東京科学大学は6月30日、歩行アシストロボット「Walk-Mate(ウォークメイト)」と歩行分析システム「C-Walk(シーウォーク)」を活用した観光ツアーを高尾山で実施した。6月9日に開催した神楽坂ツアーに続く第2回の取り組みで、高尾山の自然環境を舞台に、高齢者や足腰に不安を抱える人でも安心して観光を楽しめるバリアフリー観光の可能性を検証した。
Walk-Mateは東京科学大学が開発した装着型の歩行アシストロボットだ。人の歩行リズムに合わせて自然に歩行を支援し、坂道や長距離の移動による身体への負担を軽減することを目的としている。また、同大学が開発したC-Walkは、小型のウェアラブルセンサを身体に取り付けるだけで、世界最高水準の精度の歩行分析を可能とするシステムであり、もう一歩踏み込んだ健康管理や体調把握に活用されることが期待されている。
高尾山で歩行アシストロボットを活用した観光を検証
今回のツアーでは、高尾山の豊かな自然や歴史ある観光資源を巡りながら、歩行アシストロボットを活用した観光の可能性を検証した。参加者はケーブルカーで中腹まで移動した後、男坂コースと女坂コースの2班に分かれて歩き、高尾山薬王院を参拝した後、護摩祈祷に参加し、精進料理を味わいながら、高尾山の歴史や文化にも触れた。
印象的だったのは、90代の参加者の姿だ。「高尾山には何度も足を運んできた。もともと山登りが好き」と笑顔で話し、108段の石段が続く男坂コースを自ら選択した。Walk-Mateのサポートを受けながら、一歩一歩着実に歩みを進め、自身の足で登り切った姿は、参加者やスタッフに大きな感動を与えた。
高尾山は国内外から多くの観光客が訪れる一方、急な坂道や階段など移動の負担が大きい場所も多い。Walk-Mateを活用することで、これまで訪問をためらっていた高齢者や足腰に不安を抱える人でも、高尾山観光を楽しめる可能性が広がることを実感した。

バリアフリー観光は地域創生につながる
今回のツアーを通じて強く感じたのは、バリアフリーは施設整備だけでは実現できないということだ。
歴史や自然を生かした観光地では、地域の魅力を大切にしながら、誰もが利用しやすい環境づくりを進めていくことが重要になる。その中で、人がロボットを身に着けることで移動を支援するという発想は、「街を変える」のではなく「人を支える」新しいバリアフリーの形といえる。
また、大学、観光事業者、交通事業者、地域団体など多様な主体が連携することで、誰もが安心して観光を楽しめる環境づくりが進んでいることも大きな成果だった。
多彩な連携組織が支えるエコシステム
このプロジェクトは、東京科学大学を中心に、観光事業者、行政、大学、地域団体などが連携する産官学の取り組みとして進められている。幅広い分野の関係者が参画し、歩行アシストロボットを活用したバリアフリー観光を地域に根付かせるための基盤づくりが進められている。
投稿者:丹羽あゆみ(にわ・あゆみ)東京山側DMC 地域創生マチヅクリ事業部