国土交通省は6月15日、「第24回日ASEAN高級交通実務者会合」の結果概要を発表した。6月10日に東京で開催された会合では、日本とASEAN各国の交通分野における連携強化について議論し、新たに「ASEAN地域の港湾における気候変動適応策実施に向けたガイドライン」の策定を進める方針で合意した。今後、2026年12月に開催予定の「第24回日ASEAN交通大臣会合」に提案し、正式承認を目指す。
日ASEAN交通連携は2003年に創設された日本とASEANの交通分野における協力枠組みで、交通インフラ整備や物流、航空、港湾など幅広い分野で連携を進めている。今回の会合では、ASEAN地域における「質の高い交通」の実現に向けた新たな協力案件や既存プロジェクトの進捗が議論された。
港湾の気候変動対策を共同で推進
今回、新規案件として提案されたのは、「ASEAN地域の港湾における気候変動適応策実施に向けたガイドライン」の策定だ。
近年、ASEAN地域では気候変動による海面上昇や異常気象、自然災害リスクへの対応が重要課題となっている。港湾は物流や経済活動を支える重要インフラであることから、日本の知見を活用しながら、港湾施設のレジリエンス向上や適応策の普及を目指す。会合では、このプロジェクトを大臣会合に提案し、承認を求めることで合意した。
SAFやカーボンニュートラルポートでも連携
また、これまで進めてきた協力案件の成果についても、年内の大臣会合へ報告する方針を確認した。
報告予定の成果物には、ASEANにおける衛星測位システム活用を進める「GNSS導入計画訓練2.0(GIPTA2.0)」のほか、「日ASEAN CORSIA適格燃料認証ガイドブック」、国際物流網における舗装維持管理技術の参考資料、さらに「ASEAN地域におけるカーボンニュートラルポート(CNP)形成に向けたガイドライン」などが含まれる。
航空分野では持続可能な航空燃料(SAF)の原料多様化や認証制度に関する知見共有を進めるほか、港湾分野では脱炭素化に向けたカーボンニュートラルポート形成を後押しする。
気候変動と防災をテーマに専門家講演も
会合では、気候変動と災害対策をテーマとした専門家講演も実施された。
京都大学・横浜国立大学の森信人教授は「ASEAN諸国における激甚災害と交通への気候変動の影響」について講演。さらに、日本気象協会の金原知穂氏が「気候変動下の防災に向けた気象予測活用」をテーマに、鉄道運行リスク低減やダム運用高度化に関する取り組みを紹介した。
ASEAN各国の交通行政トップが参加
会合には、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの交通担当高官に加え、ASEAN事務局の関係者が出席。日本側からは国土交通省の山本英貴国際交通特別交渉官や荒木愛美子インフラシステム海外展開戦略室長らが参加した。
国土交通省は、交通インフラの脱炭素化やレジリエンス強化、物流高度化などを通じて、日本とASEANの交通分野における協力をさらに深化させたい考えだ。