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全旅連JKK総会、「宿の持続可能」と地域活性へ連携強化

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全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の女性経営者の会(JKK、山田佐知会長・ほてるISAGO神戸女将、90会員)は4月16日、東京・六本木の国立新美術館内の講堂で2026年度総会を開催した。全国から女性経営者が集まり、宿泊業を取り巻く環境変化を踏まえた今後の方針を共有した。

今年度は山田体制の2年目を迎え、「宿の持続可能性」と「地域活性化」を大きなテーマに掲げる。勉強会や委員会活動を通じて、実践的な経営力の強化と会員同士の連携をさらに深めていく方針だ。

「おもてなしの原点」が地域の価値をつくる

山田会長は冒頭のあいさつで、「お客様の心に寄り添っていくことが、おもてなしの原動力だと思う。お客様の声を聴き、笑顔で帰っていただく――この原点を貫いていくことが、宿が地域を照らす光になると信じてがんばっていきましょう」と呼びかけた。

宿泊業の根幹である“おもてなし”を軸に、地域における宿の役割を改めて確認するメッセージとなった。

山田会長

業界の課題共有、来賓も出席

当日は来賓として、全旅連の井上善博会長、塚島英太青年部長も出席。観光需要が回復する一方で、人手不足や経営の高度化といった課題への対応が引き続き重要であることが共有された。

井上善博会長は、観光需要の回復が進む一方で、業界の構造的課題にも言及し、「インバウンドの回復により宿泊業は再び成長局面に入っているが、人手不足や後継者問題など、乗り越えるべき課題は多い。こうした中で、現場を支える女性経営者の役割はますます重要になっている」と述べた。そのうえで、「地域とともに成長する宿づくりを進めていくことが、観光立国の実現にもつながる」と強調した。

井上会長

塚島英太青年部長は、インバウンド拡大の一方で地域間の差が広がっている点に触れ、「観光需要は回復しているが、その恩恵がすべての地域に均等に行き渡っているわけではない。地域ごとの課題に向き合いながら、業界全体で底上げしていくことが重要だ」と指摘した。さらに、「若い世代や新しい担い手と連携しながら、宿泊業の魅力を高めていきたい」と述べ、次世代への継承と変革の必要性を強調した。

塚島部長

総会後には、総務・財務(有賀圭子委員長)、広報IT(室伏里美委員長)、研修(谷口真理委員長)、次世代観光推進(野澤奈央委員長)、インバウンド(中澤牧子委員長)の各委員会が開催され、それぞれのテーマに沿った具体的な取り組みが議論された。

勉強会では「二極化時代」の経営戦略を提示

続く勉強会では、アルファコンサルティング代表の青木康弘氏が「二極化を勝ち抜く宿のグランドデザインと変革を完遂する技術」と題して講演した。

青木氏は、宿泊業界が回復基調にある一方で、収益力の格差が拡大する“二極化”が進んでいると指摘。経営課題に対する具体的な対応策として、AIを活用した業務効率化やデータに基づく意思決定の重要性を挙げ、実践事例を交えて解説した。

女性経営者ネットワークの価値

今回の総会は、全国90会員によるネットワークの強みを改めて示す場ともなった。現場に近い視点を持つ女性経営者同士の情報共有は、宿泊業の変革期において重要な役割を担う。インバウンド回復や観光需要の拡大が続く中で、宿泊業には“量”だけでなく“質”の向上が求められている。

JKKの取り組みは、地域に根ざした宿の価値を高めながら、持続可能な観光の実現に向けた実践的なモデルとして、今後も注目されそうだ。

取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

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