Spinel(東京都目黒区)はこのほど、狩猟や食、生産の現場を体験として提供する原体験プラットフォーム「PRIMAL(プライマル)」を開始した。第一弾として、和歌山県那智勝浦町・色川地区の猟師ユニット「だものみち」と連携し、1泊2日の狩猟体験ツアーの販売を始めた。
同事業は、都市生活の中で見えにくくなった「命をいただく」過程を、体験を通じて再認識してもらうことを目的とするもの。山に入り、罠を見回り、止め刺しや解体、調理までを現役猟師と共に体験することで、食と命のつながりを身体感覚として理解する機会を提供する。
近年、地方ではイノシシやシカなどによる獣害が深刻化する一方、捕獲された動物の多くが十分に資源活用されないまま処分されている。同社は、こうした地域課題と都市生活者との距離を縮めることも狙いとしている。
和歌山・色川地区で狩猟文化を体験
ツアーの舞台となる色川地区は、急峻な山々や棚田の風景が残る地域で、人口約330人のうち約4割を移住者が占める集落。「だものみち」は、罠猟から解体、ジビエ提供までを一貫して手掛ける猟師ユニットで、地域の鳥獣害対策にも取り組んでいる。
代表の原裕氏は鹿児島大学で畜産学を学び、イノシシ被害対策を研究。地元へ戻った後、「獣害を害で終わらせず、地域資源へ転換する」ことを掲げ活動を続けている。
ツアーでは、罠の見回りや獣道の解説、止め刺しへの立ち会い、解体作業の見学・補助、ジビエ料理の実食などを実施。定員は1回2~8人で、料金は1人4万円(税込、交通費・宿泊費別)。
都市生活者へ“原体験”を提案
同社は、主な参加対象として「食と命のつながりを体感したい人」「地方の一次産業や獣害問題に関心のある人」「自然体験やアウトドアを志向する都市生活者」などを想定している。
今後は、地域の生産者と連携した体験プログラムを順次拡大する方針。狩猟や食の現場を記録したドキュメンタリー映像も、YouTubeやSNSで継続的に発信していく。
同社は「文明化の中で失われつつある人間本来の営みを、体験として掘り起こし、次世代へつないでいきたい」と話す。