リクルートの「じゃらんリサーチセンター」は9月3日、訪日外国人旅行者の動向を分析した「インバウンド都道府県ポジショニング調査2025」を発表した。全国47都道府県と10の海外主要市場(アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール)を対象に、訪問率や平均泊数、宿泊者数、消費単価、空港利用者数、新幹線駅数などのデータをもとに分類している。
調査によると、欧米市場では東京を拠点に京都・大阪を巡る「ゴールデンルート」が依然として基本ルートである一方、新幹線を利用して熊本や埼玉など地方に足を延ばし、長期滞在する動きが見られた。
アジア市場では旅行スタイルが多様化しており、台湾や香港、タイでは福岡や愛知といった地方空港を旅の起点とする「地方部ゲートウェイ拠点タイプ」が増加。オーストラリアや中国、シンガポールからは北海道や沖縄を目的地とする「リゾート直行型」が定着している。
特に韓国市場は「ルート延伸宿泊長めタイプ」に分類される都道府県が最多で、青森から鹿児島まで広域に足を延ばす周遊傾向が顕著となった。
一方で、消費単価や滞在日数の短さから「通過型」とされる地域も明確になり、観光地が単なる立ち寄り地で終わらないための戦略設計の重要性が指摘されている。
調査をまとめたリクルートは、市場ごとに異なる旅行スタイルを把握したうえで、各地域が自らを「立ち寄り地」「周遊拠点」「最終目的地」としてどう位置づけるかが、今後の地方誘客の成否を分けると強調している。