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空間価値創出(水辺×アート×テクノロジー)による観光地域づくり

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コロナ禍でもキャナルフェスを継続

 2020年の春、緊急事態宣言が発出され、恒例のキャナルフェス春は中止になりました。その年、夏と秋のキャナルフェスは、コロナ禍でありながらオンラインを活用して開催しました。しかし、オンラインの開催では、キャナルフェスの良さが伝わらないことを実感したフェス事務局は、キャナルフェス冬ではガイドラインに沿った感染症予防対策を実施し、リアル開催を再開しました。キャナルフェスの灯を絶やすこと無く開催したことは、地域の皆さんへの励ましとなり、多くの感謝の声をいただきました。キャナルフェス開催の賛否については、反対意見の多い中、開催を強く要望した事務局の信念は、来場者の笑顔を見たいという思いでありました。

 そして、行動制限がされている中、アフターコロナを見据えて日常的に笑顔の溢れる街づくりに着手したのです。持続可能な地域に経済的価値を生み出す「稼ぐ観光」をベースに、再度リメイクする計画が始まりました。

産学連携(跡見学園女子大学)

産学連携で稼ぐ観光へチャレンジ

 観光地域づくり法人(DMO)設立に向け、将来の街の夢や展望を関係者と語ることは、非常に有意義なことであり、ワクワクすることでした。しかし、天王洲にはもともと観光資源があるわけではなく、観光客が訪れる魅力的なコンテンツを独自に開発しなければなりません。現在、われわれは、天王洲でプロジェクションマッピングなどの多くの実証実験を重ねてきたパナソニックと、観光まちづくりを全国で手掛ける跡見学園女子大学観光コミュニティ学部との産学連携により「アートと水辺の街 天王洲」をテーマに新たな観光コンテンツの開発に挑んでいます。

Smart Town Walker®
アートツアー&モビリティー

 パナソニックが開発したクラウド型街巡りガイドサービスの「Smart Town Walker® 」は、イベントアバターとして親しみやすいキャラクターが天王洲を回遊するガイドコンテンツで、アートツアー、謎解き、モビリティとコラボレーションした実証実験を行っています。また、非接触型遠隔コミュニケーションシステム「AttendStaion®」を用いて、アバターによるイベントの案内役を大きなモニターに映し、来場者と直接やりとりをすることができます。跡見学園女子大学の学生の遠隔操作で表情まで演出し、アバターとは思えないほどの自然な案内を行うことができるのです。他にも、新しい観光コンテンツとして、子どもたちが描いた絵をスキャンして画面の中でレースをする体験型eスポーツ「スケッチレーシング」など、多くの最新テクノロジーを用いて実証実験を重ねています。さらに、アート以外でも街の中に人を集めるスポットを作ることを目的として、シルキーファインミストとホログラムサイネージを組み合わせた幻想的空間を演出する透明ドームを設置。SNSスポットを提供し、集客を図る取り組みも行っています。

 観光地としての天王洲を目指すべく、アート・テクノロジー・エンターテインメント・モビリティと知見を合わせた産学連携と、行政と地域社会と連携しながら都市型文化体験観光コンテンツの開発に挑戦しています。今後は、これらの実証実験を経て、さまざまな整合性を図り、稼ぐ観光商品にブラッシュアップしていきます。

オフィス街から地域の観光資源「天王洲らしさ」を発掘

 近年、天王洲の街はオフィス街であり、またこの10年で湾岸地域には多くの高層マンションが建設され、近隣地域はベッドタウンにもなっています。天王洲を観光スポットに成長させるには、地域関係者との共創・連携を推進し、観光客の受入れ持続可能な街づくりを促進させなければなりません。オーバーツーリズムなどの事象も考えると観光客があふれるにぎわいをつくるのではなく、 地域の観光資源「天王洲らしさ」を考えた上で、新しい価値基準を決め、その価値を具現化した観光商品開発に挑むことが重要な課題です。「水辺とアートの街」天王洲は、この先も歩みを止めることなく、潤いのある観光地域づくりを目指していきます。

寄稿者 三宅康之(みやけ・やすゆき) (一社)天王洲・キャナルサイド活性化協会 / 理事長

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