機械工具専門商社のノダキは9月21日、名古屋市の東山荘で、愛知県の学生団体「和醸会」を対象に、「伝統は、守るだけでは残らない。―日本文化を世界へつなぐということ―」をテーマとした講演を行った。創業119年の企業を率いる野田典嗣社長と、日本酒の魅力を同世代へ伝えようと活動する大学生が、伝統を未来へつなぐマーケティングとブランディングを一緒に考えた。
500年続く酒造り文化を次の世代へ
日本の「伝統的酒造り」は、2024年12月5日にユネスコ無形文化遺産に登録された。杜氏・蔵人などがこうじ菌を用い、長年の経験によって築き上げてきた技術で、その原型は500年以上前に確立したとされる。一方、国税庁の統計からは国内の清酒市場が長期的に縮小してきたことが読み取れる。世界から注目が集まる今、その文化を国内の次の世代へどうつないでいくのかが講演の出発点となった。
野田社長が学生に伝えたのは、「伝統は、守るだけでは残らない。価値を伝えることで、初めて次の世代につながっていく」という考え方だ。講演ではマーケティングとブランディングの基礎を説明したうえで、和醸会の活動を題材に、「誰に届けたいのか」「どんな価値を感じてもらいたいのか」「どんな物語を伝えるのか」などを学生とともに考えた。
「日本酒を飲まない人」にどう伝えるか
実践的なテーマとなったのが、「普段、日本酒を飲まない人に、日本酒の魅力をどう伝えるか」という問いだ。普段お酒を飲まない野田社長に対し、学生たちが「日本酒の何が素晴らしいのか」をプレゼンテーションした。
学生からは、味や香りだけでなく、産地による違いや地域との関係、酒器の魅力など、日本酒を取り巻く幅広い文化について紹介があった。一方通行の講演ではなく、野田社長自身も「日本酒を普段飲まない消費者」の立場となり、学生と一緒に新しい伝え方を考える時間となった。
「若者自身が、若者へ伝える」
和醸会が大切にしているのが、同世代への発信だ。日本酒を未来へ残していくためには、これまで接点が少なかった若い世代にも魅力を知ってもらう必要があり、その役割を大学生自身が担う。SNSやイベント、商品開発など、既存の方法にとらわれず新しい発想で挑戦できることも学生団体ならではの強みだという。
和醸会副代表で中京大学3年の松橋凛香さんは「若い人たちにもっと日本酒を知ってもらえるよう、これからも新しいことに取り組んでいきたい」とコメントした。野田社長は「伝統は変えないことで守られるのではなく、時代に合わせて変化し続けるからこそ残る。和醸会の活動が、日本酒を次の世代につなぐ新しい入口になっていくことを楽しみにしている」と語った。
和醸会は2026年3月に発足した中京大学の学生団体で、2026年12月中旬には関谷醸造を蔵元とするオリジナル日本酒「酒池肉林」の発売を予定している。問い合わせはノダキ広報担当(TEL052-561-4371)へ。