「いち、に」と数を数えながら下ると39段、次は上ると40段・・・。「何故?」
ここは、根津神社の近くにある東京大学に向かうひっそりと佇む階段である。いつの頃から「お化け階段」と呼ばれるようになった。何故、数が異なるかは、一番下の段差が低く、下る時は数え忘れるからである。
かつて、この階段は幅も狭く、昼間でも薄暗いものだった。まさしく、お化けに出会うような場所だった。

しかし、今では、幅も広がり、新たな住居もできたため、明るく、何の変哲もない階段に生まれ変わった。新たな階段は、空が広くなった。階段の幅も拡張され、手すりも施されている。丘の上から日差しもしっかりと入るようになり、雰囲気はガラッと変わった。
また、近隣のキリスト教の根津教会は、1919年に建立された木造平屋建て切妻造。板張りの外壁と切妻面に窓を開けた尖頭アーチをシンボル、玄関部のトンガリ屋根が地域のランドマークだ。
さて、根津をはじめとする「谷根千(やねせん)」は、戦時下、火災から免れた。そのため、つい最近まで古民家が建ち並ぶ下町とガイドブックなどに紹介される。しかし、耐久年度を超えた建物は、どんどんと建て直されている。久しぶりに訪れると、更地ということも少なくない。
古き良きものを後世に残しつなげる観光、守るべきモノ・コトの仕組みづくりも大事なことだ。
(2024.02.09.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長