世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産である熊野速玉大社(和歌山県新宮市)は7月14日午後5時から、国家安泰や無病息災、家内安全を祈る夏の神事「扇立祭(おうぎたてまつり)」を開催する。国宝の檜扇(ひおうぎ)にちなむ古式ゆかしい祭儀で、誰でも無料で見学できる。
熊野速玉大社には、室町時代に制作された国宝の檜扇11握が伝わる。扇立祭では、この国宝を模して1964年に製作された檜扇を各殿に開帳し、神職が国家安泰や無病息災、家内安全などを祈願する。宮中で使用された格式高い檜扇にちなむ神事を通じ、日本の精神文化や祈りの伝統に触れられる。
祭りは午後5時30分から神事を執り行い、夕刻には境内に夜店が並ぶ。浴衣姿の参拝者や観光客でにぎわい、世界遺産の社殿を背景に昔ながらの夏祭りの風情を楽しめる。神事への参列は事前問い合わせが必要だが、祭りの見学は申し込み不要。
7月14日は、コレラの流行を防ぐため1879年に日本で初めて検疫規則が公布されたことに由来する「検疫記念日」にあたり、同大社では感染症をはじめとする災厄から人々を守る祈りの日として位置付けている。