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JATA原会長、持続可能な観光産業へ決意 双方向交流や高付加価値化を推進

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日本旅行業協会(JATA)は7月8日、都内で記者懇談会を開催した。6月に会長に就任した原優二(風の旅行社)氏や副会長らが登壇。第5次観光立国推進基本計画の実現に向けた旅行業界の取り組みや今後の旅行業界の方向性や重点施策について説明した。また、国内旅行、海外旅行、訪日旅行のさらなる発展に向け、双方向交流の促進や地域への誘客、需要平準化、旅行商品の高付加価値化などを推進していく考えを示した。

原会長は、旅行業界を取り巻く環境が大きく変化する中、従来の価格競争型モデルから脱却し、旅行会社ならではの価値を提供することの重要性を強調。「価値にふさわしい対価をいただける産業」を目指し、持続可能な旅行業界づくりに取り組む姿勢を示した。

また、第5次観光立国推進基本計画で掲げられた観光立国の実現に向け、JATAとして国内旅行、海外旅行、訪日旅行の3分野で取り組みを強化する。2030年を見据え、アウトバウンド2000万人、訪日旅行6000万人などの目標達成に向け、官民連携による市場拡大を図る。

記者懇談会の様子
記者懇談会の様子

旅行会社の価値向上へ 価格競争から「選ばれる産業」に

原会長は冒頭、旅行会社がこれまで日本人の海外旅行拡大や国内観光振興を支えてきた歴史に触れながら、コロナ禍を経て業界構造が大きく変化していることを説明した。

インターネット予約の普及や旅行スタイルの多様化によって、旅行会社には従来以上に専門性や提案力が求められていると指摘。単なる手配ではなく、安心・安全の提供、地域との調整、体験価値の創出など、旅行会社だからこそ提供できる役割を高めていく必要性を語った。

特に、今後の旅行業界では「安さ」だけではなく、旅行者が価値を感じる商品づくりが重要になると強調。人材が集まり、働く人が誇りを持てる産業にしていく考えを示した

国内旅行は平準化と高付加価値化へ 休み方改革を推進

国内旅行分野については、吉田圭吾副会長(日本旅行)が取り組みを説明。国内旅行市場はコロナ禍から回復し、旅行消費額は拡大している一方、日本人の国内宿泊旅行者数は伸び悩んでおり、旅行需要の創出が課題になっていると指摘した。

OTAの拡大や宿泊施設・交通機関の直販化など市場環境が変化する中、旅行会社としては単なる価格競争ではなく、地域の魅力を掘り起こした商品造成や付加価値のある旅行提案の必要性を語った。

重点施策として掲げたのが、旅行需要の平準化。週末や大型連休、夏休みなど特定時期に集中する旅行需要を分散するため、平日旅行の促進やラーケーションなど新しい休み方の普及に取り組む。

さらに、2027年に開催されるGREEN×EXPO 2027についても、旅行会社のネットワークを活用し、旅行商品造成や販売促進を通じて機運醸成に協力していく方針を示した。

海外旅行2000万人回復へ 「もっと海外へ」で需要喚起

海外旅行分野については、酒井淳副会長(阪急交通社)が現状を説明。日本人海外旅行者数は回復傾向にあるものの、円安や航空運賃の上昇、現地滞在費の高騰などの影響もあり、コロナ前の水準には戻っていないことを明らかにした。パスポート保有率の低下や若年層の海外旅行経験減少にも触れ、将来的な国際交流人口拡大に向けた取り組みが必要だと訴えた。

JATAでは、海外旅行需要喚起プロジェクト「もっと海外へ」を展開。旅行会社、航空会社、政府観光局などと連携し、海外旅行の魅力発信や需要回復に取り組む。

方面別では、韓国や台湾など近距離方面は回復が進む一方、欧米など長距離方面は旅行費用上昇などが課題となっている。今後は商品の多様化や情報発信を強化し、2030年の海外旅行者数2000万人達成を目指す。安全面では、海外旅行保険への加入や外務省「たびレジ」の活用など、安全・安心な旅行環境づくりも進める。

訪日6000万人時代へ 地方誘客と持続可能な観光を強化

訪日旅行分野については、山北栄二郎副会長(JTB)が説明。訪日外国人旅行者数は過去最高水準で推移し、消費額も拡大している一方、都市部や一部観光地への集中による混雑、地域偏在が課題となっている。

2030年の訪日客6000万人、消費額15兆円の達成には、人数拡大だけでなく、地方への誘客や消費拡大が不可欠だと指摘。全国各地の観光資源を磨き上げ、地域ならではの体験価値を提供することが重要になる。

旅行会社には、地域と海外市場をつなぐ役割があるとして、自治体、DMO、地域事業者と連携した高付加価値商品の造成や広域周遊ルートづくりを進める考えを示した。

質疑応答、人材確保や旅行会社の役割にも言及

質疑応答では、旅行業界の人材確保や今後の旅行会社の存在価値について質問が寄せられた。原会長は、人材不足が業界全体の大きな課題になっているとの認識を示し、若い世代に旅行業界の魅力を伝える必要性を強調した。

コロナ禍では旅行業界から多くの人材が離れた一方、旅行が持つ社会的価値や、人と地域をつなぐ仕事としての魅力は変わらないと説明。JATA就職ナビなどを通じ、学生や若者に旅行業界で働く魅力を発信していく。

今後の旅行会社の役割については、単なる予約・手配ではなく、旅行者が安心して楽しめる環境づくりや、地域資源を価値ある商品へ変えていく必要性を示した。

原会長は、「国内・海外・訪日のバランスある発展を通じ、旅行産業全体の価値向上に取り組んでいかねばならない」と考えを示した。

取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

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