阿部勘酒造は5月11日、主力ブランドを「塩竈 阿部勘」に刷新し、新シリーズ「潮」を発売した。酒質設計からラベルデザインまで全面的に見直し、"港町・塩竈の食文化を映す酒"としてブランドコンセプトを再構築。「黄金潮」「橙潮」「玄潮」「翠潮」の4商品で、国内外から注目が高まる和食文化に向けた新たな提案を行う。
「鮮度のためになにもしない」という哲学
古くから海とともに栄えてきた港町・塩竈。全国有数の生鮮まぐろ水揚げ港を擁し、寿司文化が深く根付くこの土地で、阿部勘酒造は酒を造り続けてきた。
今回の刷新では、"寿司の街・塩竈の酒"として魚介料理との調和をこれまで以上に深く追求している。塩竈の寿司は素材の鮮度や輪郭を大切にする文化であり、同社は「甘さを足しすぎない、香りを立てすぎない、流行を追いすぎない」という哲学で酒造りに向き合ってきた。
鮮度の高い魚介を自然に、心地よく食べ続けられる酒。その姿勢を体現するため、今回「塩竈」の名を正式にブランドに掲げた。
酒質設計とデザインを全面刷新
今回の刷新は名称やラベルにとどまらない。麹歩合や発酵設計、日本酒度の考え方まで改めて見直し、それぞれの酒の個性を再設計した。
デザイン面では余白を活かしたミニマルな表現へ変更。720ml商品には透明感をイメージしたプリントビンを採用し、正面ラベルには英語表記も追加した。
アートディレクターの駒井美智子さんは「塩竈の寿司文化には、"鮮度のために、なにもしない"という美意識があると感じました。余白や透明感で、料理と並んだ時に自然に馴染み、静かに存在する酒を目指しました」とコメントしている。
新シリーズ「潮」4商品の特徴
シリーズ名「潮」は、時間や季節によって変化する海の表情を表している。4商品それぞれが異なる料理や時間に寄り添う酒として設計された。
「塩竈 阿部勘 黄金潮(おうごんしお)」は蔵の技術の粋を集めた逸品で、華やかな香りと磨き抜かれた甘み、軽やかな後口が特徴だ。贅沢な海の幸と合わせたい。
「塩竈 阿部勘 橙潮(とうちょう)」は料理との境界線をほぐすような「液体の柔らかさ」が魅力。スムースな質感とまろやかな余韻が、繊細なお椀や握りと見事に調和する。
「塩竈 阿部勘 玄潮(げんちょう)」は透明感のある繊細で上品な香りが特徴で、ピュアな甘みと爽やかなキレ味が素材本来の味を引き立てる。シンプルな料理と合わせることでその真価を発揮する。
「塩竈 阿部勘 翠潮(すいちょう)」はシリーズの原点となる食中酒。穏やかな香りと旨味を軸に、後口はシャープにキレ上がり、素材を活かした魚介類と幅広く寄り添う。
アーティストとの協業や300年の歴史
今後の季節限定酒では、塩竈にゆかりのある作家・アーティストとの取り組みも進める予定だ。第一弾ではイラストレーターの小田佑二さんを起用している。
また、阿部勘酒造は300年以上にわたり、鹽竈神社の御神酒を納めてきた歴史を持つ。海と祈りが近くにあるこの地で、同社はこれからも塩竈の食文化とともにある酒を追求していく。
阿部社長は「料理を引き立て、自然と杯が進む酒を、これからもこの土地から発信していきます」と話している。