六義園(りくぎえん)は、文京区本駒込にある都立公園。回遊式築山泉水公園の日本庭園、かつての大名屋敷を公園とし、現在は国も特別名勝に指定(1953年)されている。
その歴史は、徳川綱吉の時代にさかのぼる。明暦の大火(1657年)により、荒廃した駒込の地、松平加賀守の上屋敷を柳沢吉保が拝領し、1695年に別荘庭園として整備した。当時、六義園は「むくさのその」呼ばれた。
そして、明治期に岩崎弥太郎が買収(1874年)、岩崎家の別邸とした。その後、1938年に東京市に寄贈され、一般公開が始まった。しかし、太平洋戦争時には、園内の多くに建物が消失している。
さて、この庭園を有名としたのは、入り口付近の枝垂桜。都内でも秀逸な一本桜である。また、春にはツツジやサツキなども代表する花々だ。一方、秋にはモミジやイチョウの彩りが鮮やかとなり、園内は朱や黄色の木々が青空に映える。
定点観測の勧め
筆者が本格的に六義園を撮影するようになったのは、2013年頃からだ。観光コンテンツを極める第一歩は、その場所を定点観測することと考える。特に、時季を合わせて訪れると深堀できる。
今年もこの一か月が最高の時間と対面できる瞬間だ。秋景色を愛でるアイテムの一つとして、是非、立ち寄ってほしい。個人的に狙い目は、日が傾き始め、木々をキラキラさせる夕刻である。
冒頭の写真は、枝垂桜越しのモミジの大木(2013年11月24日)





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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長