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【第10回】高尾山ハイキングミートアップ:地域資源を活かしたウェルネスツーリズムの可能性

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高尾山の豊かな自然と文化を体感し、心身を整える「高尾山ハイキングミートアップ」第10回開催

東京の奥座敷・高尾山。都心からわずか1時間で到達できるこの自然豊かな山は、年間300万人以上が訪れる人気の登山地である。
四季折々の風景、薬王院に代表される信仰文化、そして「明治の森高尾国定公園」として培われた自然保全の歴史が重層的に息づいている。
ミシュランガイド三ツ星、日本遺産認定という評価を経て、今や高尾山は東京を代表する“自然文化資本”としての存在感を高めている。

その高尾山を舞台に、東京山側DMCウェルネス事業部では「高尾山ハイキングミートアップ」を定期開催している。
本プログラムは、地域資源を活かしながら、参加者が“歩くこと”を通して心身のウェルネスに対する気づきを得ることを目的とする。

開催10回目を迎えた10月15日(水)は、医療・教育・防災など、さまざまな分野の参加者が集い、「心身のウェルネス」をテーマに歩を進めた。


高尾山の新たな楽しみ方——“科学的根拠に基づく心身の再生”

朝8時30分、集合場所は高尾599ミュージアム。雨が上がったばかりの高尾の空気はひんやりと澄み、山全体に霊気が満ちていた。参加者はオリエンテーションの後、ロープを使ったストレッチやピンポン玉マッサージなどを行う。参加者同士で呼吸や動きを揃えることで場の一体感や安心感が生まれる。
ガイドは「今日は五感を開いて歩きましょう」と呼びかけ、参加者は心と体を自然へと溶かしていく。

午前9時、ケーブルカーで中腹まで上がり1号路へ。
ウォーキング中は、木漏れ日、風や鳥の音に意識を向けながら、自分の“気持ちや感覚の変化”を記録していった。

「高尾に近づくにつれて、雰囲気が変わっていくのがわかった」
「電車の遅延で焦っていたが、登るうちに気分が晴れてきた」
「普段、首を下げてばかりだが、今日は上を見上げる時間が多く首が楽になった」

こうした声が聞かれ、歩行そのものが自然に“リセット”の時間になっていることが印象的であった。

本イベントは、地域創生、特にヘルスツーリズムウェルネスツーリズムの推進において重要な示唆を与える。

  • 地域資源の最大限の活用とブランド化: 高尾山という国内外に知られた観光資源を、単なる観光地としてではなく、心身の健康を育む「ウェルネスの場」として再定義し、新たな価値を創出している。これは、地域の持つ自然や文化資源を多角的に活用し、高付加価値なツーリズムを構築する好例となる。
  • 新しい観光需要の掘り起こし: 従来の観光客層に加え、健康意識の高い層やマインドフルネスに関心のある層をターゲットとすることで、新たな観光需要を掘り起こし、交流人口の増加に貢献している。
  • 持続可能な観光モデルの構築: 自然の中での体験に特化し、心身の健康を重視するプログラムは、地域に過度な負荷をかけずに長期的な関係性を築く、持続可能な観光モデルへと繋がる可能性がある。
  • ガイド育成と専門人材の創出: ヘルスツーリズム事業やガイドに関心のある専門家を歓迎することで、地域におけるウェルネス分野の専門人材育成にも寄与し、将来的には地域全体の観光サービスの質向上に貢献する。

このプログラムは、ウェルネスを軸とした観光コンテンツ開発の先進事例であり、地域の自然環境を活かした地域活性化の新たな方向性を示唆している。


五感をひらく、森のリズム

途中の休憩では、壁を使ったストレッチをしたり、風が肌を撫でる感覚や鳥の声に耳を澄ませて、再び自身の変化を確認する。数値を競うのではなく、“気づきを可視化する”ためである。

「デジタルデトックスの時間になった」
「子どもの登山者から元気をもらった」
「心地よい疲れで、また登りたいと思えた」

といった感想があり、短時間でも自然がもたらす感覚の回復力が示された。下山後、参加者は登山前後の気分の変化を振り返り、「登山前と比べて明らかに気持ちが晴れている」「開放感がある」「またここに来たい」といった肯定的な変化が見られた。


観光と地域の持続可能な未来

「高尾山ハイキングミートアップ」への参加は、観光産業や地域創生の現場に従事するプロフェッショナルにとって、多岐にわたる具体的なメリットをもたらす。

まず、ウェルネスツーリズムの最新動向と実践である。
実際にプログラムに参加することで、ウェルネスツーリズムが現場でどのように設計・運営され、参加者がどのように反応するのかを体感できる。
これは、自社の観光・教育・研修分野にウェルネスの要素を導入する際の具体的な参考となる。

次に、地域DMCの役割と可能性である。
主催の東京山側DMCが、地域内の自然・文化・人材といった多様な資源を統合し、参加者体験へと変換していくプロセスを現場で確認できる。
DMCが担う役割や、連携によって生まれる新たな事業機会の実例を理解する上で貴重なフィールドである。

さらに、観光コンテンツ開発のインスピレーションにもつながる。
呼吸法、ストレッチ、自然観察、マインドフルネスといった要素を有機的に組み合わせることで、既存の観光資源に新しい体験価値を与える方法を学ぶことができる。

そして、人脈形成の機会がある。
異なる領域の参加者たちと一緒にフィールドを歩く時間は、新たな視点や連携の種を生み出す。
この出会いこそが、地域と観光が共に育つ“持続可能な未来”を形づくる原動力になる。

次回は11月下旬の予定。
詳細は東京山側DMCウェルネス事業部のFacebookおよびInstagramで近日公開予定。

主催:株式会社東京山側DMC

寄稿者:東京山側DMC ウェルネス事業部

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