国土交通省は7月8日、令和8年度「空き家対策モデル事業」の採択事業を決定した。民間事業者やNPO法人などによる創意工夫を生かした空き家対策の取り組みを支援するもので、117件の応募の中から36件を選定。官民連携による相談体制の強化や、新たなビジネスモデルの構築、二地域居住、AI・デジタル技術の活用など、全国展開につながる先進的な取り組みを後押しする。
同事業は、空き家対策を一層加速させるため、モデル性の高い取り組みに対して国が直接支援を行い、その成果を全国へ横展開することを目的としている。採択事業は学識経験者などで構成する評価委員会の評価結果を踏まえて選定した。
今年度は「官民連携による相談対応の充実」「空き家に関連する新たなビジネスモデル構築」「新たなライフスタイルや居住ニーズへの対応」「AI・デジタルなど新技術の活用」「相続空き家増加を見据えた住宅地再編」の5テーマで募集を実施。テーマ1で5件、テーマ2で11件、テーマ3で12件、テーマ4で6件、テーマ5で2件が採択された。
空き家を地域資源へ、二地域居住や災害時活用など新モデルを検証
採択事業では、空き家を単なる管理対象ではなく、地域資源として活用する取り組みが多く選ばれた。
一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会岡山県井原支部は、空き家を改修して活用する「スムヤドスム」モデルを実証する。平時は所有者の二地域居住先や民泊施設として利用し、災害時には被災者や所有者の緊急避難先として活用する一棟三役の運用モデル構築を目指す。
また、一般社団法人能登町定住促進協議会は、能登半島地震の被災地において、関係人口の創出や二地域居住促進につながる空き家利活用モデルづくりに取り組む。
一方、空き家になる前の段階から対応する予防型の取り組みも進める。大阪府不動産コンサルティング協会は、区分所有長屋における管理不全な空室などに対し、相談対応や所有者調査などを通じた予防的介入モデルの構築を図る。
AI・デジタル技術も活用、空き家把握の高度化へ
新技術を活用した取り組みでは、株式会社都市空間総合研究所による、360度カメラとAIを活用した空き家判定モデルが採択された。
車両や歩行者に搭載した360度カメラで建物外観画像を収集し、AIによって空き家判定を行う社会基盤づくりに向けた調査・整備を実施する。自治体による空き家把握の効率化や、早期対応につなげることを目指す。
さらに、相続による空き家増加を見据えた取り組みでは、リデザインマネジメント研究所が、行政、地域住民、大学、民間事業者と連携。大規模団地の空き家所有者へ働き掛け、エリア全体の将来像と個別物件の活用提案を組み合わせた仕組みを検証する。
国交省では、今回採択したモデル事業の成果を全国へ展開し、地域の実情に応じた空き家対策の推進につなげていく。