秋が深まるにつれ、日がみるみる短くなり、夕暮れが急ぎ足でやってきます。その「短日」の気配とともに耳にしたのが、ベルリオーズの音楽でした。劇的で、時に幻想的なまでに情緒をたたえた彼の作品は、ただ明るいだけの秋には響きません。日暮れが早まり、心にわずかな陰影が差し始める頃こそ、ベルリオーズの音の綾が深く沁みてくるのです。大胆な構成と繊細な管弦の絡み合いは、秋の空の移ろいや、日没後の空気の冷たさを思わせます。まるで音楽そのものが季節の奥に手を伸ばしているかのように、心の奥で響き続ける。「短日や」という静かな導入が、ベルリオーズの複雑で豊かな響きに、時のうつろいと感情の陰影を添えてくれる一句となりました。
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