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国が「第3次自転車活用推進計画」を策定 2030年へ人中心の自転車社会を

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国土交通省は5月29日、2030年度までを計画期間とする「第3次自転車活用推進計画」を閣議決定した。新計画では、自転車を単なる移動手段ではなく、「人中心のまちづくり」や地域交通、健康、脱炭素、観光地域づくりを支える社会インフラとして位置付け、安全・快適な利用環境整備を進める。

計画では、「安全・快適に自転車を活用できる環境の実現により、自転車交通の役割を拡大し、人と地域が調和した豊かに暮らせる持続可能な社会」を2030年のビジョンとして掲げた。

背景には、人口減少や地域交通の担い手不足、脱炭素化、健康寿命延伸、オーバーツーリズムなど、社会課題の変化がある。特に近年は、シェアサイクルや電動アシスト自転車、サイクルトレインなどの普及が進む一方、「交通空白」地域の拡大や、自転車事故対策などが課題となっている。

“道路整備”から“地域政策”へ 自転車の役割拡大

今回の計画では、自転車を「アクティブモビリティ(人力による移動手段)」として位置付けた点が特徴だ。徒歩や公共交通と組み合わせることで、「車に依存し過ぎない地域交通ネットワーク」の形成を目指すほか、子どもや高齢者が安心して移動できる“人中心のまちづくり”を推進する。

自転車を「健康のインフラ」と位置付け、健康寿命延伸やメンタルヘルス改善にも活用。さらに、短中距離の自家用車移動を自転車へ転換することで、道路分野のGX(グリーントランスフォーメーション)推進にもつなげる考えだ。

観光面では、サイクルツーリズムによる滞在型・回遊型観光を推進。地方誘客や地域経済循環の創出、持続可能な観光地域づくりへの貢献も掲げた。

自転車通行空間1.2万kmへ 地方計画策定も加速

計画では、「良好な自転車利用環境の実現」を重点目標の一つに設定。自転車通行空間の整備をさらに加速させる。国によると、2024年度時点の自転車通行空間整備延長は9,841km。これを2030年度までに1万2,000kmへ拡大する目標を掲げた。

地方自治体による「自転車活用推進計画」は317市区町村、「自転車ネットワーク計画」は401市区町村にとどまっており、2030年度までにいずれも800市区町村への拡大を目指す。

一方、国民アンケートでは、自転車利用者の7割以上、非利用者の8割以上が「安心して走れる自転車通行空間が不十分」と回答。特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)の普及も踏まえ、安全性・快適性向上が課題として挙げられた。

2026年「青切符」導入へ 安全対策も強化

安全対策では、2026年4月から導入予定の自転車向け「交通反則通告制度(青切符)」を踏まえ、自転車交通ルールの周知や交通安全教育を強化する。特に、自転車事故死傷者の割合が高い中高生への交通安全教育、自転車通学環境整備、高齢者対策を推進する方針だ。

自転車乗用中死者の約5割が頭部負傷であることを踏まえ、ヘルメット着用促進も継続。2025年時点で21.2%にとどまる着用率向上を目指す。

さらに、「自転車損害賠償責任保険加入促進」「ペダル付き電動バイク対策」「ITS等を活用した事故削減」「災害時の自転車活用」なども盛り込んだ。

シェアサイクル・サイクルトレインを拡大

地域交通分野では、「交通空白」解消に向けた公共交通との連携強化を推進する。具体的には、「シェアサイクル普及」「サイクルトレイン導入」「公共交通への自転車持込み」「モビリティハブ整備」などを進める。シェアサイクル導入自治体数は、2024年度時点の323市区町村から、2030年度までに500市区町村へ拡大する目標を設定した。

また、高齢者や子育て世帯にも対応するため、電動アシスト自転車など「高い安全性を備えた自転車」の普及促進も打ち出した。

サイクルツーリズムで地方誘客へ

観光分野では、サイクルツーリズム推進を継続強化する。国によると、ナショナルサイクルルートは現在6ルート、サイクルツーリズム推進モデルルートは117ルートまで拡大。インバウンドや地方誘客、災害復興に向けた交流人口拡大への期待が高まっている。

世界的に市場拡大が続くアドベンチャーツーリズム分野では、マウンテンバイクなど自然を活用した観光需要創出にも言及した。

さらに、2027年には世界的自転車国際会議「Velo-city」が愛媛県で日本初開催される予定で、国は「日本の自転車文化や取り組みを世界へ発信する機会」と位置付けている。

健康・脱炭素・観光を横断する政策へ

今回の計画では、自転車政策を単なる「道路整備」ではなく、地域交通、健康、環境、観光、まちづくりを横断する政策として再定義した点が特徴となる。

国交省では、関係省庁や自治体と連携しながら、自転車を活用した持続可能な地域社会づくりを進める考えだ。

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