島全体が美術館のような直島(なおしま)は、岡山県宇野市と香川県高松市の間の瀬戸内海の島。どちらの港からもフェリーが運航されている。船を降りると、目の前に芸術作品が迫ってくる。
1987年に福武書店が一帯の土地を購入する。そして、1992年にホテルや美術館を持つベネッセハウスを開業。それがアートの島の始まりだ。島には多くのエリアが点在する。フェリーが発着する宮浦港や古い町並みのある本村、ベネッセエリアだ。特に、本村地区は、焼杉板の黒板塀家屋や古民家カフェなどが増え人気の的だ。一方、ベネッセエリアは、地中美術館をはじめとする人工的な建造物と周辺の自然環境が、融合した近未来的な世界を創り上げている。
増え続ける芸術作品が、成功の秘訣
この現代アートを島の中に同化させる手法に地域住民が参画する。それによって、外の風と内の土が混ざり合い、島内にさまざまなアート作品が点在する。また、2010年から3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭」によって、国内外のお客様に直島が認知された。そして、芸術という切り口が、訪日外国人、特に欧米の方々にヒットした結果であろう。今では、日本人よりも多くの外国人が来島している。
新潟県十日町「大地の芸術祭」や直島に隣接する「せとうち豊島(てしま)」、愛知県西尾市佐久島なども、アート作品をそのまま残し、リピートする観光地となっている。芸術は、奥が深く裾野が広いコンテンツであると同時に心を豊かにする。
(2016.08.31.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長