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アフリカ観光は次の成長段階へ、インダバ2026で見えた南アフリカの成長戦略と日本市場の可能性

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南アフリカ・ダーバンで開催された「Africa's Travel Indaba 2026」に、各国の観光関係者やバイヤー、メディアら約9800人が集まった。日本からも旅行会社やランドオペレーターなど約20人が参加し、現地で商談や視察を実施。会期中は電子渡航認証(ETA)やデジタルマーケティング、域内連携などが主要テーマとして取り上げられ、アフリカ観光の成長戦略が示された。一方、日本市場では依然として認知度向上や心理的ハードルといった課題も残るが、参加者からは新たな商品造成や高付加価値旅行市場への可能性を評価する声も聞かれた。

Africa's Travel Indaba(以下、インダバ)は、南アフリカ観光局が主催するアフリカ最大の観光トレードショー。今年のテーマは「Unlimited Africa: Growing Africa's Tourism Economy(無限の可能性を持つアフリカ:アフリカ観光経済を成長させる)」で、観光産業をアフリカ経済成長の原動力と位置付けるメッセージが前面に打ち出された。

会場となったダーバンでは、空港や市内ホテルにインダバのバナーが掲出され、ホテルと会場を結ぶシャトルバスも運行された。開催期間中は交通規制も実施されるなど、街全体でイベントを支える体制が整えられている。2026年はダーバンでの新たな5年間開催の初年度にあたり、関係者からは観光振興や経済効果への期待も聞かれた。

開会式ではシリル・ラマポーザ大統領が登壇し、2025年の南アフリカ訪問者数は約1050万人を記録したことを紹介した。そのうち約75%を南部アフリカ開発共同体(SADC)加盟国などアフリカ域内からの旅行者が占めていることを挙げ、「アフリカ人がアフリカを旅している」ことの重要性を強調した。

また、SADC共通ビザやワンストップ国境、越境観光ルートの整備を進めていることに触れ、アフリカ連合(AU)が掲げる「Agenda2063」と連動しながら域内移動の促進を目指す考えを示した。さらに電子渡航認証(ETA)やデジタルノマドビザの導入にも言及し、「南アフリカをよりアクセスしやすく、競争力があり、歓迎的な国にする」と述べた。

ETAとデジタル化を推進、観光成長へ環境整備

実際に会期中に開催されたETAセッションでは、南アフリカ政府が同制度を観光成長の重要施策として位置付けていることが繰り返し説明された。政府によると、ETAは既に94%の承認率を実現しており、一部空港では専用レーンを通じて60秒以内で入国手続きが完了するという。今後は対象国拡大に加え、家族や団体申請への対応も進める方針だ。

デジタル化も今年のインダバを象徴するテーマだった。アフリカ各国の観光大臣によるパネルディスカッションでは、AIやデータ活用、SNSマーケティング、インフルエンサー施策などが議論された。若年層への訴求手段としてTikTokなどのプラットフォーム活用が紹介され、観光マーケティングの主戦場がデジタル空間へ移行しているとの認識が共有された。

南アフリカ観光局は現在展開する「Come Find Your Joy」キャンペーンを通じて、サファリだけではない南アフリカの魅力を発信している。文化や食、音楽、スポーツ、コミュニティなど多様な観光資源を前面に打ち出し、「アフリカ自身がアフリカの物語を語る」ことの重要性も強調された。

インダバ刷新や大型投資も、観光産業の成長を後押し

観光大臣のパトリシア・デ・リール氏は開会式で、「Africa's Travel Indaba will go through a revamp(インダバは刷新される)」と発言し、2027年に向けてイベント自体の見直しを進める考えを表明した。スポンサーや観光事業者、クリエイターから広くアイデアを募り、デジタル化や体験型コンテンツの拡充などを検討する方針で、アフリカ最大級の観光商談会が次世代型イベントへ転換する可能性も示唆した。

また、観光投資案件も数多く紹介された。ケープタウンのV&Aウォーターフロント拡張計画や2028年の開港を目指すウィンランズ空港開発、2026年7月開業予定のClub Med South Africa Beach and Safari Resortなどを例に挙げ、南アフリカが観光投資市場としても成長していることをアピールした。

MICE分野への期待も大きい。南アフリカは2025/26年度に100件の国際会議・イベント誘致入札に参加し、52件を獲得したという。今後もSADC首脳会議や国際スポーツイベントなどの開催を予定しており、観光地としてだけでなく国際イベント開催地としての地位向上を目指している。

こうした成長戦略の背景には、実際の訪問者数の回復と拡大がある。南アフリカ観光局によると、2025年の訪問者数は前年比17.7%増の1049万8506人となり、コロナ前の2019年を上回った。一方で日本市場は1万9894人と前年比14.5%増となったものの、2019年比では約30%減の水準にとどまっている。2026年1〜4月累計でも日本人訪問者数は前年比15.2%増の7399人と回復基調にあるものの、2019年比では18.5%減となっており、アジア市場全体も回復途上にある。

日本市場における南アフリカ観光の可能性

実際にインダバに参加した日本の旅行会社からも、日本市場特有の課題を指摘する声が聞かれた。ある参加者は、安全面や衛生面へのイメージに関する懸念が依然として残るとしながらも、実際に現地を視察したことで都市環境は想定以上に整備されていたと話す。また、サファリについてはラグジュアリー層向け商品との親和性が高く、欧州では得られない特別な体験として訴求できる可能性があるとの見方を示した。

別の参加者は、12年ぶりに南アフリカを訪問した印象として、日本市場向け商品の内容が長年大きく変わっていないことを指摘した。その一方で、サファリに関しては主流となるケニアやタンザニア、ボツワナに加え、クルーガー周辺の観光素材にも商品化の可能性を感じたという。ただし、日本では南アフリカが旅行先候補として十分認知されておらず、欧州人気の高さも依然として大きな壁だと語る。

インダバ2026では、ETAをはじめとする渡航環境の改善、デジタル化による情報発信強化、域内連携による広域周遊促進など、アフリカ観光の成長に向けた取り組みが数多く示された。ラマポーザ大統領は開会式の最後に「Africa is not waiting. Africa is leading.(アフリカは待っていない。アフリカは先導している)」と述べた。今回のインダバは、その言葉を裏付けるように、アフリカ観光が新たな成長段階に入ったことを印象付けるイベントとなった。

情報提供:トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/

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