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イタリア駆け巡り 親切で人懐っこいイタリア人と、許せぬスリ

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日本人に人気の観光大国、イタリアを架け橋で巡ってきた。ローマ時代の遺跡やルネサンス美術、グルメなどはガイドブックやSNSに譲るとして、体験からイタリアの報告をする。

中世の面影を残す街、イタリア中部のペルージャを訪れた。サッカーの中田英寿が移籍したセリエA・ペルージャの本拠地として知られる。ここの大学院に友人が留学しており、彼の案内でローマとのイタリア北部を巡った。訪れた日は小雨が降っていて、筆者は石畳の道で不覚にも転んで尻餅をついてしまった。腰と肩を打ち、まずいと思った。その瞬間、近くを歩いていた若者数人が駆け寄ってきて、手を差し伸べてくれた。イタリア語は挨拶程度しか分からないが、彼らは「大丈夫か、痛みはないか」などと言っているのだろう。心配そうに回りを囲み、筆者が立ち上がり歩き出すのを見守ってくれた。この思いやりに感動し、痩せ我慢をして「ノープロブレム」を繰り返した。

留学中の友人に聞くと、イタリアは大家族で暮らしており、祖父母と接する機会も多いため、シニアには優しいのではないかと説明してくれた。路線バスでも同時に2人から席を譲られた。嬉しいやら、寂しいやらだ。きっと旅の疲れが表情に出ているから親切にしてくれたのだと思うことにした。

10日ほどの旅を終え、ローマ空港での出国手続き窓口でパスポートを見せると、彫りが深く立派な顔立ちの男性職員が日本語で「こんにちは」と笑顔で話しかけてきた。手続きが終わり、筆者が覚えている数少ないイタリア語で「グラッチェ=ありがとう」と返すと、日本語で「グラッチェ」は何と言うのだと聞かれた。それから、「さよなら」、「気をつけて」、「また会いましょう」などは日本語で何と言うのだと立て続けに聞いてきた。これは英語だったので会話が成り立った。海外の空港では係官が笑顔を見せず、パスポートを投げてよこすなどの経験があるので驚いた。

ローマのテルミニ駅。イタリア各地へ向かう列車で混雑している

もう一つ、4人掛けの列車に乗った時も、相席の男性が頭上の棚に荷物を乗せるのを手伝ってくれ、その後30分近く世間話を友人とイタリア語で交わし、スマホに保存していた様々な写真を見せてくれた。私はイタリア語を解さないので黙っているしかなかった。友人は「30分で目的地の駅に着いたのでほっとした。そうでなければ、2時間でも3時間でも喋り続けるよ」と笑っていた。

良いことばかりではなかった。ローマ空港に出迎えてくれた友人の第一声は「スマホをすられてしまった」。空港に来る途中のテルミニ駅近くで、男達からタバコはないかと声をかけられたそうだ。彼はタバコを吸わないのでその旨、答えた。すると相手は肩に手を回し、それは残念だと言って離れていった。数分後、ジャケットの胸ポケットに入れてあったスマホがないのに気づいたという。 

盗まれたのはイタリア在住の時に使うスマホで、プリペイドで20ユーロ、日本円にした約4000円分の通話ができるようになっていた。その他、クレジットカードのアプリもダウンロードしていた。翌日、警察に被害届けを出しに行くのに付き合ったが、まず、戻ってこないと彼自身も諦めて、新たなスマホを購入した。スマホは発見されなかったが、その後、被害も確認されなかった。

彼はイタリア語に不自由がないから、被害届けも出せた。しかし、これが旅行者だったら、言葉は分からない、スマホのメールに届く航空券のEチケットやホテルの宿泊予約なども見られなくなるなど、旅行そのものが立ちゆかなくなる可能性もある。

スペインやポルトガル、フランス、イタリアなど南欧の旅行ガイドやウェブサイトを見ると、スリや置き引きなどに気をつけるよう注意喚起のアドバイスが多数掲載されている。実際に被害にあったという体験談も多いし、防止策もあふれている。私も出発前に家族や友人から、スリや置き引き、盗難に注意するように言われた。

ローマやベネチアの見所はすばらしかった。しかし、今回の旅の思い出として、イタリア人の親切さや陽気で人なつこい国民性と、彼には気の毒だが、スマホ盗難が旅の思い出となった。

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