農業法人のちーの(福島県浪江町)は5月19日、ドローンを活用した「田植えをしない稲作」の実証を同町で公開する。播種から施肥、除草までを3機のドローンで連携実施する新たな生産モデルで、従来の田植え方式に比べ労力を約70%削減する。
同実証は、地元のシガ環境メンテナンス(富岡町)と連携し実施。1号機が種もみを散布し、2号機が追尾して肥料を散布、さらに3号機が除草剤を散布することで、一連の作業を効率的に一体化する。これにより作業時間の短縮と精度向上を図り、省力化と生産性向上の両立を目指す。
担い手不足と耕作放棄地に対応
背景には、農業現場で深刻化する担い手不足や耕作放棄地の増加がある。特に大規模稲作では、限られた人員で広い農地を管理する必要があり、新たな省力化モデルの構築が求められている。
同社はこうした課題に対し、農業DXの知見とドローン技術を組み合わせた「進化系稲作」を提案。2026年度には約50ヘクタールの耕作放棄地を再生し、営農再開を予定している。少人数で広大な面積を管理できる体制を構築し、地域農業の持続性向上につなげる考えだ。
次世代農業モデルの確立へ
同社のナカヤチ美昭社長は「単なる省力化にとどまらず、地域農業を持続可能な形へ進化させる取り組み」とし、「播種から追肥までの最適化により現場負担を軽減し、次世代につながるモデルを構築したい」とコメントした。
今後は、今回の実証で得た知見をもとに他地域への展開も視野に入れ、ドローンとデータ活用によるスマート農業の普及を進める方針。福島・浜通り地域の営農再開を支える新たなモデルとして注目される。