総支配人は今回の改修のテーマを「継承と創造」と紹介したうえで、「約400年の歴史を持つ日本庭園とより親和性を高めた」と語った。メインロビーは改修コンセプト「日本の、美意識の凝縮」を象徴するものとして、庭園の眺望と福岡県大川市の伝統工芸「大川組子」が融合した空間に仕上げた。
MICE向けには、5~6階の日本庭園が望める会員制特別フロア「CLUB FLOOR」を新設。同フロアへは、メインロビーを経由せずに専用エレベーターでアクセスできる。5階の「STUDIO KOKU」(スクール140人、シアター322人)は全長約20メートルのLEDウォールを備える会場で、ダイナミックな視覚演出が可能。ラウンジも併設され、ドリンクの提供ができる。6階の「 HALL HAKU」(着席256人、立食300人)はさまざまなビジネスイベントに対応でき、併設のバーではウェルカムカクテルが楽しめる。
地域プロデュース事業では、9月11日に発表した、東日本旅客鉄道(JR東日本)と白金・高輪エリアを「国際交流拠点」として価値向上をはかるための「共創パートナーシップ協定」などを紹介。「TAKANAWA GATE CITY」をはじめとする、エリア一体での文化発信・地域共創を推進する。関本総支配人は「協定を通じ、エリアを全国各地のエリアプロデュースの中核拠点に育てていく。各地の文化遺産と新しいまちの魅力で新たな価値を生み出す」とし、「将来的に目的地として選んでもらえるように成長したい」と意気込みを語った。