東京メトロ浅草駅は、1927年に上野まで営業を開始した日本初の地下鉄路線である。その当時、「東洋唯一の地下鉄道」というキャッチコピーで、首都東京の住民の人気の的となった。そして、その4年後、東武鉄道の浅草駅(当時は、浅草雷門駅)も開業する。
この地下鉄の駅には、少しばかり気になる場所がある。それは、改札を出て、新仲見世方面への出口につながる地下商店街だ。まさしく、昭和の時代を彷彿するお店が、今でも30店舗が営業している。焼きそばやおでんなどの匂いとともに、昼間から酒盛りをする人々も存在する。当然、お店にはトイレはなく、共用トイレを利用するシステムだ。
さて、日本最古の地下街は、同じ銀座線の神田駅の北側「神田須田町地下鉄ストア(1931年開業)」だった。しかし、駅の改良工事によって2011年に営業終了した。そのため、今では、ここが日本最古の商店街ということになる。1955年から続く地下街は、そこの住人たちに仲間入りするのは、ちょっとばかり勇気が必要な場所だ。
訪日外国人もやってくるテーマパーク
かつては、上野駅の地下商店街などとともに、汚いイメージがあった。しかし、今では、立ち寄るのも嫌われる場所を訪日外国人が「クール」と叫ぶ人気の店となっている。カウンターに座っている客層は、ほぼ外国人ということも珍しくなくなった。
浅草は、国内外の観光客が数多く訪れる場所だ。しかし、この地下街のカオスは、もっとディープだ。これからも続いてもらいたいテーマパークである。
(2023.09.22.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長