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訪日客が過去最速で3000万人突破、観光庁・村田長官「成長と共存」の両立を重視 

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9月の訪日客、過去最高の327万人

観光庁の村田茂樹長官は、10月15日に行った定例会見で、2025年9月の訪日外国人旅行者数が前年同期比13.7%増の327万人に達し、9月として過去最高を記録したと発表した。1~9月の累計は同17.7%増の3165万人となり、過去最速のペースで3000万人を突破。出国日本人数も回復傾向にあり、9月が同15%増の約139万人、1~9月累計が同14.3%増の1086万人と堅調であることを強調した。「インバウンドは引き続き力強い成長軌道にある」と述べ、紅葉や年末年始シーズンの需要拡大に期待を示した。その上で、急速な観光回復に伴う地域偏在や混雑への懸念にも触れ、「国民生活との両立を大前提とし、持続可能な観光の実現に向けた共存の取り組みを進める」と語った。

消費額も2.1兆円で過去最高、体験型支出が増加

2025年7~9月期の訪日旅行消費額は速報で2.1兆円と、第3四半期として過去最高に。前年同期比11.1%増で、宿泊・飲食・交通・娯楽等サービスが伸長した。全目的ベースの1人当たり旅行支出は同0.2%減の21万9000円、観光・レジャー目的に限ると同4.5%減の約20万6000円だった。村田長官は「モノ消費・コト消費のどちらかに偏るのでなく、双方を伸ばす」と強調。過去の例から消費の波及効果は概ね消費額の約2倍とされ、今期の波及は約4兆円規模と推計した。

地域別のトレンドでは、インバウンドの約7割を占めるアジアが前年同月比10%増、欧米豪・中東は同26%増とけん引。香港市場は台風16、18号による欠航の影響で減少した。会見では、夏季の猛暑や科学的根拠のない風評が一部で訪日意欲に影響した可能性にも触れ、政府としては「適時適切な情報発信で是正を図る」と述べた。為替については、対ドルは円安傾向、対ユーロは円高傾向になるなど、通貨別に影響が異なっていることが示された。

出典:日本政府観光局(JNTO)

「成長」と「両立」を軸に、オーバーツーリズム対策を加速

政策面では、「成長」と「両立」を同時に進める姿勢を明確化。2030年での目標として掲げる訪日6000万人、消費額15兆円は維持しつつ、「一部地域、時間帯への集中で生活影響や満足度低下が生じている」と現状を認めながらも、オーバーツーリズムの未然防止や抑制パッケージに基づく支援を継続、強化していく。交通政策審議会観光分科会で進む観光立国推進基本計画の改訂については、「地方誘客の促進、対策の実装、必要な予算の確保まで含めて強化する」と述べた。

免税制度は「重要」、リファンド方式へ円滑移行を

制度面では、訪日客の買い物需要を支える免税制度を「重要」と位置付け、来年11月に予定される新免税制度「リファンド方式」への移行を着実に実施する考えを示した。買い物代の一時的な伸び悩みを踏まえつつも、「アジア市場を中心にショッピングの魅力は依然大きい。地方の免税店整備や地域産品の磨き上げで需要を拡大させる」とし、体験型商品の充実や長期滞在促進によるコト消費の底上げを図る方針も明らかにした。

TEJ愛知、大阪・関西万博が好循環、次は横浜「GREEN EXPO」へ

会見では、9月に愛知県で初開催された「ツーリズムEXPOジャパン 2025 愛知・中部・北陸」(TEJ愛知)についても触れられ、村田長官は目標だった来場10万人を超える約13万人超だったことを盛況だったと評価。「国内外ブースがにぎわい、DXや地方誘客などの議論も充実していた。インバウンドとアウトバウンド双方の交流拡大のきっかけになった」と総括した。

また、10月13日に閉幕した大阪・関西万博については、「大阪を主目的地とする国内旅行の延べ旅行者数が4~6月期に前年同期比約8割増となった。大阪府内ホテル稼働も上昇し、欧州圏の外国人宿泊客も増加した」と波及効果を紹介。訪日客の2次流動として京都、関東、奈良に加え、欧州客では広島、金沢、高山への滞在も見られたという。さらに、2027年3月に開幕する「国際園芸博覧会(GREEN EXPO2027横浜)」を見据え、「大型国際イベントが継続して開催されることは好機。インバウンド誘客と海外旅行需要喚起の双方を促す国際交流を推進する」と展望を語った。green EXPO2027の

今回から机上のマスコット(右)が大阪・関西万博のミャクミャクからGREEN EXPO207のトゥンクトゥンクに変わった
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