2026年3月で北海道大学を退職し、長崎での仕事がメインになった。ただ北大を辞めたわけではなく、特任として授業などを担当する。4月から始まる前期は、月火が長崎で執務、木金が札幌で授業という行ったり来たりが当面続く。
「マイルがたまってうらやましい?」と。しかし、とんでもない。毎日、飛行機に乗っていると身体がこわばる。マッサージにいっても柔らかくならない。
2年は頑張るけど、これが終わったら、早く引退したい。研究所生活は、よく好きな研究三昧でうらやましいといわれるのだが、その認識は間違っている。自分の研究を研究所やプロジェクトに適合させ、自分をだましながら暮らしているのだから。
本当に自分のやりたいことをやれる職場などあるはずがない。早く解放されたいと願っているのは、みな同じだろう。
長時間の移動も仕事はできない
おかげでこのコラムを書く回数がすっかり減ってしまい、楽しみにしている読者には申し訳なく思っている(心配しなくても、そんな読者はほとんどいないって!?)。
昨今は資料作成や論文執筆などほとんど移動中にやっている。飛行機のなかがもっぱらだが、長崎は遠いのだ。札幌から福岡まで直行でいく。「博多駅から新幹線?」いや武雄温泉までは特急リレーかもめで1時間。
PRは美しいが、これがまたよく揺れる。パソコン打ったり、本を読んだら、確実に気分が悪くなる。音楽を聴きながら思索にふけるしか術がない。で武雄から新幹線。これは快適だが、30分。ほとんど何もできない。
JR長崎駅から大学がまた近くない。路面電車で20分以上。これが観光客で混むんだな。座れないことが多い。これでは仕事ができるのは飛行機の中しかない。
知恵を絞った移動方法
最近は福岡空港国際線ターミナルまで移動し、高速バス九州号に乗ることが多い。2時間かかるが高速道路はあまり揺れず、リレーかもめと違って仕事ができる(WIFIもある)。そして、何より高速降りた最初のバス停が、大学に近い昭和町(しょうわまち)バス停だ。市内の渋滞がないのがうれしい。

ちなみに天神高速バスターミナルからの直行もあり、こちらだと福岡天神の次がなんと長崎の昭和町。ノンストップだから誰も乗ってこない。隣がいなければ席に最後まで誰も来ない(福岡空港国際線経由は各停なので、嬉野温泉やら大村、諫早で結構、乗り降りがある)。
難点は空港経由バスが1時間に1本しかないこと。飛行機が延着すると乗れない。飛行機の延着が怖いから予約しておかなかったりすると、満席で乗れない(乗れることもある)などリスクが高いこと。
経路を変えてみても、結局
もうひとつのルートは、東京経由か大阪経由の乗り継ぎで長崎空港に行くことだ。ご承知の通り、東京便はビジネス客が多く常にストレスが大きい。最近はJALの羽田ラウンジの片方が閉鎖されており、空港での待ち時間も快適ではない。
なによりも遅延して乗り継げないリスクがある。さらに長崎空港からのリムジンバス。昭和町経由の長崎駅行きはこれまた各停で路線バス扱いだから、遅延を待たない。一応、名はリムジンだから飛行機の到着にあわせて運航している。そのくせ待たないのだから、到着が遅れると次の到着便にあわせたバスに乗るしかなく、1時間近く待つこともある(長崎空港発着はそれほど密でないため)。
一方、新地中華街経由の長崎駅行きはノンストップのため、遅延でも待っていたりするのと大違い。ただこちらの方が駅や中心に早いため、行列も多い。増発などめったにやらないから、乗れなかったら次のバスに回される。とはいえ本数も多くあまり待たない。「じゃあ、これに乗ってそこから大学に向かえって?」だからいったでしょう。駅から大学は遠いから、結局、各停を待って乗った方がまだ早かったりする。
恒例の焼酎シリーズ、ちょっと離島へ

実は今回、焼酎シリーズ第3弾、『伊佐美革命』を書くつもりで写真も用意していた。だがちょっと長崎で興奮したので、テーマを変えたい。そう私がもっともうまいと思う、黒糖焼酎「朝日」についてである。
コロナ禍直前、奄美を旅したとき、友人の紹介で喜界島に行った。そのとき案内してくれたのが、この「朝日」を製造している会社の部長だった。私はここで思い出した。大学の友人が卒業直後、銀座でべらぼうにうまい黒糖焼酎があるからとおごってくれた。時はバブル絶頂。私は貧乏大学院生だが、向こうはエリート社員、彼らは銀座で飲んで夜中の3時にタクシーで横浜あたりまで毎日帰るような時代だった。そのとき飲まされたのが、この「朝日」だった。おいしかったが、私の黒糖焼酎体験など知れているから、意味がわからなかった。
喜界島から大島に戻り、黒糖焼酎を飲み比べた。「れんと」「里の曙」など日本全国どこでも買えるが、実はこの「朝日」は奄美の繁華街・屋仁川(やにがわ)通りの店でさえ、置いてないところが少なくない。部長曰く、バブルの頃は、確かに(地元ではなく)東京を見て仕事をしていたという。40年の時を経た「朝日」との邂逅はうれしかった。
南九州に行く楽しみが増えつつある

それ以来、私は「朝日」を見つけると必ずこれを飲む。福岡の行きつけのちゃんこ屋で「朝日」をみつけた。もつ鍋にもちゃんこにもこれが実に合う。行くたびに大将といつも乾杯する。
きわめつけは「朝日」壱乃醸。普通の「朝日」の数倍おいしい。私はこれを鹿児島中央駅の酒屋で見つけた。2000円くらい(酒屋でもなかなか見かけず、飲み屋で頼むととても高い。普通の「朝日」の倍以上)。
実は、長崎大学がJPEAKS(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)のプロジェクトで、いま鹿児島大学とスクラムを組んでいる。私も何とかセンターの長だから、鹿児島大学とつきあっている(とくに島嶼や防災研究の方々と)。鹿児島にいく楽しみがひとつ増えたのが楽しい。
また、宮崎大学もパートナーなのでこちらも嬉しい。宮崎の旧友たちと焼酎を飲む機会が増えつつある。その話は次回。あ、次は伊佐美だったっけ。
(つづく)

(これまでの寄稿は、こちらから)
https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=20
寄稿者 岩下明裕(いわした・あきひろ)
長崎大学グローバルリスク研究センター長・教授 兼 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター特任教授