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WTTCグローバルサミットで官民が対話、競争力・持続可能性・シームレスな旅行を議論

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世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、9月28日にイタリア・ローマで開催した第25回WTTCグローバルサミットの「グローバル・リーダーズ・ダイアログ」で、各国政府の閣僚や世界的企業のCEOらを招き、観光産業の競争力、持続可能性、国境を越えたシームレスな旅行の実現について意見を交わした。

ダイアログは9月28日から30日まで開かれたサミットの主要プログラムの一つで、WTTC暫定CEOのグロリア・ゲバラ氏とイタリア観光相ダニエラ・サンタンケ氏が開会挨拶を行った。

両氏は観光産業の将来を支えるには官民の協働が不可欠であると強調。ラウンドテーブル形式で行われた討議では、各国の政策担当者と企業経営者が優先課題や懸念、解決策を率直に話し合った。

欧州から世界への教訓

第1セッションでは、世界で最も訪問者数の多い地域である欧州の成功要因が取り上げられ、文化遺産、観光インフラ、持続可能な観光の融合が他地域にとってどのような模範となり得るかが議論された。

WTTCの最新経済影響報告書によると、欧州の旅行・観光分野は2025年に過去最高を記録し、域内GDPに2兆6,000億ユーロを寄与する見通し。雇用は4,130万人に達し、域内の労働者10人に1人を支えるとされる。

議論では、激化する地域間競争の中での差別化戦略、地域の独自性と持続可能性を両立する手法、そして欧州特有の複雑なガバナンス構造を克服するための知見などが共有された。参加者からは、先進的なサステナビリティ施策やデスティネーション・マネジメントの革新が、今後の競争力維持の鍵になるとの意見が出された。

シームレスな旅行の実現へ

第2セッションでは、国際的な人の移動をより円滑にするための施策に焦点が当てられた。ビザ政策、入国管理、バイオメトリクス(生体認証)が旅行者の流れに与える影響や、若年層や障害者など多様な旅行者に対応するための方策が取り上げられた。

参加者は、電子ビザやデジタルID、統合型決済システムなどの導入を官民が協力して進めるべきだとし、旅行計画から入国までの全過程をスムーズにする「デジタル連携」の重要性を訴えた。

協働による未来の構築

討議全体を通じて、政府と民間企業が相互に支え合い、責任を共有しながら、旅行・観光を経済成長、文化交流、国際的なつながりの原動力として発展させる必要性が確認された。

ゲバラCEOは「政府と業界が同じテーブルで意見を交わすことの価値は非常に大きい。欧州の教訓や世界的なシームレス旅行の推進を通じて、パートナーシップによってこそ観光産業の可能性を最大限に引き出せる」と語った。

今回のダイアログには、ヒルトン、アコー、トラベル・コーポレーション、インディアン・ホテルズ・カンパニー、トリップドットコム・グループなど、世界の主要企業の代表や各国の観光行政トップが参加した。第25回グローバルサミットは、イタリア観光省、イタリア政府観光局(ENIT)、ローマ市、ラツィオ州の共催で開催された。

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