ヒルトンは10月9日、「2026年版グローバル・トレンド・レポート」を発表した。最新トレンドとして、親世代を伴わず、祖父母と孫が一緒に休暇を過ごす「孫旅」がアジア太平洋地域で増加傾向にあり、日本においてもその人気が高まっていることを明らかにした。「家族が旅のあり方を再定義し、一体感を育み、一生の思い出を作り、世代を超えた絆を深める旅の体験を重視していることが浮き彫りとなった」と同社。
同レポートは、イプソスでのグローバル(13カ国、調査期間:2025年6月9~30日、対象:1年以内に旅行予定のある18歳以上の成人1万4,009人)、OnePollでのアジア太平洋地域(5カ国、同:同8月8~27日、祖父母が家族と旅行する家庭を対象に18歳以上の成人8,000人)の2つの調査結果をもとにまとめられたもの。いずれの調査にも非確率サンプルを使用し、イプソスの調査には事後解析の重み付けを適用して、性別、年齢、人種/民族、地域、教育に関して母集団の特徴がサンプルに反映されるようにしている。
日本の家族の約4割が親抜きの休暇「孫旅」を計画
アジア太平洋地域全体で回答者の6割(60%)が、「『孫旅』を経験した」「計画している」と回答。この傾向は中国(86%)とインド(79%)で特に顕著で、世代を一つ飛ばした休暇スタイルは主流となりつつある。日本においても着実に広がりを見せ、3分の1以上(37%)が「『孫旅』を経験した」「計画している」と答えており、過去1年以内に「孫旅」を経験、もしくは計画したと回答した人は18%にのぼった。
ヒルトン アジア太平洋地域上席副社長兼コマーシャル・ディレクターのベン・ジョージは「『孫旅』の増加は、家族のつながり方における興味深い変化を示している。われわれは、あらゆる世代が、ひとつ屋根の下で快適に過ごせるよう、ファミリー向けアメニティやコネクティングルームの確約、そして幅広い世代に対応したウェルネスプログラムなどを提供している。多世代での家族旅行のニーズを先読みし、シームレスで思い出深い滞在を実現することで、お客様が大切な時間を共に過ごせるよう、努めていく」と話す。

日本の「孫旅」で重視される「一緒に新しい体験をすること」
日本では、家族の半数近く(47%)、そして祖父母の50%が「孫旅」の主な動機として、「新しいことを一緒に体験すること」を挙げた。アジア太平洋地域全体では「忘れられない思い出をつくること」が最大の動機(58%)であり、特にインド(67%)、オーストラリア(64%)、ニュージーランド(63%)でこの傾向が顕著であるのに対し、日本の家族は「発見を共有すること」や「文化探求」への志向がより強いことを示した。
日本の祖父母と孫にとって「孫旅」は、絆を深める貴重なきっかけ(37%)となっており、親が多忙であること(26%)、「孫旅」が家族にとって唯一無二の心に残る特別な体験となること(21%)も、重要な動機として挙げられた。
「孫旅」が祖父母の健康につながる
回答者の7割以上(71%)が家族旅行はつながりを深めるだけでなく、祖父母のウェルビーイングを向上させると答えた。祖父母にとって、孫と過ごす質の高い時間(50%)が旅行で最も大切な要素とされており、多世代旅行が心身の健康に良い影響をもたらすことを示した。
「ウェルネスのためのサービスや設備、バリアフリーのダイニング、シニアフレンドリーなサービスを含む、きめ細やかに設計された滞在は、祖父母世代が家族と一緒に健康的な時間を快適に過ごすために不可欠な要素となっている」と同社。
家族での「共有体験」を優先
グローバルでは、2026年のレジャー旅行の主な動機は、個人の心身のリフレッシュとリラクゼーション(56%)が最も多く挙げられた。一方、アジア太平洋地域の多くの旅行者は、個人のリラックスよりも「家族での有意義な時間」が最優先事項だと回答した。回答者の6割(61%)が、くつろぐ時間よりも質の高いを過ごすことが重要と答え、日本の回答者も半数強(52%)が同様の考えを示した。
旅行中のアクティビティに関しては、日本では、食体験の追求(64%)や歴史・文化的名所の訪問(58%)が上位を締めた。家族が発見や学び、有意義なつながりを重視した旅行を求めるという傾向を示した。「これは、日本が世界的に評価されている食文化を持つことを考えれば驚くことではない。特にシンガポールなどの近隣のマーケットからの旅行者にとっては日本の食文化は大きな魅力となっており、食を中心とした体験が旅行の最優先事項になっている」と同社。
多世代旅行をシームレスにする必要性「高」
「孫旅」に加え、多世代旅行も増加傾向に。アジア太平洋地域の家族のほぼ半数(48%)が年に1回以上、3世代以上で休暇を過ごしていると回答。この傾向は中国(78%)やインド(65%)で特に顕著に表れた。日本では、増加中ではあるが、4分の1(26%)の家族が年に1回以上、3世代以上で旅行していると回答した。日本では、家族の絆を深めること(58%)、世代を超えた思い出を作ること(51%)が主要な動機となっており、多世代体験の魅力が依然として高いことを示した。
宿泊施設関係では、家族のほぼ半数(48%)はコネクティングルームやファミリールームを好み、36%は施設内の子ども向けアクティビティを重視していることが明らかになった。さらに、リラクゼーションやウェルネス関連の設備やサービス(35%)も重要視され、すべての世代に対応する滞在体験の必要性が浮き彫りになった。
ヒルトン アジア太平洋地域ブランド・マネジメント部門上席副社長のタル・シェファーは、「日本では、旅は家族や絆と深く結びついており、それが多世代旅行の継続的な増加にも表れている。ヒルトンでは、すべてのブランドにおいて、有意義な体験を通して絆を深められるように作っている」と話す。
【まとめ】
・日本の旅行者の3分の1以上(37%)が祖父母と孫が一緒に休暇を過ごす「孫旅」を経験済み、または計画
・10人中7人以上(71%)が「家族旅行はシニア世代のウェルビーイングを向上させる」と回答
・「孫旅」の主な動機は「祖父母と孫の特別な思い出づくり」が最多(43%)
・約半数(48%)が「多世代旅行において、ファミリールームやコネクティングルームが最も重要な要素」と回答