“瑠璃の宝石”に心惹かれたあなたへ──
その輝きの原点がどこからやって来るのか、考えたことはありますか?
画面の向こうや、ショーケースの奥で静かに光を放つ宝石たち。その本当の姿に出会う旅が、ここ糸魚川にあります。
2025年10月12日から13日の2日間、みちくさの達人サクちゃんと、糸魚川の鉱物先生・カッシー先生(柏倉氏)と一緒に、ヒスイと化石を探す探究の旅へ出発しました。舞台は、日本列島を東西に分けるフォッサマグナの最前線、新潟県糸魚川市。
ここは、数千万年という想像もつかない時を経て、ヒスイやメノウ、ガーネットといった鉱物が地表に現れる“地球の記憶”の保管場所。
ただ石を拾うだけじゃない。大地の物語を五感で読み解き、「本物の宝石」とは何かを見つめ直す。そんなリアルな探究体験の記録です。

【今回の旅のガイド】

- 進行役ガイド: みちくさの達人 サクちゃん(東京山側DMC)
- ローカルガイド: 柏倉氏(カッシー先生)(糸魚川DMC準備室)
1日目:フォッサマグナの裂け目で、地球の鼓動を聞く
旅の始まりは糸魚川駅。期待に胸を膨らませた参加者の皆さんと合流し、まず向かったのはフォッサマグナパーク。
「ここが、ユーラシアプレートと北米プレートの境目だよ!」
サクちゃんの声に、みんなゴクリと息をのむ。目の前には、大地の裂け目を示す断層がくっきりと姿を現していました。プレートの境界線をまたいで記念撮影をしながら、「世界一地面が動き、地質が多様な日本列島」という言葉を全身で実感します。ゴツゴツした枕状溶岩に触れれば、遥か昔の海底火山の息吹が伝わってくるよう。
大地のダイナミズムにお腹を空かせた僕らが向かったのは、地元の人気店**「琴ざわそば」**。落ち着いた古民家の店内で、美味しいお蕎麦と笹寿司に舌鼓。地域の味は、その土地の成り立ちと深く結びついていることを感じます。
午後は、いよいよヒスイの故郷・小滝川ヒスイ峡へ。 国の天然記念物にも指定されているこの場所では、川の中に転がる巨大なヒスイの原石が僕らを出迎えてくれました。
「このヒスイは、地下深くのマントルで生まれて、プレートの動きと一緒にここまで上がってきたんだよ」
カッシー先生の解説に、子どもも大人も目を輝かせます。ヒスイが生まれた地球のドラマ、そして共に隆起した石灰岩の山・明星山の成り立ち、さらにはカタツムリ(ムラヤママイマイ)の形態進化まで、話は尽きません。
ホテルにチェックイン後、日没が近づく中で向かったのはラベンダービーチ。日本一岩石の種類が多いと言われるこの海岸で、石探しに集中です。
そして日没後。あたりが暗闇に包まれると、カッシー先生が取り出したのはブラックライト。
「行くよー!」
ライトを照らした瞬間、足元の石がぼんやりと、しかし確かに光を放ち始めました。メノウです。昼間とは全く違う石の表情に、あちこちで歓声が上がります。まるで夜の宝石探し。このワクワクは、体験した人にしか分かりません。
夜はみんなでローカルレストランへ。今日の発見や感動、明日への意気込みを語り合う時間は、旅の醍醐味。世代を超えて、探究仲間としての絆が深まっていきました。

2日目:雨粒とガーネットの輝き、そして育った「探究の目」
朝、窓を叩く雨音。予定していた早朝のみちくさ散歩は中止になりました。 でも、みちくさの旅はここで終わりません。急遽、**「早朝岩石鑑定会」**の開催です!
昨日拾った石たちをテーブルに広げ、図鑑やルーペを片手にカッシー先生と一つひとつ同定していく。 「これはチャートだね」「こっちはネフライト」。
名前がわかるたび、ただの石ころが、物語を持つ「標本」に変わっていきます。ラベルを貼り、自分だけの標本箱を仕上げる時間は、予定をオーバーする2時間以上のとても豊かな学びのひとときでした。
雨の中、化石採集予定地へ向かうも、河川の状況等を考慮して化石発掘は断念。しかし、そこで僕らは新たな発見をします。足下の岩石の中に、キラリと光る赤い粒。ガーネットです!予期せぬお宝の発見に、一同大興奮。天気は雨でも、僕らの好奇心は晴れ模様!
その後は親不知ピアパークで、102トンもあるという巨大なヒスイの原石とご対面。その圧倒的な存在感に、自然への畏敬の念を抱くとともに、どうやって運び出そうかルパン三世になった気分で空想しました。
雨が上がった隙に、みんなの「もう一度石拾いがしたい!」という声に応え、予定にはなかった親不知海岸へ。昨日の経験と今朝の分類作業を経て、より岩石の違いが判るようになったみんなは短時間でしたが集中して岩石採集。
参加者の一人が、期待と不安の入り混じった表情で、カッシー先生に小さな緑色の石を差し出します。見た目や質感は、限りなくヒスイに近い。でも、そっくりなキツネ石(ロディン岩)という可能性も。その場で答えを出すのは、僕らも慎重になります。
「これって…ヒスイかもしれません!」 「これは、家に帰ってからのお楽しみです!比重を測って、結果を教えてください!」
その石の正体は、旅の終わりまで持ち越されることになりました。昨日とは明らかに違う、みんなの「岩石を見る目」。その確かな成長を感じながら、僕らは次の目的地へと向かったのでした。
さらに、保護者の方からのリクエストで、敷地内をフォッサマグナが通る**「渡辺酒造店」**へ寄り道。東西の井戸から湧き出る水を飲み比べ、「大地の裂け目」がもたらす恵みの違いを舌で感じました。こんな寄り道こそ、みちくさの真骨頂です。フォッサマグナが貫通する酒造は、子どもたちも楽しめる素敵な空間でした。
旅の締めくくりは、フォッサマグナミュージアム。 この2日間で出会った数々の「なぜ?」が、カッシー先生の解説で一本の線に繋がっていきます。点だった体験が、壮大な地球の物語という面に広がっていく感覚は、まさに圧巻でした。

旅の終わりに、最高の知らせ
糸魚川駅の改札で、最後のサプライズが待っていました。駅構内の巨大な柱が、なんとすべてヒスイでできていたのです。昨日までとは全く違う目でその輝きを見つめる僕らがいました。
そして、この旅には最高の「エピロ-グ」が待っていました。
僕とカッシー先生が帰路につく車内、先に新幹線で東京へ向かった参加者からメッセージが届いたのは、その数時間後のことでした。
「比重、測りました!3.1です!」
スマホの画面に表示された数字をカッシー先生に伝えると、ポツリと一言。 「おめでとう!ヒスイです!厳密にいうと60%....」
この旅は、単なる石拾いツアーではありませんでした。 地球の記憶に触れ、大地の物語を読み解き、自分の中に眠っていた「探究心」に火を灯す旅。そして、仲間と共に学び、予期せぬ発見を喜ぶ、最高の「みちくさ」でした。
昨日とは明らかに違う。みんなの「岩石を見る目」が格段に上がっているだけでなく、科学的な探究の方法まで身につけている。知識と体験が結びつき、本物を見分ける「感性」と「知性」が育った、最高の瞬間でした。
画面の中の宝石では決して味わえない、本物の輝き。 あなたも次の旅で、一緒に見つけに行きませんか?
次は春、山の雪が融けたころかなぁ~。

【みちくさの達人より】旅の裏側、そして未来へ繋がる物語
今回の旅が特別なものであった理由が、もう一つあります。
ローカルガイドを務めてくれたカッシー先生は、実は私たち東京山側DMCが主催する「地域プロデューサー養成講座(初級)」の受講生(ゼロ期生)。今年の8月に実施した「風土再生の旅」も共に創り上げた仲間です。
その彼と、彼が活動する糸魚川の地域資源を活かした探究学習プログラムを企画し、こうして実現できたこと。これは、60名以上に増えた講座の受講生たちにとって、リアルな実践例として素晴らしいモデルになったと確信しています。
私たちが講座でお伝えしていることが、単なる机上の空論ではないこと。そして、東京の山側地域に限った話ではなく、日本のどこであっても、その土地の風土を読み解き、新たな価値を創造することが可能であること。今回の糸魚川での旅は、その証明となりました。仲間と共に地域の未来を創る、感慨深い取り組みでした。
これをご覧の皆様も、ご自身の地域で新たな物語を紡いでみませんか? ぜひ「地域プロデューサー養成講座」にご参加ください。まずはオンライン説明会からお待ちしています。

10月開講!地域プロデューサー養成講座《初級》無料説明会
地域の“風土”を次代の産業へ翻訳する民間型プロジェクト
このプロジェクトは、短期的な観光振興を超え、地域に深く根を張る〈未来の地域経営体〉の共創を目指しています。
“土地の記憶”と“文化資本”を、次代の産業に翻訳し、地域の本質を編み直す── 私たちは、その想いと志を同じくする方々と共に実現したいと考えています。
説明会(オンライン・無料) 全日程 20:00〜21:00
- 10/16(木)
- 10/23(木)
- 10/30(木)
講座概要
- オンライン4回+リアル研修
- 受講無料(教材費5,000円)
- 年齢・職種・地域 不問
▼無料説明会申し込みはこちら https://rprqkhrx.gensparkspace.com/
▼修了者の声 https://xkgeisdk.gensparkspace.com/
運営:株式会社東京山側DMC https://mt-tokyo.com/